ワックスで創る「束感」とは?お洒落な髪型の基本を徹底解説
メンズヘアスタイリングの世界で、プロとアマチュアの仕上がりを分ける最も大きな要素の一つ、それが「束感」です。雑誌やウェブサイトでお洒落なヘアスタイルを見ると、必ずと言っていいほど、この「束感」という言葉が登場します。しかし、その意味を正確に理解し、ご自身のスタイリングで自在に表現できている方は、意外と少ないかもしれません。この記事では、「束感」とは一体何なのか、そしてなぜそれが重要なのかという基本の知識から、ヘアワックスを使ってそれを創り出すための考え方まで、詳しく解説いたします。
「束感」の正体とその役割
まず、「束感」とは、単に髪の毛が束になっている状態を指すのではありません。それは、数本から数十本の髪の毛がまとまって一つの「毛束」となり、その毛束と毛束の間に意図的に「空間」や「隙間」が生まれている状態のことを指します。この毛束と空間が生み出す陰影によって、ヘアスタイルに立体感が生まれ、髪一本一本が呼吸しているかのような、軽やかさと動きが表現されるのです。のっぺりとした重い印象をなくし、髪に表情と生命感を与えること。それこそが、「束感」が持つ最も重要な役割です。
なぜ、お洒落なヘアスタイルには「束感」が不可欠なのか
美しい束感が創り出されたヘアスタイルは、見る人に洗練された印象を与えます。例えば、同じショートヘアであっても、束感がなく平面的に整えられたスタイルと、毛束が立体的に交差し、動きのあるスタイルとでは、そのお洒落の度合いは全く異なります。束感は、髪のボリュームをコントロールしたり、頭の形を補正して見せたりする効果も持っています。また、作り込みすぎていない、自然でありながらも計算された「こなれ感」を演出するための、最も有効なテクニックでもあるのです。
「束感」を創り出すためのヘアワックスの役割
この繊細な束感を創り出す上で、主役となるのがヘアワックスです。ヘアワックスに含まれるロウ成分やファイバー(繊維)成分が、髪の毛同士を接着し、まとまりやすい状態へと導きます。ジェルが髪全体を面で固めてしまうのに対し、ワックスは髪を点でまとめ、束としての独立性を保ちながらスタイルをキープすることができます。そして、製品のタイプによって、創り出せる束感のニュアンスも異なります。例えば、ファイバーワックスならしなやかで動きのある束感を、マットワックスやクレイワックスならドライで力強い束感を、というように、なりたいイメージに合わせて道具を選ぶことが可能です。
理想の「束感」は、ただの「束」とは違うという意識
最後に、最も重要な意識として、理想の「束感」は、ワックスの付けすぎによるベタついた「束」とは全くの別物である、ということをご理解ください。美しい束感を創るための秘訣は、ごく少量のワックスを、指先にまで完璧に伸ばし、髪の内側から空気を含ませるように馴染ませ、一本一本の毛束を丁寧につまみ出して創り上げていく、という繊細なプロセスにあります。
最高の「束感」は、最高の「土台」と「道具」から
そして、その繊細なプロセスを成功させるためには、そもそも束感を創りやすいように、毛量調整や質感調整が施されたプロフェッショナルなベースカットが不可欠です。
私達プロのスタイリストは、お客様がご自宅で簡単に束感を再現できるよう、緻密に計算してカットを施します。そして、そのカットデザインを最大限に活かすための、高品質な「サロン専売品」の中から最適な一品を選び出し、目の前で実践しながら、プロの技術をマンツーマンで丁寧にお伝えさせていただきます。
もう、ただワックスをつけただけのスタイルで終わらせないために。本物の「束感」を手に入れたいとお考えでしたら、ぜひ一度、私達にご相談ください。