ワックスを根元につけるのは正解?プロが教える正しいスタイリング術
ヘアワックスを使って、髪の根元からしっかりと立ち上げたい、あるいは、スタイル全体を力強くキープしたいと考えた際に、「ワックスは根元につけるべきなのだろうか?」と、その是非について疑問に思われたことはございませんでしょうか。実は、この「根元につける」という行為は、やり方を一歩間違えると、スタイリングの失敗や、頭皮トラブルの原因にもなりかねない、非常に繊細な技術を要するプロセスなのです。この記事では、ワックスと髪の根元の正しい関係性について、プロの視点から詳しく解説いたします。
原則として、ワックスは「頭皮」や「根元」に直接つけない
まず、皆様に知っていただきたい最も重要な基本原則があります。それは、ヘアワックスは、頭皮や髪の根元そのものに、ベタっと直接塗り込むようにつけるべきではない、ということです。
なぜ、根元に直接つけてはいけないのか
その理由は、二つあります。一つは、「頭皮への負担」です。ワックスに含まれる油分が、頭皮の毛穴に詰まってしまうと、フケやかゆみ、ニキビといった、様々な頭皮トラブルを引き起こす原因となります。健やかな髪は、清潔な頭皮という土台から育まれるため、毛穴を塞いでしまう行為は、極力避けるべきです。
もう一つの理由は、「スタイリングの失敗」です。髪の根元にワックスをつけすぎると、そのワックス自体の重みで、せっかくドライヤーで立ち上げた根元が、逆にペタッと潰れてしまいます。結果として、ボリュームのない、重くベタついた、不潔な印象のスタイルに仕上がってしまうのです。
プロが実践する、髪を「根元から支える」ための正しい付け方
それでは、プロはどのようにして、髪を根元から力強く立ち上げているのでしょうか。それは、「根元に直接つける」のではなく、**「髪の内側から、根元に近い部分にワックスを馴染ませ、スタイルを内側から支える」**という、似て非なるアプローチを取っています。
1.スタイルの土台は「ドライヤー」で創る
まず、大前提として、髪の根元の立ち上がりそのものは、ワックスではなく、ドライヤーの熱と風によって創り上げます。髪を乾かす際に、根元に逆方向から風を当てるなどして、髪の「立ち上がりのクセ」をしっかりとつけておくことが、全ての土台となります。
2.ワックスを、髪の「内側」から馴染ませる
小豆一粒大ほどの少量のワックスを、手のひらと指の間に完璧に伸ばしたら、髪の表面から押さえつけるように付けるのではありません。指を開き、髪の内側に下から手を差し込みます。そして、頭皮に指が直接触れないように注意しながら、髪の根元に近い、内側の部分に、髪をワシャワシャと振るようにしてワックスを散らし、馴染ませていきます。
3.髪を内側から支え、立ち上がりをキープする
この「内側からつける」という方法により、髪の表面はベタつくことなく、髪一本一本が内側からワックスによって支えられ、ドライヤーで創った根元の立ち上がりが、一日中力強くキープされるのです。最後に、指先に残ったワックスで毛先の束感を整えれば、プロが創る、軽やかでありながらも力強い、立体的なスタイルの完成です。
最高の技術は、最高の「道具」から
これまでにご紹介した、プロの繊細なテクニックを、ご自宅でより簡単に、そして確実に再現するためには、使用するワックス自体の品質も大きく影響してきます。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる「サロン専売品」は、高いセット力を持ちながらも、ベタつきが少なく、非常に軽い使用感の製品が豊富にございます。そのため、根元近くにつけても、スタイルが重くなることなく、ふんわりとした立ち上がりを長時間維持できるように、処方が緻密に計算されています。
お客様の髪質とスタイルに最適な一品と、それを最大限に活かすためのプロの技術。その両方をご提供させていただくことこそ、私達の役割です。ぜひ一度、その違いをご体感ください。