メンズヘアセット「巻き髪」の作り方|アイロンで創る自然な動きと立体感
メンズのヘアセットにおいて、ワックスなどでただ形を整えるだけでなく、ヘアアイロンを使って「巻き髪」を取り入れるスタイルが、もはや定番となっています。直毛のままでは出せない柔らかな質感や、パーマをかけたような立体的な束感を、ヘアアイロン一つで自在に創り出すことができるのです。しかし、「自分でやってみたいけれど、火傷をしそうで怖い」「どう巻けば自然に見えるのかわからない」といった、初心者ならではの不安を感じる方も多いでしょう。この記事では、そんな方々のために、メンズ巻き髪の基本的な作り方から、おしゃれに仕上げるためのコツまでを詳しく解説していきます。
なぜメンズヘアに「巻き」が必要なのか?
そもそも、なぜ手間をかけてまで髪を巻くのでしょうか。それには、ヘアスタイル全体の完成度を劇的に向上させる、いくつかの明確なメリットがあるからです。
圧倒的な立体感と動き
- のっぺり感を解消
特に直毛の方の場合、何もしないと髪が平面的でのっぺりとした印象になりがちです。髪にアイロンでカール(CカールやSカールなど)を付けることで、ヘアスタイル全体に立体感が生まれ、豊かな表情と奥行きが生まれます。 - 柔らかなニュアンス
髪に自然な動きが加わることで、硬く見えがちな印象が和らぎ、優しく柔らかな雰囲気を演出することができます。清潔感はそのままに、どこか親しみやすい印象を与えたい場合に非常に効果的です。
骨格補正効果
- ボリュームコントロール
「トップにボリュームが欲しい」「サイドのハチの張りを抑えたい」といった、多くの男性が持つ骨格の悩みを、カールで作るボリューム感で巧みにコントロールすることができます。欲しいところにはボリュームを足し、抑えたいところはタイトに見せることが可能です。 - 理想のシルエットへ
例えば、トップ部分をふんわりと内巻きにして高さを出し、襟足を外ハネに巻いてくびれを作ることで、誰にでも似合いやすいとされる理想的な「ひし形シルエット」に近づけることができます。
スタイリングの幅が広がる
- 様々なスタイルに応用可能
ナチュラルなマッシュスタイルから、色気のあるセンターパート、活動的なアップバングスタイルまで、どんな髪型も「巻き」の工程を少し加えるだけで、その完成度は格段に上がります。スタイリングの幅が大きく広がり、毎日のおしゃれがもっと楽しくなります。
巻き髪セットの基本|道具と手順
まずは、巻き髪セットに必要な道具と、基本的なアイロンの使い方をマスターしましょう。正しい手順を踏めば、初心者でも安全に、そして綺麗に仕上げることができます。
準備するもの
- ヘアアイロン
カール専用の「カールアイロン(コテ)」、または「ストレートアイロン」を使用します。どちらでも巻くことは可能ですが、初心者の男性には、火傷のリスクが比較的少なく、内巻きや外ハネなど様々なカールを付けやすいストレートアイロンがおすすめです。プレートの幅が24mm前後の、細めのタイプが小回りが利いて使いやすいでしょう。 - スタイリング剤
アイロンの熱から髪を守る効果のある、洗い流さないトリートメント(ヘアオイルやヘアミルク)や、作ったカールをキープするためのワックス、ヘアスプレーなどを用意します。 - ダッカールクリップ
髪を分けとる(ブロッキングする)際に使う、ワニの口のような形をしたクリップです。これがあるだけで、作業効率と仕上がりの美しさが全く違ってきます。
基本的な巻き方の手順
- 1. 髪を完全に乾かし、熱保護剤をつける
濡れた髪に高温のアイロンを当てるのは、髪を激しく傷める原因となるため絶対にやめましょう。髪を完全に乾かした後、熱から髪を守るためのヘアオイルなどを全体に薄く馴染ませます。 - 2. 髪をブロッキングする
まずは、セットの邪魔になる上の部分の髪を、ダッカールクリップで留めてしまいます。襟足やもみあげなど、下のセクションから順番に巻いていき、終わったら上の髪を下ろして巻く、というように進めると、巻き残しがなく、均一で綺麗なカールを作ることができます。 - 3. アイロンで熱を加えてカールを作る
