ワックスを毛先だけにつける効果とは?自然な束感と動きを出すプロの技
ヘアスタイリングを行う際、ヘアワックスを髪全体に馴染ませるのが一般的だとお考えの方も多いかと存じます。しかし、プロのスタイリストが質感をコントロールし、洗練されたスタイルを創り出す際に多用するのが、**「ワックスを毛先だけにつける」**という高度なテクニックです。この記事では、ワックスを毛先中心につけることの効果と、それによってどのようなヘアスタイルが実現できるのか、そしてその正しい方法について詳しく解説いたします。
なぜ「毛先だけ」にワックスをつけるのか
ワックスをあえて毛先中心に塗布する最大の目的は、髪の根元や中間のボリュームを潰すことなく、スタイルに自然な束感と軽やかな動きを与えることにあります。髪全体、特に根元からワックスをつけすぎてしまうと、その重みで髪がヘタってしまい、せっかくのヘアスタイルが台無しになってしまうことがあります。毛先という、スタイルの表情を決定づける部分にのみピンポイントでワックスを効かせることで、全体のシルエットはふんわりと保ちながら、繊細なニュアンスを表現することが可能になるのです。
「毛先だけ」のスタイリングが活きるヘアスタイル
このテクニックは、特に作り込みすぎない、ナチュラルな印象が求められる現代のヘアスタイルと非常に相性が良いと言えます。
ナチュラルなマッシュスタイル
近年のメンズヘアの主流であるマッシュスタイルは、その丸みを帯びた柔らかいシルエットが魅力です。毛先にのみ少量のワックスを馴染ませて自然な毛束を作ることで、重くなりがちなマッシュヘアに軽さと立体感が生まれます。
動きを出したいミディアムヘア
ミディアムレングスのヘアスタイルでは、毛先に動きをつけることで、スタイル全体に表情が生まれます。毛先を指でつまむようにしてワックスをつけ、ランダムな方向にはねさせたり、カールをつけたりすることで、無造作でありながら計算されたお洒落な雰囲気を演出できます。
パーマスタイルのリッジ感を強調
パーマをかけている場合、カールがかかっている毛先部分にワ-ックスを揉み込むことで、パサつきを抑え、リッジ(カールの立体感)をくっきりと再現することができます。スタイル全体にツヤとまとまりが生まれ、パーマの魅力を最大限に引き出します。
プロが実践する「毛先だけ」につける正しい方法
このテクニックを成功させる鍵は、使用するワックスの量と、指先への馴染ませ方にあります。
使用するのはごく僅かな量
まず、手に取るワックスの量は、米粒半分から一粒程度のごく少量で十分です。量が多すぎると、毛先がベタつき、不潔な印象を与えてしまうため、くれぐれもつけすぎには注意してください。
指先、特に第一関節までで伸ばす
手のひら全体ではなく、ワックスを塗布する際に主に使う人差し指と親指の指先、指の腹を中心にワックスを伸ばします。透明になるまでしっかりと擦り合わせ、指先に均一にワックスを行き渡らせます。
つまんで、ねじって、質感を創る
準備ができたら、創りたい毛束を指先で優しくつまみ、軽くねじるようにしてワックスを馴染ませます。これを、全体のバランスを見ながら、数カ所繰り返していきます。髪の表面を撫でるのではなく、あくまで「毛先」をピンポイントで捉えることが、洗練されたスタイルに仕上げるためのコツです。
繊細な表現を可能にするスタイリング剤選び
「毛先だけ」という、これほど繊細なスタイリングを成功させるためには、使用するワックス自体の品質も極めて重要になります。
私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる**「サロン専売品」**は、少量でも伸びが良く、ベタつかずに軽やかな質感を表現できるように、処方が徹底的に研究されています。指先での操作性に優れ、思い通りの繊細な毛束感を簡単に創り出すことができるのは、プロユースならではの品質です。
お客様のヘアスタイルに最適な質感と、それを実現するための専門的なテクニック。その両方をご提供させていただくことこそ、私達の役割です。ご自身のスタイリングをもうワンランク向上させたいとお考えでしたら、ぜひ一度、私達にご相談ください。