ワックスの「ソフト」と「ハード」の違いは?髪型で選ぶ正しい使い方
ヘアワックスを選ぶ際に、最も基本的な指標となるのが「ソフト」と「ハード」というセット力の違いです。しかし、この二つの違いを、「単にセット力が弱いか、強いか」というだけで捉えてしまうと、ワックスが持つ本当の性能を引き出すことはできません。実は、ソフトワックスとハードワックスでは、その得意なことや、創り出せるヘアスタイルの質感が根本的に異なります。この記事では、両者の明確な違いと、それぞれがどのような髪型に適しているのかを、プロの視点から詳しく解説いたします。
「ソフトワックス」の特性と得意なスタイル
ソフトワックスは、セット力が穏やかで、柔らかくクリーミーなテクスチャーを持つものが一般的です。髪をガチガチに固めることなく、あくまで自然な質感を活かしながら、スタイルにまとまりと程よい毛流れを与えることを目的としています。
ソフトワックスが得意なこと
このタイプのワックスが最も真価を発揮するのは、作り込みすぎないナチュラルなスタイリングです。髪のパサつきを抑えて潤いを与えたり、パーマのカールを柔らかく再現したり、あるいは長めの髪の広がりを抑えて自然な毛流れを創り出したりするのに非常に適しています。髪を固めずに、素髪のような美しい質感を演出したい場合に最適な選択と言えるでしょう。
ソフトワックスにおすすめの髪型
具体的なヘアスタイルとしては、近年のトレンドである自然な丸みが特徴の「マッシュスタイル」や、センターパートなどの「ミディアムヘア」、そして「パーマスタイル」などが挙げられます。これらの髪型が持つ、本来の柔らかさや動きを損なうことなく、スタイルの完成度を高めてくれます。
「ハードワックス」の特性と得意なスタイル
ハードワックスは、その名の通り、創り上げたスタイルを一日中強力にキープするための、高いセット力とホールド力を備えています。髪の根元を力強く立ち上げたり、立体的な束感を創り出したりと、より積極的なスタイリングを可能にします。
ハードワックスが得意なこと
このタイプのワックスは、重力に負けない力強いスタイリングを得意とします。髪に立体感とメリハリを与え、シャープで動きのある毛束を創り出すのに不可欠です。また、髪が硬かったり、太かったりして、言うことを聞きにくい髪質の方を、意のままにコントロールするためにも、この強力なセット力が必要となります。
ハードワックスにおすすめの髪型
具体的なヘアスタイルとしては、トップをツンツンと立たせるような「ベリーショート」や、毛束感を強調した「ショートレイヤースタイル」などが最適です。また、髪質が柔らかい方でも、トップに高さを出すようなスタイルの場合は、その土台を支えるためにハードワックスが必要となります。
髪質に合わせた「ソフト」と「ハード」の選び方
どちらのタイプを選ぶべきか迷った際は、ご自身の髪質を基準に考えることも重要です。髪が柔らかく細い方がハードワックスをつけすぎると、その重みで髪が潰れてしまう可能性があります。逆に、髪が硬く太い方がソフトワックスを使っても、髪の力に負けてしまい、ほとんどスタイリング効果が得られないでしょう。一般的には、軟毛の方はソフト〜ミディアム系、剛毛の方はハード系が相性が良いとされています。
ラベルの向こう側にある「本物の品質」をサロンで
これまでソフトとハードの基本的な違いについて解説してまいりましたが、プロが使用する「サロン専売品」の世界では、その境界線はさらに繊細で、高度なものになります。例えば、ハードなセット力を持ちながらも驚くほど軽やかな質感の製品や、ソフトでありながら美しい束感を創り出せる製品など、市販品とは一線を画す品質を備えています。
お客様の髪質と、なりたいヘアスタイルを完璧に実現するためには、ソフトかハードかという単純な二元論ではなく、その中間に存在する無数の選択肢の中から、本当に最適な一品を選び出す必要があります。その最高の答えを、私達プロのスタイリストが、責任を持ってお探しいたします。ぜひ一度、その違いをご体感ください。