ワックスとトリートメントの関係性|スタイリングとヘアケアを両立する知識
日々のヘアスタイリングに欠かせない「ワックス」と、髪の健康を保つための「トリートメント」。これらは、メンズグルーミングにおいて、それぞれに重要な役割を担うアイテムですが、皆様は、この二つの関係性を正しく理解し、効果的に活用できているでしょうか。「ワックスとトリートメントを混ぜて使っても良いのだろうか?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、ワックスとトリートメントの正しい関係性と、それぞれの効果を最大限に引き出すための知識について、プロの視点から詳しく解説いたします。
ワックスとトリートメント、それぞれの基本的な役割
まず、二つのアイテムが持つ、根本的な役割の違いを理解することが重要です。ヘアワックスは、髪型を創り上げ、そのスタイルを維持することを目的とした「スタイリング剤」です。一方、トリートメントは、髪の内部や表面に作用し、ダメージを補修したり、潤いや栄養を与えたりすることを目的とした「ヘアケア剤」です。この目的の違いを念頭に置くことが、正しい使い方への第一歩となります。
ワックスとトリートメントを混ぜて使うのは正解か
スタイリングの際に、ワックスの伸びを良くしたり、髪への負担を減らしたりする目的で、ワックスに洗い流さないトリートメントなどを混ぜて使う、という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、私達プロの視点からは、この方法は一概におすすめできるものではございません。なぜなら、ワックスとトリートメントを混ぜ合わせることで、ワックスが本来持つセット力が薄まってしまい、スタイルが崩れやすくなる可能性があるからです。また、製品同士の相性によっては、成分が分離してしまい、ダマやムラの原因となることも考えられます。
スタイリングとケアを両立させる、プロが実践する正しい手順
それでは、スタイリングとヘアケアを両立させるためには、どのようにすれば良いのでしょうか。答えは、「混ぜる」のではなく、「正しい順序で、それぞれの役割を全うさせる」ことにあります。
ケアの段階:ドライヤーの前に「洗い流さないトリートメント」
まず、ヘアケアの段階です。髪を洗ってタオルドライをした後、ドライヤーで髪を乾かす前に、洗い流さないトリートメントを髪全体に馴染ませます。これにより、ドライヤーの熱から髪を守ると同時に、髪の内部に潤いを閉じ込め、スタイリングしやすい滑らかな土台を創ることができます。
スタイリングの段階:完全に乾いた髪に「ワックス」
そして、髪が完全に乾いた状態で、初めてワックスを使います。ケア成分で整えられた髪の上で、ワックスは本来の性能を最大限に発揮し、理想のスタイルを創り上げ、そして維持してくれるのです。このように、「ケア」と「スタイリング」の工程を明確に分けることが、プロが実践する最も効果的な方法です。
洗い流す場面での、トリートメントの意外な活用法
実は、スタイリング後、髪を洗う場面において、トリートメント(洗い流すタイプ)が意外な形で活躍します。セット力の高いワックスがシャンプーだけでは落ちにくい場合、シャンプーの前に、まずコンディショナーやトリートメントを髪に馴染ませてみてください。油分であるワックスが、同じく油分を含むトリートメントと混ざり合うことで「乳化」し、驚くほど簡単に洗い流せる状態になります。これは、髪への負担を減らしながら、ワックスを完璧に落とすためのプロの裏技です。
あなたに最適な「ケアとスタイリング」の答えをサロンで
近年では、スタイリング剤自体の品質も向上し、保湿成分などのヘアケア成分を豊富に含んだワックスや、スタイリングもできるヘアバームといった、ケアとスタイリングの境界線を越えるような製品も数多く登場しています。
私達サロンでは、お客様一人ひとりの髪質やダメージレベル、そして創りたいヘアスタイルを総合的に判断し、数ある高品質な「サロン専売品」の中から、お客様にとって最適となる、スタイリング剤とトリートメントの組み合わせをご提案させていただきます。日々のスタイリングとケアに関するあらゆる疑問は、ぜひ一度、髪の専門家である私達にご相談ください。