床屋での頼み方「髪をすく」とは?失敗しないオーダーのコツ
床屋や理容室で、ヘアカットの最後に「髪の量は、すきますか?」と聞かれた経験は、多くの男性がお持ちではないでしょうか。髪が重く感じたり、ボリュームが出過ぎてしまったりする際に、「はい、お願いします」と答えることが多いこの「髪をすく」というオーダー。実は、非常に奥が深く、その頼み方一つで、仕上がりのクオリティや、その後のスタイリングのしやすさが大きく変わる、重要なポイントなのです。この記事では、失敗しない「髪をすく」オーダーのコツについて、詳しく解説します。
そもそも「髪をすく」とは、どんな目的で行うのか
「髪をすく」という行為は、ただやみくもに髪の量を減らしているわけではありません。プロの理容師は、明確な目的を持って、すきバサミなどの道具を使い分けます。
ただ量を減らすだけではない、プロの技術
- 量の調整
これが最も一般的な目的です。髪の量が多くて頭が大きく見えてしまったり、サイドが膨らんでしまったりするのを、内側の毛量を調整することで、すっきりとまとまりの良いスタイルにします。 - 質感の調整
カットした毛先をぼかし、ヘアスタイル全体の馴染みを良くする役割もあります。これにより、仕上がりがより自然で、柔らかな質感になります。 - 動きを出す
髪の間に空間を作ることで、毛束感や、髪の動きを出しやすくします。ワックスなどでスタイリングした際に、より立体感のある、おしゃれなスタイルを創りやすくなります。
あなたの目的別・「すく」時の頼み方
「すいてください」という一言に、あなたの具体的な悩みをプラスするだけで、理容師はあなたの意図をより正確に汲み取ることができます。
なりたいイメージを言葉にしてみる
- 全体のボリュームを抑えたい場合
「髪が多くて広がりやすいので、全体の量を減らして、まとまりやすくしてください」 - 動きや束感を出したい場合
「ワックスをつけた時に、束感が出て動きやすいように、すいて調整してください」 - 髪の重さだけを取りたい場合
「見た目の長さはあまり変えずに、とにかく軽くして、手触りを良くしたいです」 - トップをふんわりさせたい場合
「トップがぺたんとしやすいので、根元が立ち上がりやすくなるように、軽くしてもらえますか」
注意点:「すきすぎ」が引き起こす、ヘアスタイルの失敗
髪をすくことは、多くのメリットがある一方で、やり方を間違えると、様々なトラブルの原因にもなります。
なぜ「おまかせですいて」は危険なのか
- まとまりがなくなる、パサつく
髪は、ある程度の重さがあることで、まとまりが生まれます。必要以上に髪をすきすぎてしまうと、髪が軽くなりすぎてパサついたり、まとまりがなくなり、かえってスタイリングが難しくなってしまいます。 - ヘアスタイルが崩れる
カットで創り上げた、ヘアスタイルのベースとなる形(シルエット)が、髪をすきすぎることで崩れてしまい、本来のデザインが損なわれてしまうことがあります。 - 短い毛がツンツンと立つ
特に髪の表面に近い部分をすきすぎると、短い毛が他の長い髪の間からツンツンと飛び出してしまい、清潔感が失われてしまうことがあります。
最高の仕上がりは、プロの判断に任せるのが一番
髪をすくという技術は、お客様の髪質や骨格、そしてヘアスタイルを完璧に理解した上で、どこを、どのくらいすくべきかを判断する、極めて専門的な技術です。
理容師は「すくべき場所」と「すいてはいけない場所」を知っている
- 髪質と骨格の的確な診断
プロの理容師は、お客様一人ひとりの髪質や骨格を瞬時に見極めます。そして、あなたの悩みを解決するために、髪をすくことが本当に最適な方法なのか、それとも別のカット技術が良いのかを、まず判断します。 - カットとの緻密な連動
髪をすくことは、独立した作業ではありません。ベースとなるカットと緻密に連動させ、スタイル全体の完成度を高めるための、重要な仕上げの工程なのです。 - 道具と技術の使い分け
プロは、すきバサミの種類や、ハサミを入れる角度を変えることで、量の減らし方や、質感の変え方を自在にコントロールします。
まとめ
「髪をすく」というオーダーは、非常にシンプルですが、その裏側には、あなたのヘアスタイルを成功に導くための、多くの重要な要素が隠されています。「量を減らしたい」「動きを出したい」といった、あなたの具体的な目的や悩みを伝えることで、理容師は、あなたにとって最適な「すき方」を提案してくれます。
そして何よりも、信頼できるプロの理容師は、髪をすきすぎることで起こるリスクを熟知しています。あなたの髪の状態を見て、時には「ここは、すかない方が格好良いですよ」と、的確なアドバイスをしてくれるはずです。ぜひ安心して、あなたの髪の悩みを相談してみてください。