ワックスを濡れたままの髪につけるのは正解?プロが教える正しい知識
忙しい朝のスタイリングで、「髪を乾かす時間を短縮したい」「タオルドライした後の、濡れたままの髪にワックスをつけても良いのだろうか?」と、そう考えた経験はございませんでしょうか。一見すると、時短テクニックのように思えるこの行為ですが、実は、ヘアワックスの性能を著しく損ない、スタイリングを失敗に導く、大きな落とし穴でもあるのです。この記事では、ワックスを濡れたままの髪につけることの是非と、それがもたらす影響について、プロの視点から詳しく解説いたします。
結論:ヘアワックスは「完全に乾いた髪」に使うのが基本です
まず、皆様の疑問に対する最も重要な答えから申し上げますと、一般的なヘアワックスは、必ず髪が完全に乾いた状態で使用するのが、スタイリングにおける絶対的な基本ルールです。髪に水分が残ったままの状態でワックスをつけてしまうと、様々な問題が生じ、理想のヘアスタイルを創り上げることは非常に困難になります。
なぜ「濡れたまま」の髪にワックスをつけてはいけないのか
それでは、なぜ濡れた髪にワックスをつけることが推奨されないのでしょうか。その理由を、科学的な観点から見ていきましょう。
1.ワックスのセット力が大幅に低下する
ヘアワックスの主成分は、油分や樹脂といった、水を弾く性質を持つものです。髪の表面に水分が残っていると、ワックスのセット成分が髪の毛に上手く付着することができず、水によって薄まってしまいます。結果として、ワックスが本来持つセット力やキープ力が、全く発揮されなくなってしまうのです。
2.ムラやベタつきの原因となる
ワックスは、乾いた髪の上で、手のひらで伸ばした油分が均一に広がるように設計されています。濡れた髪の上では、ワックスが滑るように均一に広がらず、部分的に固まって付着する「ダマ」の状態になりがちです。そして、髪が乾いていく過程で、そのダマになった部分が、不自然なベタつきやテカリとして現れてしまいます。
3.ボリュームが出ずに、スタイルが潰れてしまう
ヘアスタイルの土台となるボリューム感や根元の立ち上がりは、ドライヤーの熱と風によって創り出されます。濡れたままの髪にワックスをつけるということは、この最も重要な工程を省略してしまう、ということです。髪に残った水分の重さと、ワックスの重みが合わさることで、根元は立ち上がらず、全体的にボリュームのない、平面的で潰れたスタイルに仕上がってしまいます。
例外的なケース:「濡れ感」を創るスタイリング剤
ただし、例外も存在します。それは、意図的に「濡れ感」や「ウェットな質感」を創り出すことを目的とした、一部のスタイリング剤を使用する場合です。ジェルやグリース、水性ポマードといった製品は、タオルドライ後の、あえて少し水分が残った髪に馴染ませることで、その効果を最大限に発揮するように設計されているものもあります。しかし、これはあくまで特定の製品に限った話であり、一般的なマットワックスやファイバーワックスなどでは、同様の効果は得られない、とご理解ください。
最高のスタイルは、最高の「準備」と「道具」から
これまでにご紹介した通り、最高のヘアスタイルを創り上げるためには、ワックスをつける前の「ドライヤーでの完璧な下準備」と、なりたいスタイルに合わせた「最適なワックス選び」が不可欠です。
私達サロンでは、お客様一人ひとりの髪質と、創りたいヘアスタイルをプロの視点から正確に診断いたします。そして、数ある高品質な「サロン専売品」の中から最適な一品を選び出し、ドライヤーの使い方からワックスの付け方まで、ご自宅で簡単にサロンスタイルを再現できるよう、マンツーマンで丁寧にお伝えさせていただきます。
もう、スタイリングの基本的な疑問で迷う必要はございません。ぜひ一度、髪の専門家である私達にご相談ください。