トリートメント、コンディショナー、リンスの違いとは?それぞれの役割と正しい選び方
シャンプーの後に使う、髪のコンディションを整えるためのヘアケア製品。その代表格として、「リンス」、「コンディショナー」、そして「トリートメント」という、三つの言葉を、私たちは日常的に目にします。しかし、この三つの製品が、それぞれ、どのような役割を持ち、どのような「違い」があるのかを、正確に説明できる方は、意外と少ないかもしれません。「何となく、髪を滑らかにするもの」。その漠然としたイメージから一歩踏み出し、それぞれの本質的な役割を正しく理解すること。それが、ご自身の髪にとって、本当に必要なケアを見極めるための、最も重要な鍵となるのです。
まずは、基本の「リンス」から
三つの中で、最も古くから使われているのが、「リンス」です。その本来の役割は、石けんシャンプーなどが主流であった時代に、洗浄によってアルカリ性に傾いた髪を、酸性のリンスで中和し、きしみを抑える、というものでした。現代においては、主に、髪の「表面」を、油分などで薄くコーティングし、指通りをなめらかにしたり、静電気を防いだりといった、比較的、シンプルな機能を持つ製品を指すことが一般的です。
リンスが進化した「コンディショナー」
そして、そのリンスの基本的な機能、すなわち「髪の表面保護」の役割を、さらに進化させたのが、「コンディショナー」です。リンスと同様に、髪の表面をコーティングし、キューティクルを整えることで、指通りを良くし、ドライヤーの熱や、ブラッシングの摩擦といった、外部の刺激から髪を守ります。リンスとの明確な境界線は、必ずしも、全ての製品に存在するわけではありませんが、一般的には、コンディショナーの方が、より高い保湿効果や、質感向上効果を持つ、高機能な製品として、位置づけられています。
根本に働きかける「トリートメント」
そして、リンスやコンディショナーとは、その目的と、働きかける場所において、一線を画すのが、「トリートメント」です。リンスやコンディショナーの主な仕事場が、髪の「表面」であったのに対し、トリートメントの仕事場は、髪の、さらに深い「内部」です。その最大の目的は、日々のダメージによって、髪の内部から失われてしまった、タンパク質や水分といった、髪の栄養分そのものを、髪の芯まで届け、内側から、その構造を「補修」することにあります。いわば、髪のダメージを、根本から「治療・手当て」するための、積極的なケアなのです。
あなたの髪には、どれが必要か
では、私たちは、この三つの選択肢の中から、どれを選べば良いのでしょうか。
基本のデイリーケアとしての、コンディショナー
特に、目立ったダメージはなく、日々の指通りや、まとまりを良くしたい、という、比較的、健康な髪の状態の方であれば、シャンプーの後の、基本的なデイリーケアとして、「コンディショナー」をお使いいただくのが、良いでしょう。
ダメージケアのための、トリートメント
一方で、ヘアカラーやパーマをされている方や、髪のパサつき、切れ毛といった、ダメージが気になる方には、表面的な保護だけでは、不十分です。髪の内部補修を目的とした、「トリートメント」による、集中的なケアが、不可欠となります。
正しい理解が、最適なケアへの第一歩
「リンス」と「コンディショナー」は、髪の「表面」を守るための、日々の保護ケア。そして、「トリートメント」は、髪の「内部」を補修するための、集中的な栄養補給。この、決定的な違いをご理解いただけたでしょうか。ご自身の髪が、今、どちらのケアを、より必要としているのか。その答えを、プロの視点から、的確に診断し、あなたのためだけの、最適なケアプランをご提案すること。それこそが、私達、髪の専門家である美容師の、最も大切な役割です。