スポーツ刈りの「襟足」で、品格は決まる。後ろ姿に自信を持つための、プロの仕事
あなたは自分の「後ろ姿」に、自信がありますか?
ヘアスタイルをオーダーする時、あるいは、鏡で仕上がりを確認する時。私たちは、つい、顔の正面や、横からの見え方ばかりに気を取られがちです。しかし、あなたの印象を本当に決定づけているのは、実は、自分では見ることのできない「後ろ姿」、特に「襟足」の処理であるという事実を、ご存知でしょうか。特に、スポーツ刈りのような潔いショートスタイルにおいて、この襟足の美しさは、その人の清潔感と品格、そして、施術した技術者の腕前を、何よりも雄弁に物語るのです。
襟足のデザイン、3つの基本形
まず、襟足の仕上げ方には、いくつかの基本的なデザインがあることを知っておきましょう。それぞれが与える印象は、全く異なります。
・ナチュラル(自然なぼかし)
デザイン:生まれ持った襟足の生え際に沿って、下に行くにつれて、徐々に短くなるように、自然なグラデーションをつけていく形です。
印象:最も現代的で、洗練された印象を与えます。首が長く、すっきりと綺麗に見える効果があり、伸びてきても形が崩れにくいという、最大のメリットがあります。
・スクエア(角型)
デザイン:襟足のラインを、カミソリやトリマーで、直線的な四角形に整える形です。
印象:きっちりとした、少しクラシックでフォーマルな印象を与えます。首が太めの方や、しっかりとした体格の方に似合いやすいとされています。
・ラウンド(丸型)
デザイン:襟足のラインを、柔らかな丸いカーブを描くように整える形です。
印象:優しい、ソフトな雰囲気になります。首が細い方の印象を、和らげてくれる効果があります。
現代の主流は、圧倒的に「ナチュラルなぼかし」
では、どの形を選ぶべきか。結論から言えば、現代のメンズヘアスタイルにおいて、最も推奨され、そして最も美しいとされるのは、圧倒的に「ナチュラルなぼかし」です。なぜなら、スクエアやラウンドといった、人工的なラインを作るデザインは、髪がほんの数ミリ伸びただけで、その綺麗な線が崩れ、非常にだらしなく見えてしまうという、大きなデメリットがあるからです。その点、自然にぼかされた襟足は、伸びていく過程も自然で、美しい状態を、より長くキープすることができるのです。
バーバーの「仕事」は、襟足にこそ現れる
そして、この最も美しく、最も持続性の高い「ナチュラルなぼかし」を、芸術の域まで高めることこそ、私たちバーバー(理容室)の真骨頂です。
・ミリ単位で計算された、グラデーションの技術
プロの理容師は、ただバリカンで刈り上げるだけではありません。お客様一人ひとりの首の形、髪の生え癖を正確に見極め、複数のアタッチメントを巧みに使い分けながら、地肌の色から始まる、どこにも境目のない、完璧で滑らかなグラデーションを創り上げていきます。
・至高の仕上げ、「カミソリ」によるシェービング
そして、バーバーの仕事を象徴するのが、刈り上げの最後の仕上げに行う、カミソリを使った「シェービング」です。温かい蒸しタオルで肌を和らげ、きめ細かな泡を乗せ、レザー(カミソリ)で、産毛の一本一本までを、丁寧に、そして完璧に剃り上げる。この工程が、他のどんなサロンでも決して味わうことのできない、圧倒的な清潔感と、快感を生み出すのです。
・セルフカットでは、絶対に到達できない領域
言うまでもありませんが、この襟足の処理は、自分自身の目では見ることのできない領域です。セルフカットで、このプロの仕事を再現することは、絶対に不可能です。
理容室(バーバー)でのオーダー方法
あなたの後ろ姿を、最高に格好良くするために。オーダーの際は、プロに委ねるのが一番です。
・プロの診断に委ねるのが、最善の選択
「僕の首の形や生え癖に合うように、一番きれいに見える襟足にしてください」
この一言で、十分です。プロは、あなたの素材を最大限に活かす、最高のデザインを提案します。
・こだわりを伝える
「襟足は、自然にぼかす感じでお願いします」
「最後、カミソリで綺麗に剃って仕上げてほしいです」
といったように、あなたのこだわりを伝えるのも、もちろん素晴らしいことです。
まとめ
あなたが鏡で見る正面の顔は、あなた自身のためのものかもしれません。しかし、あなたの後ろ姿は、あなたと共に時間を過ごす、周りの全ての人のためのものです。特に、スポーツ刈りのような潔いショートスタイルにおいて、完璧に手入れされた美しい襟足は、あなたの品格と美意識を雄弁に物語る、最高の「名刺」となり得るのです。もう、自分では見えない部分に、無頓着でいるのは終わりにしませんか。360度、どこから見ても隙のない、完璧な後ろ姿を手に入れるために、ぜひ一度、信頼できる理容師に、あなたの襟足を預けてみてはいかがでしょうか。