ワックスでセットした髪がヘルメットで潰れる方へ|崩れないための対策と直し方
バイクや自転車に乗る方、あるいは仕事でヘルメットを着用する方にとって、「ヘルメットを脱いだ後の、潰れてしまった髪」は、非常に大きな悩みの種ではないでしょうか。朝、時間をかけて完璧にセットしたはずのヘアスタイルが、ヘルメットによって無残にも崩れてしまう。この、安全性とスタイリングの両立という難しい問題に、多くの方が頭を悩ませています。この記事では、ヘルメットによる髪型の崩れを最小限に抑えるための予防策と、もし潰れてしまった場合に、それを美しく復活させるためのプロの技術について詳しく解説いたします。
なぜ、ヘルメットをかぶると髪型は崩れてしまうのか
ヘルメットが髪型を崩す主な原因は、「圧力」「摩擦」そして「湿気」という三つの要素にあります。ヘルメットの重さと内部のクッションによる物理的な「圧力」が、髪の根元の立ち上がりを潰してしまいます。また、着脱の際の「摩擦」は、創り上げた毛束や毛流れを乱します。さらに、ヘルメットの内部は、体温や汗によって温度と湿度が上昇しやすく、この「湿気」が、ワックスのセット力を著しく低下させてしまうのです。
ヘルメットをかぶる「前」にできる、崩れを最小限にする予防策
まず、ヘルメットをかぶる前の、朝のスタイリングの段階で、できる限りの対策を講じることが重要です。
1.ドライヤーで「強固な土台」を創る
スタイルの持続性は、ドライヤーによるベース作りで決まります。髪の根元をしっかりと立ち上げ、毛流れを整えるなど、ドライヤーで髪型の土台を完璧に創り上げておくことで、圧力に対する耐性が格段に向上します。
2.「再整髪しやすい」ワックスを選ぶ
ヘルメットをかぶる場合、ガチガチに固まるタイプのワックスやジェルは、一度崩れると修正が難しく、白い粉を吹いてしまうこともあるため、実はあまり適していません。おすすめは、セット力は高いながらも、手ぐしで手直しがしやすい、柔軟性のあるワックスです。ファイバータイプや、ドライな質感のクレイワックスなどが、手直しをしやすいため、ヘルメットユーザーには適しています。
3.ヘルメットライナーなどを活用する
ヘルメットのインナーキャップや、薄手のバンダナなどを着用することも、非常に有効な対策です。髪とヘルメットの間に一枚挟むことで、直接的な摩擦を軽減し、汗を吸収して湿気の上昇を抑える効果が期待できます。
ヘルメットを脱いだ「後」の、完璧な手直し術
どんなに予防をしても、ある程度の崩れは避けられません。しかし、正しい手順を踏めば、まるでセットしたてのような状態にまで、スタイルを復活させることが可能です。
ステップ1:まず、髪を「ほぐして」空気を入れる
ヘルメットを脱いだら、まず、潰れてしまった髪の根元に指を入れ、優しく頭皮を擦るようにして、髪全体をふんわりと「ほぐし」ます。これにより、髪の間に空気が入り、スタイルの土台がリセットされます。
ステップ2:「水」を使って、ワックスを再活性化させる
次に、少量の「水」を手のひらに取ります。そして、その湿った手のひらで、潰れた部分の髪を優しく揉み込むようにして、髪に水分を補給します。髪に付着していたワックスは、この水分によって、つけたてのような柔らかく、再び動かせる状態へと「再活性化」します。
ステップ3:手ぐしで形を整え、自然乾燥させる
ワックスが再活性化し、髪が再び動かせるようになったら、指先で全体のシルエットや毛束感を整え直します。その後は、そのまま自然乾燥させれば、スタイルはかなりのレベルまで復活します。この時、携帯用の小さなワックスを少量だけ指先に伸ばし、毛束をつまんで仕上げると、さらに完成度が高まります。
最高のスタイルは、最高の「道具」と「設計」から
これまで、ヘルメット対策について解説してまいりましたが、その大前提として、そもそもヘルメットをかぶっても崩れにくく、かつ手直しがしやすいように緻密に計算されたベースカットが施されていることが、何よりも重要です。
私達プロのスタイリストは、お客様のライフスタイルを深く理解し、ヘルメットとの共存を前提としたヘアデザインをご提案いたします。そして、そのスタイルを最も美しく維持するための、高い再整髪性を誇る高品質な「サロン専売品」の中から、最適な一品を選び出し、プロの技術を直接お伝えさせていただきます。
もう、ヘルメットを脱いだ後の髪型に、ため息をつく必要はございません。ぜひ一度、私達にご相談ください。