剛毛のツーブロックが浮くお悩みへ。原因と失敗しないオーダー方法を理容師が解説
すっきりと清潔感のあるツーブロックスタイルにしたはずが、サイドの髪がピンと浮いてしまい、かえって頭が大きく見えてしまう。剛毛の髪質をお持ちの方の中には、このような深刻なお悩みを抱えていらっしゃる方が少なくありません。「剛毛だから仕方ない」と諦めてしまう前に、まずはその原因を正しく理解することが、解決への第一歩となります。この記事では、なぜ剛毛のツーブロックが浮いてしまうのか、そしてその悩みを解消するための具体的な対策を、プロの理容師の視点から詳しく解説してまいります。
なぜ剛毛のツーブロックは浮いてしまうのか
剛毛の方のツーブロックが浮いてしまう現象は、主に髪の毛そのものの力強い性質に起因します。剛毛は、髪一本一本が太く硬いため、非常に強いハリとコシを持っています。そのため、短くカットされると、その反発力によって毛根が生えている方向、つまり肌に対して垂直に近い角度で立ち上がろうとします。特に、頭の形が角張っているハチ周りは、この「浮き」が顕著に現れやすい部分です。これが、お客様が「サイドが浮く」と感じる現象の正体なのです。
「浮かないツーブロック」をオーダーするための重要ポイント
この浮きという問題を解決するためには、理容室でのオーダーの仕方が極めて重要になります。次回カットされる際に、ぜひ以下のポイントを意識してみてください。
ミリ数の慎重な選定
サイドを刈り上げる際のミリ数設定は、浮きを抑える上で非常に重要です。実は、6mmや9mmといった中途半端な長さが、髪の反発力が最も強くなり、かえって浮きやすくなる場合がございます。対策としては、2mmや3mmといった、髪が立ち上がる前に刈り込んでしまう短さに設定するか、あるいは逆に浮きが目立たない程度の長さを残すか、お客様の髪質と骨格に合わせた慎重な見極めが必要となります。
「被せる髪」の巧みな設計
浮きやすい部分を自然にカバーするためには、上に被せる髪の長さや重さの設計が鍵を握ります。闇雲に梳いて軽くしてしまうのではなく、あえて適度な重さを残すことで、その重みで下の浮きやすい髪を押さえつけるという効果が期待できます。どこをどのくらい残すかというバランス感覚が、プロの腕の見せ所です。
境目を自然に見せる「ぼかし」の技術
刈り上げた部分とトップの長い髪との境目を、いかに自然に繋げる(ぼかす)かも、浮きを目立たなくさせるための大切な要素です。この部分がくっきりとした段差になっていると、浮きがより強調されてしまいます。バリカンだけでなく、ハサミを用いて丁寧に馴染ませることで、仕上がりは格段に変わってまいります。
ご自宅でできる!浮きを抑える日々のスタイリング術
カットの工夫に加えて、ご自宅での日々のスタイリングによっても、浮きは大幅に改善することが可能です。最も効果的なのは、ドライヤーのかけ方を工夫することです。髪を乾かす際、浮いてしまうサイドの部分を、ドライヤーの風を上から当てながら、もう片方の手のひらで根元からしっかりと押さえつけてください。この「熱を当てながら押さえつけ、冷まして形を記憶させる」という一手間を加えるだけで、収まりが全く違ってきます。スタイリング剤は、セット力と適度な重さがあるグリースやジェルを選び、トップをセットした流れでサイドを優しく撫でつけるように塗布するのがおすすめです。
究極の解決策「ダウンパーマ」という選択肢
どうしても浮きが収まらないという方には、「ダウンパーマ」という専門的な施術もございます。これは、サイドの浮いてしまう部分にだけ、根元を寝かせるようにパーマをかける技術です。薬剤の力で髪の生えグセを矯正するため、乾かすだけで自然にサイドが収まるようになり、日々のスタイリングが劇的に楽になります。
浮きのお悩みは、カット技術で解決できます
様々な対策をご紹介いたしましたが、剛毛のツーブロックが浮くという根本的なお悩みを解決する鍵は、やはり理容師のカット技術に尽きると言えます。お客様一人ひとりの骨格や髪の生え方をミリ単位で見極め、最適な刈り上げの高さや被せる髪のバランスをデザインすること。それこそが、私たちプロフェッショナルの仕事です。日々のスタイリングでごまかすのではなく、カットだけで美しいシルエットが完成する。そんな理想のヘアスタイルを、私たちはご提供できると確信しております。「自分の髪質では無理だ」と諦めてしまう前に、ぜひ一度、そのお悩みを私たち誠実な理容師にご相談ください。