短髪のワックスの付け方|基本から学ぶプロのスタイリング術
すっきりと清潔感のある「短髪」は、メンズヘアスタイルの定番として常に高い人気を誇ります。しかしその一方で、髪が短いからこそ、「ワックスの付け方がよく分からない」「上手くスタイリングできない」といったお悩みを抱えている方も少なくありません。実は、短髪の魅力を最大限に引き出すためには、その長さに適した、特別なワックスの付け方の技術が必要です。この記事では、ご自宅でサロンスタイルを再現するための、短髪へのワックスの正しい付け方を、基本から詳しく解説いたします。
スタイリングは「ワックスをつける前」に始まっている
まず、多くの方が誤解されている点ですが、短髪のスタイリングは、ワックスを手に取るずっと前の段階から始まっています。特に、髪の根元からの「立ち上がり」や、全体の「シルエット」は、ワックスの力だけで創るものではありません。
最重要工程:ドライヤーでのベース作り
スタイリングを始める際は、まず髪を一度根元からしっかりと濡らし、リセットします。その後、ドライヤーの熱と風を使い、なりたいヘアスタイルの土台を創り上げてください。トップは根元を立ち上げるように、サイドは膨らみを抑えるように、手で髪を握り込んだり、様々な方向に散らしたりしながら、髪を完全に乾かします。このドライヤーの段階で、髪型の骨格を8割方完成させておくことが、プロのスタイリングの絶対的な基本です。
プロが実践する、短髪へのワックスの正しい付け方
ドライヤーで完璧な土台が出来上がったら、いよいよワックスで仕上げていきます。短髪に適した、基本にして究極の付け方を、ステップごとに見ていきましょう。
ステップ1:短髪に適したワックスを選ぶ
まず、短髪には、髪を根元から力強く立ち上げ、創ったスタイルを一日中キープできる、セット力の高いワックスが適しています。ツヤを抑えたドライな質感に仕上がるマットワックスやクレイワックスなどが、現代の短髪スタイルには特に相性が良いでしょう。
ステップ2:「少量」を「完璧に」伸ばす
手に取るワックスの量は、「小豆一粒大」ほどの少量から始めてください。短髪の場合、量が多すぎると、すぐにベタついて重い印象になってしまいます。そして、そのワックスを手のひら、指の間まで、完全に透明になるまで、両手を擦り合わせて完璧に伸ばします。
ステップ3:「根元から」「振り下ろす」ように馴染ませる
準備ができたら、髪の表面から押さえつけるように付けるのではなく、髪の内側に下から手を入れ、頭皮に近い根元付近からワックスを馴染ませていきます。指を開き、髪をワシャワシャと振るようにして、髪全体にワックスを均一に散りばめていくのがプロのテクニックです。これにより、髪の内側からスタイルが支えられ、自然な立体感が生まれます。
ステップ4:「つまんで」「ねじる」で束感を創る
全体にワックスが馴染んだら、全体のシルエットを手ぐしで整えます。そして最後の仕上げに、指先に残ったごく僅かなワックスで、前髪やトップの毛束を少しずつつまみ出し、軽くねじるようにして、スタイルにシャープな動きとディテールを加えていきます。この丁寧な仕上げが、スタイルに洗練された印象を与え、完成度を大きく引き上げます。
最高の短髪スタイルは「最高の土台」から
これまでにご紹介した正しい付け方を実践すれば、ご自宅でのスタイリングの質は劇的に向上するはずです。しかし、そもそもお客様一人ひとりの髪質や骨格に合わせて、スタイリングがしやすいように、そして束感が出やすいように緻密に計算されたベースカットが施されていなければ、日々のスタイリングは難しいものになってしまいます。
私達プロのスタイリストは、お客様がご自宅で簡単に理想のスタイルを再現できるよう、カットの段階からデザインを創り上げます。そして、そのカットデザインを最大限に活かすための高品質な「サロン専売品」の中から最適な一品を選び出し、目の前で実践しながら、このプロの付け方をマンツーマンで丁寧にお伝えさせていただきます。
最高のカットと、最高の道具、そして最高の技術。その全てを、ぜひ一度サロンでご体感ください。