一度にたくさんの毛束を取らず、少量ずつ巻いていきます。毛束をアイロンで挟み、作りたい動きに合わせてアイロンを滑らせたり、手首を返したりしてカールを付けます。同じ場所に3秒以上熱を当て続けると、髪が傷む原因になるため注意しましょう。 - 4. 全体を巻き終えたら、熱を冷ます
髪は、熱が加わった状態から、冷める瞬間にカールが固定されます。そのため、巻き終えた直後にすぐに触ってしまうと、せっかくのカールがだれてしまいます。髪全体の熱が完全に取れるまで、数分間待ちましょう。 - 5. スタイリング剤で仕上げる
髪の熱が冷めたら、ワックスなどを手のひらでよく伸ばし、巻いたカールを優しくほぐすようにしながら、髪全体に馴染ませていきます。最後に、ヘアスプレーでスタイル全体をキープすれば完成です。
自然に見せるための巻き髪のコツ
「いかにも巻きました」という不自然な感じを出さないためには、いくつかのポイントがあります。
全て同じ方向に巻かない
- ランダムな動きを意識する
全ての毛束を内巻き、あるいは外巻き、というように同じ方向に巻いてしまうと、単調で不自然なスタイルになってしまいます。内巻きと外巻きをランダムに織り交ぜることで、より自然で無造作な動きが生まれます。
根元から巻きすぎない
- カールは中間から毛先に
髪の根元からアイロンを強く入れてしまうと、頭が大きく見えたり、不自然なボリュームが出過ぎたりする原因になります。カールを付けるのは、基本的に髪の中間から毛先にかけて、と意識することが大切です。
顔周りは特に慎重に
- 外巻きで流すのが基本
顔周りの髪を内巻きにしてしまうと、顔を覆う形になり、表情が暗く、重たい印象を与えがちです。顔の外側に向かって後ろに流すように「外巻き(リバース巻き)」にすると、顔周りがすっきりと明るく見え、洗練された印象になります。
毎日の「巻き」が面倒なら、プロに相談を
セルフでのアイロンスタイリングは、ヘアセットの楽しみを広げてくれる素晴らしい技術です。しかし、より根本的な解決策を求めるなら、ぜひ一度私たちプロの理容師にご相談ください。
そもそも「巻きやすい髪」にカットする
- 動きを計算した質感調整
お客様がご自宅でアイロンを使った時に、綺麗なカールや束感が簡単に生まれるように、私たちプロの理容師は、毛量を的確に調整し、髪の質感をコントロールしながらカットします。この計算されたベースカットこそが、スタイリングのしやすさを決定づける最も重要な要素なのです。
「パーマ」で毎日のセットを劇的に楽に
- アイロン要らずの再現性
毎朝アイロンを使うのが面倒、あるいはどうしても上手くできないという方には、「パーマ」が最良の解決策となります。髪を濡らして乾かすだけで、まるでアイロンで巻いたかのような柔らかなカールや動きが再現できます。スタイリング時間を大幅に短縮できるだけでなく、雨の日などの湿気が多い日でもスタイルが崩れにくくなるという大きなメリットもあります。
あなたに似合う「巻き髪」の提案
- 骨格と髪質に合わせたデザイン
どのようなカールやウェーブが似合うかは、お客様の骨格や髪質、そして目指すイメージによって一人ひとり全く異なります。私たちは、丁寧なカウンセリングを通じて、あなたに最も似合う巻き髪スタイルや、それを実現するための最適な方法(カット、パーマ、スタイリング)をトータルで提案します。
まとめ
メンズの「巻き髪」は、ヘアアイロンを使えば誰でも挑戦することができ、いつものヘアスタイルの印象を大きく変える力を持っています。しかし、毎日のセットをより簡単に、そしてより高いクオリティで実現するためには、ベースとなるプロのカット技術や、「パーマ」という非常に有効な選択肢が存在します。あなたのヘアスタイルに、新しい動きと立体感を加えてみませんか。そのための最適な方法を、ぜひ私たちと一緒に見つけましょう。