理髪店が教える整髪料の選び方。ワックス、ジェル、ポマードの違いと使い方
理髪店で完璧に仕上げてもらったヘアスタイル。鏡の前で満足したものの、翌朝、ご自身で同じように再現しようとしても、なかなうまくいかない。そんなご経験はございませんか。その鍵を握っているのが、ご自身の髪質となりたいスタイルに合った「整髪料(スタイリング剤)」を、正しく選んで使えているかどうかです。この記事では、髪のプロである理容師の視点から、整髪料の基本的な種類と、ご自身に最適なものを見つけるための選び方・使い方を詳しく解説いたします。
多様なメンズスタイルを支える整髪料の種類
一言で整髪料と言っても、その種類は様々で、それぞれに得意なスタイルや質感が異なります。まず代表的なものの特徴を理解することから始めましょう。
ワックス: 最もポピュラーな整髪料で、髪に動きや束感を出すのを得意とします。ツヤのないマットなタイプから、潤いのあるグロスタイプまで非常に種類が豊富で、ナチュラルなスタイルから無造作感のあるスタイルまで、幅広く対応できるのが魅力です。
ジェル: 高いセット力と、ウェットで光沢のある質感が特徴です。髪をパリッと固めることができるため、七三分けやオールバックといった、クラシックできちんとした印象のスタイルを創るのに適しています。
ポマード・グリース: ジェルのような強いツヤ感とセット力を持ちながら、固まらずに何度も手ぐしで直せる「再整髪」が可能なのが特徴です。近年人気の、きっちりと撫でつけたようなバーバースタイルには欠かせない整髪料です。
あなたに最適な整髪料の選び方
数ある選択肢の中から、ご自身に合った整髪料を選ぶには、まず「髪質」と「なりたいヘアスタイル」の二つの軸で考えるのが基本です。例えば、髪が細く柔らかい方は、油分の多い重いタイプだとボリュームが出にくいため、軽やかな質感のワックスが向いています。逆に、髪が硬く太い方は、セット力の高いジェルやグリースを使うと、スタイルが崩れにくく一日中維持することができます。また、ふんわりとさせたいのか、ビシッと固めたいのか、ご自身の理想の仕上がりから逆算して選ぶことも、失敗しないための大切なポイントです。
プロが実践する、整髪料の正しい使い方
整髪料の効果を最大限に引き出すには、正しい使い方が欠かせません。まず、どんな整髪料でも、一度にたくさん取るのではなく、少量(小豆一粒程度)から始めるのが鉄則です。それを両方の手のひらで、指の間まで含めて、透明になるまでしっかりと伸ばします。このひと手間が、髪に均一に馴染ませ、ムラを防ぐための最も重要な工程です。そして、毛先だけにつけるのではなく、髪の内側に空気を含ませるように、根元に近い部分から全体に馴染ませていくことで、スタイルに立体感が生まれ、格段に長持ちするようになります。
最高のスタイリングは、最高のカットから
どんなに優れた整髪料を正しく使っても、その土台となるヘアカットが髪質や骨格に合っていなければ、理想のスタイリングは決して実現しません。お客様一人ひとりのために精密に計算されたカットは、本来、最小限の整髪料で、誰でも簡単にスタイルを再現できるように創られています。整髪料は、あくまでその完成度をさらに高め、維持するための強力なサポーターなのです。
誠実な理容師は、あなたの明日までをデザインします
私たちの仕事は、お店の椅子の上でお客様を格好良くするだけで終わりではありません。お客様がご自宅に帰られてから、次のご来店までの毎日を、ご自身で簡単に、そして素敵にスタイリングできるか。そこまでを想像し、お客様に最適な整髪料を選び、その使い方を丁寧にお伝えすること。それこそが、お客様の毎日に寄り添う、誠実な理容師の大切な務めです。どの整髪料が自分に合うかお悩みでしたら、どうぞお気軽に、私たち髪のプロフェッショナルにご相談ください。