ワックスの「二度塗り」は必要?プロが教える正しいスタイリング術
ヘアワックスでスタイリングをする際に、「一度つけただけではセット力が足りない気がする」「スタイルを補強するために、上からもう一度ワックスを重ねてつけたい」と、ワックスの「二度塗り」について考えたことはございませんでしょうか。良かれと思って行うこの行為ですが、一歩間違えると、かえってスタイルを重くし、ベタつきや崩れの原因となってしまう可能性があります。この記事では、ワックスの二度塗りというテクニックの是非と、もし行う場合の正しいやり方について、プロの視点から詳しく解説いたします。
なぜ「二度塗り」をしたくなるのか、その原因とは
まず、ワックスを二度塗りしたくなる、あるいは、二度塗りしないとスタイルが決まらないと感じる場合、その背景には、いくつかの根本的な原因が隠されていることがほとんどです。
1.最初のワックスの量が、そもそも不足している
最も多い原因が、一番最初につけるワックスの量が、単純に少なすぎることです。つけすぎを恐れるあまり、本来必要な量よりも少ないワックスでスタイリングしようとすると、当然セット力が不足し、「後から足したい」という状況に陥ってしまいます。
2.ドライヤーでのベース作りが不十分である
スタイルの土台となる、ドライヤーでのベース作りが不十分な場合、ワックスの力だけで形を維持しようとすることになり、結果として多くの量が必要になったり、二度塗りが必要だと感じたりしてしまいます。
3.ワックスのセット力が髪質や髪型に合っていない
ご自身の髪質に対して、セット力が弱すぎるワックスを選んでいる場合も、キープ力が足りずに二度塗りをしたくなる原因となります。
プロが実践する、効果的な「二度塗り」の正しいやり方
基本的には、プロのスタイリングにおいて、髪全体にワックスを二度塗りするということは、実はほとんどありません。一度の塗布で、完璧に仕上げることが理想です。しかし、スタイルの細部を調整したり、特定の箇所のキープ力を高めたりするために、ポイントでワックスを付け足す「部分的な二度塗り」は、有効なテクニックとなり得ます。
1.二度目の量は「米粒一粒大」のごく少量
もしワックスを付け足す場合は、その量は「米粒一粒大」ほどのごく僅かな量に留めてください。これ以上多くつけると、確実に重さやベタつきの原因となります。
2.手のひらではなく「指先」に伸ばす
そのごく少量のワックスを、手のひら全体ではなく、実際に髪に触れる「指先」と「指の間」にだけ、透明になるまでしっかりと伸ばします。
3.「毛先」や「束感」を補強するように、ポイントでつける
準備ができたら、髪全体に馴染ませるのではなく、キープ力を高めたい前髪の毛先や、より強調したいトップの毛束などを、指先でつまむようにして、ピンポイントでワックスを付け足していきます。あくまで、全体の質感を微調整するための、最終的な仕上げと捉えることが重要です.
「二度塗り」を不要にする、本質的なスタイリング術
ワックスの二度塗りを考える前に、まずは一度の塗布で完璧にスタイリングを終えるための、基本原則に立ち返ることが、最も本質的な解決策となります。それは、ドライヤーで髪型の土台を完璧に創り上げ、ご自身の髪質と創りたいスタイルに合った、適切なセット力を持つワックスを選び、そして、「小豆一粒大」から始めるという適量を、一度で髪全体に完璧に馴染ませる、という技術です。
一度で決まる、プロの「道具」という選択
この「一度で決める」というプロの技術を、最も簡単に、そして確実に実現させてくれるのが、私達サロンで取り扱うプロフェッショナル仕様のスタイリング剤、いわゆる「サロン専売品」です。
サロン専売品のワックスは、市販の製品とは比較にならないほど、優れた伸びと操作性を備えています。そのため、驚くほど少量でも髪全体に均一に馴染み、一度の塗布で、一日中崩れることのない強力なキープ力を発揮します。結果として、二度塗りをする必要性そのものがなくなるのです。
お客様の髪質に最適な一品と、それを一度で活かしきるためのプロの技術。その両方をご提供させていただくことこそ、私達の役割です。ぜひ一度、その違いをご体感ください。