ヘアワックスの正しい塗り方|プロが教える基本のステップ
ご自宅でのヘアスタイリングにおいて、多くの方が最も悩むのが、ヘアワックスの「塗り方」ではないでしょうか。「ムラになってしまう」「ベタついて重くなる」「上手く髪に馴染まない」といった失敗は、実は、ワックスの基本的な塗り方の手順を知らないだけ、ということがほとんどです。この記事では、ワックスの性能を最大限に引き出し、まるでプロが仕上げたような洗練されたスタイルを創り出すための、正しい塗り方の全工程を、基本から詳しく解説いたします。
最高の「塗り方」は、最高の「下地」から始まる
まず、皆様に知っていただきたい最も重要なことは、ワックスを塗る前の「下準備」こそが、仕上がりのクオリティを決定づけるということです。塗装をする際に、まず下地を丁寧に整えるのと同じように、ヘアスタイリングにおいても、ワックスを塗るための最高のキャンバスを準備する必要があります。
準備:ドライヤーで髪型の「下地」を創る
最高の「下地」とは、ドライヤーによって創られた、ヘアスタイルの土台のことです。スタイリングを始める際は、まず髪を一度根元からしっかりと濡らしてリセットします。その後、ドライヤーの熱と風を使い、なりたいヘアスタイルをイメージしながら、髪の根元を立ち上げたり、サイドを抑えたり、毛流れを整えたりと、髪型の骨格を創り上げてください。この下地が完璧であればあるほど、ワックスの塗り方は驚くほど簡単になります。
プロが実践する、ワックスの正しい「塗り方」の全工程
ドライヤーで髪が完全に乾き、完璧な下地が完成したら、いよいよワックスを塗っていきます。プロが実践する、基本にして究極の塗り方を、ステップごとに見ていきましょう。
1.塗る量を決め、手のひらで完璧に準備する
まず、手に取るワックスの量は、「小豆一粒大」ほどの少量から始めてください。次に、そのワックスを、手のひら、そして指の間まで、完全に透明になるまで、両手を擦り合わせて完璧に伸ばします。この「乳化」という工程が、ワックスがダマにならず、髪に薄く均一な膜を張るように塗るための、絶対条件です。
2.髪全体に「薄く、均一に」ワックスを塗る
準備ができたら、まず後頭部やサイドといった、シルエットが崩れても問題ない部分から付け始めます。髪の内側に下から手を入れ、根元近くから毛先に向かって、髪全体をワシャワシャと大胆に散らすようにしてワックスを均一に行き渡らせます。この段階では、まだ形を創ることは意識せず、あくまで髪全体にワックスを薄くコーティングするイメージです。
3.シルエットを整え、質感を「塗り重ねる」
全体にワックスが馴染んだら、鏡を見ながら、手ぐしで全体のシルエットを整えます。トップの高さ、サイドの収まりなどを調整します。そして最後の仕上げに、指先に残ったごく僅かなワックスで、前髪の毛流れを整えたり、表面の毛束を少しずつつまみ出したりして、スタイルに立体感という質感を「塗り重ねて」いきます。
最高の「塗り方」は、最高の「画材」から
これまでにご紹介した正しい塗り方を実践すれば、ご自宅でのスタイリングの質は劇的に向上するはずです。しかし、その技術をさらに確実なものにするためには、使用するワックス、いわば「画材」自体の品質も大きく影響してきます。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる「サロン専売品」は、驚くほど少量でも、滑らかに、そして均一に髪に塗ることができるように、処方が徹底的に研究されています。そのため、初心者の方でも、プロが実践するような理想的な塗り方を、非常に簡単に再現することが可能です。
お客様の髪質とスタイルに最適な一品と、その場で実践しながらお伝えするプロの塗り方。その両方をご提供させていただくことこそ、私達の役割です。ぜひ一度、その違いをご体感ください。