ヘアワックスで創る「毛束感」の作り方|お洒落なスタイルを演出するプロの技
お洒落なメンズヘアスタイルを構成する上で、最も重要な要素の一つが、髪に立体感と動きを与える「毛束感」です。雑誌のモデルや街中の洗練された方々のヘアスタイルを見ると、必ずと言っていいほど、この毛束感が巧みにコントロールされています。しかし、ご自身でスタイリングされる際に、「ただワックスをつけただけになってしまい、上手く束感が出せない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。この記事では、ヘアワックスを使って、プロが仕上げたような理想の毛束感を創り出すための、基本的な考え方と具体的なテクニックを詳しく解説いたします。
そもそも「毛束感」とは何か
毛束感とは、髪の毛が数本から数十本集まって一つの「束」となり、その束と束の間に生まれる空間によって、ヘアスタイルに立体感や動き、そして軽やかさが生まれる状態を指します。のっぺりとした印象をなくし、髪に表情を与えることで、ヘアスタイル全体の完成度を格段に引き上げる効果があります。この繊細な質感を自在に操ることこそ、スタイリング上級者への第一歩と言えるでしょう。
毛束感を創りやすいワックスの選び方
理想の毛束感を創るためには、まず、それに適したワックスを選ぶことが不可欠です。ワックスの種類によって、創り出せる束感のニュアンスは大きく異なります。
しなやかで動きのある束感を創るなら「ファイバーワックス」
ワックスの中に繊維(ファイバー)が含まれているこのタイプは、伸びが良く、髪に馴染ませやすいのが特徴です。糸を引くようなテクスチャーで、髪をまとめやすく、しなやかでありながらしっかりと動きのある毛束を創り出すのに適しています。特に、ミディアムヘアやマッシュスタイルとの相性が抜群です。
ドライで無造作な束感を創るなら「マットワックス」「クレイワックス」
ツヤを抑えたドライな質感に仕上がるこれらのタイプは、ラフで無造作な、力強い毛束感を表現するのに最適です。髪に適度な引っかかりが生まれるため、握るようにスタイリングするだけで、エッジの効いた立体的な束を簡単に創り出すことができます。ショートヘアやベリーショートの方に特におすすめです。
理想の毛束感を創り出すプロのスタイリング手順
最適なワックスを選んだら、次はその性能を最大限に引き出すための正しい使い方をマスターしましょう。毛束感は、いくつかの重要なステップを経て創り出されます。
1.ドライヤーで髪の方向性と立体感を仕込む
美しい毛束感を創るための準備は、ドライヤーの段階から始まっています。髪を乾かす際に、トップは根元を立ち上げるように、サイドは抑えるように、手ぐしで髪を散らしながら乾かすことで、髪の間に空間が生まれ、束感の土台が形成されます。
2.少量のワックスを完璧に指先まで伸ばす
手に取るワックスの量は、まず小豆一粒大ほどの少量から始めます。それを、手のひらだけでなく、**毛束を直接創る主役となる「指先」と「指の間」**にまで、透明になるまで完璧に伸ばし広げます。この工程を怠ると、ワックスがダマになり、綺麗な束にはなりません。
3.髪を散らし、握り、そしてつまむ
準備ができたら、まず髪の内側から手を入れて、髪全体を一度ワシャワシャと散らすようにしてワックスを馴染ませます。次に、ボリュームを出したい部分の髪を、下から優しく握り込むようにして、大きな束の塊を創ります。そして最後の仕上げに、その大きな束の中から、指先を使って表面の毛束を少しずつつまみ出し、軽くねじるようにして形を整えていきます。この「散らす→握る→つまむ」という三段階のプロセスが、立体的で自然な毛束感を創り出すための秘訣です。
繊細な質感を創り出すなら「サロン専売品」という選択
これまでにご紹介したテクニックを実践すれば、スタイリングの質は格段に向上するはずです。しかし、さらにその先にある、プロが創り出すような極めて繊細で、時間が経っても崩れない理想の毛束感を追求するのであれば、使用するワックス自体の品質が大きく影響します。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる**「サロン専売品」**は、少量でも驚くほど伸びが良く、ベタつかずに思い通りの束感を自在に創り出せるよう、処方が徹底的に研究されています。また、お客様一人ひとりの髪質や、ベースとなるカットデザインを正確に理解した上で、最も美しい毛束感を表現できる一品をご提案させていただくことこそ、私達の専門技術です。
ご自身のスタイリングをもうワンランク上のレベルへ引き上げたいとお考えでしたら、ぜひ一度、私達にご相談ください。