ワックスでサイドを抑える方法|膨らむ髪をタイトに仕上げるプロの技術
ヘアスタイル全体のシルエットを美しく見せる上で、最も重要なポイントの一つが、サイドの髪のボリュームをいかにタイトに抑えるか、という点です。トップに動きやボリュームを出しても、サイドが膨らんでしまっていては、全体のバランスが崩れ、頭が大きく見えてしまう原因となります。「ワックスをつけてもサイドが浮いてしまう」「時間が経つと膨らんできてしまう」といったお悩みは、髪質や骨格を問わず、非常に多くの方が抱えています。この記事では、膨らみがちなサイドの髪を、ワックスを使って一日中タイトに抑えるための、プロが実践する具体的なテクニックを詳しく解説いたします。
なぜサイドの髪は膨らみやすいのか
サイドの髪が膨らむ原因は、日本人に多いとされる横に張った骨格(ハチ)の影響や、髪が伸びてくる過程で根元の力が強くなること、そして髪自体の生え癖などが挙げられます。多くの方が、この膨らみをワックスの力だけで無理に抑え込もうとして、失敗してしまっています。実は、サイドを完璧に抑えるためには、ワックスを塗布する前の「準備段階」こそが最も重要になるのです。
勝負はワックスをつける前の「ドライヤー」で決まる
サイドをタイトに抑えるための秘訣は、ドライヤーの熱を利用して、髪の根元の生え癖を物理的に矯正することにあります。髪は、熱が加えられて、冷める瞬間に形が記憶されるという性質を持っています。この原理を最大限に活用します。
プロが実践する「押さえつけドライ」の技術
まず、スタイリングを始める前に、サイドの髪を根元からしっかりと濡らします。その後、抑えたい部分の髪の根元に、ドライヤーの温風を上から下へと当てます。ここでのポイントは、ドライヤーを持っていない方の手のひらで、髪をピタッと頭皮に押さえつけながら風を当てることです。髪の根元が熱で柔らかくなったら、手のひらで押さえつけたまま、ドライヤーの風を冷風に切り替えます。10秒ほど冷風を当てることで、根元が下向きに矯正された状態で形が記憶(形状記憶)されます。この「温めて、押さえて、冷やす」という工程が、サイドを抑えるための最も重要なテクニックです。
サイドを抑えるためのワックスの選び方と付け方
ドライヤーで完璧な土台を作ったら、次はその状態をキープするためのワックス選びと、その付け方が鍵となります。
適度な油分とセット力のあるワックスを選ぶ
サイドを抑える目的の場合、ドライで軽い質感のマットワックスなどよりも、適度な油分とセット力があり、髪をしっとりとまとめ上げる**「クリームタイプ」や「ジェルワックス」、あるいは「グリース」**などが適しています。これらのスタイリング剤は、髪の広がりを抑え、タイトなシルエットを維持するのに効果的です。
ワックスは「上から下へ」と撫でつける
少量のワックスを手のひらによく伸ばしたら、ドライヤーで作った毛流れに逆らわず、髪の表面を上から下へと撫でつけるようにして、薄く均一に塗布します。この時、根元からワックスをつけすぎたり、下から上へ持ち上げるようにつけたりすると、せっかく抑えた根元が再び立ち上がってしまい、膨らみの原因となるため絶対に避けてください。あくまで表面をコーティングし、ドライヤーで作った形を維持させるという意識が重要です。
根本的な解決策は「カット」にあり
これまでにご紹介したテクニックは非常に効果的ですが、そもそもサイドが膨らみやすい骨格や髪質の場合、日々のスタイリングをさらに簡単にするための根本的な解決策は、サイドを抑えやすいように計算されたベースカットにあります。
例えば、内側の髪を短く刈り上げる「ツーブロック」のスタイルは、サイドのボリュームを物理的になくすため、最も効果的な方法の一つです。私達プロのスタイリストは、お客様一人ひとりの骨格や髪質を見極め、膨らみを抑えつつも全体のバランスが最も美しく見えるようなカットデザインをご提案いたします。
そして、そのカットデザインを最大限に活かすための、高品質な**「サロン専売品」**の中から最適な一品を選び出し、ご自宅で簡単に再現できるプロの技術を直接お伝えすること。それこそが、私達の役割です。サイドの膨らみに関するお悩みは、ぜひ一度、私達にご相談ください。