メンズスタイリングの王道「ハードワックス」の正しい選び方と使い方
メンズヘアスタイリングの世界において、最も基本的で、そして最も多くの男性に愛用されているのが「ハードワックス」です。その名の通り、高いセット力とキープ力を誇るこのスタイリング剤は、あらゆる髪型を力強く、そして美しく創り上げるための、頼れるパートナーと言えるでしょう。しかし、その一方で、「ただ硬いだけで、上手く扱えない」「ベタついて重い仕上がりになってしまう」といった、ハードワックスならではのお悩みをお持ちの方も少なくありません。この記事では、メンズスタイリングの王道であるハードワックスの基本的な特徴と、その性能を最大限に引き出すための、プロが実践する正しい使い方について詳しく解説いたします。
メンズの「ハードワックス」とは何か?
ハードワックスとは、数あるワックスの種類の中でも、特に「セット力」と「キープ力」に優れたタイプ全般を指す言葉です。製品のテクスチャーは比較的硬めなものが多く、髪を思い通りの形に創り上げ、そのスタイルを一日中、重力や湿気、日中の動きに負けずに維持(ホールド)する能力に長けています。ジェルやヘアスプレーのように髪を完全に固めてしまうのではなく、あくまで柔軟性を保ちながら、力強くスタイルを支えてくれるのが、ハードワックスの基本的な特徴です。
ハードワックスが得意なこと、そして適した髪型
それでは、ハードワックスは、具体的にどのようなヘアスタイルを創り出すことを得意としているのでしょうか。その最大の強みは、髪に「立体感」と「動き」を与える能力にあります。髪の根元を力強く立ち上げたり、シャープで動きのある「束感」を創り出したりするのに、ハードワックスは不可欠です。
この特性から、ベリーショートからミディアムヘアまで、幅広い髪型に対応できますが、特に、トップに高さを出すショートスタイルや、毛束感を強調した立体的なスタイル、あるいは軟毛でボリュームが出にくい髪質の方のスタイリングなどにおいて、その真価を最も発揮すると言えるでしょう。
プロが実践する、ハードワックスの正しい使い方
ハードワックスの強力な性能を、ご自宅で最大限に引き出すためには、いくつかの重要な手順とコツがあります。
1.ドライヤーで髪型の「骨格」を創り上げる
まず、ワックスをつける前のドライヤーの段階で、なりたいヘアスタイルの8割を完成させてください。ハードワックスは、このドライヤーで創った髪の立ち上がりや毛流れといった「骨格」を、その力強いセット力で固定し、維持させるためのものです。
2.硬いワックスは「摩擦熱」で完璧に伸ばす
セット力が高いハードワックスは、テクスチャーが硬いものが多くあります。これを無理に髪につけようとすると、ダマやムラの原因となります。適量を手のひらに取ったら、両手を強く擦り合わせ、摩擦熱と体温でワックスを完全に溶かし、透明なオイル状になるまで完璧に伸ばし広げてください。
3.髪の「根元」から力強く、しかし優しく
準備ができたら、髪の表面からではなく、スタイルを支える土台となる髪の根元付近に、下から指を差し入れるようにしてワックスを馴染ませます。髪全体に空気を含ませるように、一度大胆に髪を散らし、その後、全体のシルエットを整え、最後に指先に残ったワックスで毛束をつまんで仕上げます。
プロが選ぶ「本物」のハードワックスとは
これまでハードワックスの基本について解説してまいりましたが、プロが求める「本物」のハードワックスは、単にセット力が強いだけではありません。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる「サロン専売品」は、強力なセット力を持ちながらも、驚くほど伸びが良く、髪に重さを感じさせません。そして、時間が経っても湿気や汗に負けず、それでいてシャンプーの際にはスムーズに洗い流せる。こうした、相反する要素を極めて高いレベルで両立していることこそ、プロが選び続ける理由です。
お客様の髪質と理想のスタイルを、一日中最高の状態で維持するための一品を、私達が責任を持ってお選びいたします。ぜひ一度、その違いをご体感ください。