スポーツ刈りの「セット」で、印象は自在に操る。プロが教える、基本テクニック
そのスポーツ刈り、「何もしない」のが、当たり前になっていませんか?
スポーツ刈りの魅力は、その手入れの楽さ。そう考えて、シャンプー後に、ただ乾かすだけで終わらせてしまっている方は、非常に多いのではないでしょうか。しかし、それは、あなたのスポーツ刈りが持つ、本来のポテンシャルの、まだ半分しか引き出せていない状態です。実は、ほんの1〜2分の、ごく簡単な「セット」というひと手間を加えるだけで、あなたの印象は、驚くほど自在に、そして劇的に、変化させることができるのです。この記事では、あなたのスポーツ刈りを、ただの短髪から、洗練された「ヘアスタイル」へと昇華させる、プロが実践するセットの基本を、詳しく解説します。
セットの8割は「ドライヤー」で決まる。土台作りの重要性
まず、あなたが覚えておくべき、最も重要なこと。それは、ヘアセットの完成度は、ワックスやジェルといったスタイリング剤を付ける前の、「ドライヤー(ブロー)」の段階で、すでに8割が決まっている、ということです。
・ドライヤーは、髪の「骨格」を作る道具
ドライヤーは、単に髪を乾かすための道具ではありません。髪の根元をふんわりと立ち上げ、全体の毛流れを整える、スタイルの「骨格」を創り上げるための、最も重要なスタイリングツールなのです。この骨格作りを丁寧に行うことで、この後のスタイリング剤が、ごく少量で、そして最大限の効果を発揮します。
なりたい印象で選ぶ、スタイリング剤の世界
ドライヤーで骨格を作ったら、次はその日の気分やシーンに合わせて、あなたの「なりたい印象」を決定づける、スタイリング剤を選びましょう。
・ワックス
特徴:最も万能で、多くのスタイルに対応できます。髪に、動きや束感を与え、ラフで、カジュアルな印象を創り出すのが得意です。
・ジェル/グリース
特徴:強いセット力と、ウェットなツヤ感が特徴です。髪を、パリッと、あるいは、しなやかに固め、一日中、完璧なスタイルをキープします。フォーマルで、清潔感のある、大人っぽい印象を創り出すのが得意です。
・ヘアバーム/オイル
特徴:セット力は非常に弱いですが、髪に自然なまとまりと、潤いのあるツヤを与えてくれます。作り込みすぎない、あくまでナチュラルな質感を求める方に最適です。
プロが教える、スポーツ刈りの基本セット手順
ここでは、最もベーシックな、ワックスを使ったセットの基本手順をご紹介します。
・STEP1:適量を手に取る
スタイリング剤の量は、多すぎると、髪が重くなり、ベタつきの原因になります。まずは、人差し指の第一関節の半分程度(パール一粒大)から始めるのが、失敗しないための鉄則です。
・STEP2:透明になるまで、完璧に手のひらで伸ばす
取ったスタイリング剤を、手のひら、そして、指の間まで、完全に透明になるまで、体温で温めるように、しっかりと伸ばします。この工程が、ムラなく仕上げるための、最も重要なポイントです。
・STEP3:後頭部から、髪全体に馴染ませる
いきなり前髪から付けるのは、絶対にNGです。失敗しても目立ちにくい、後頭部や、サイドの部分から、髪の内側に手を入れるようにして、根元から、髪全体に、均一にワックスを馴染ませていきます。
・STEP4:指先で毛束をつまみ、形を作る
全体にワックスが馴染んだら、指先に残ったワックスを使い、トップや前髪の毛束を、優しくつまむようにして、動きと束感を創り出し、全体のシルエットを整えれば、完成です。
応用編:ジェルを使った、品格のある「ウェットセット」
ビジネスシーンや、少しフォーマルな場面では、ジェルを使った「ウェットセット」が、あなたの品格を、より一層高めてくれます。
・ウェットセットの手順
タオルドライ後の、少し湿った髪に、ジェルを全体に馴染ませます。そして、目の細かいコーム(櫛)を使い、七三分けや、オールバックといった、クラシックなスタイルに、毛流れをきっちりと整えます。ウェットなツヤが、圧倒的な清潔感と、信頼感を演出します。
「セットが楽な髪」は、カットで作られる
「色々試しても、自分の髪は、どうしても上手くセットできない」。その原因は、あなたの技術ではなく、その土台である「カット」にあるのかもしれません。私たちプロの理容師は、お客様が、ご自宅で、簡単に、そしてお洒落にセットできるように、あらかじめ、髪の内側の重さを取り除き、毛先に動きが出やすいように、「質感調整」という、緻密な計算を、カットの段階で施しています。この「仕込み」こそが、あなたの毎朝のセットを、最高に楽なものへと変える、プロの仕事なのです。
理容室(バーバー)でのオーダー方法
あなたのライフスタイルを、私たちプロに、ぜひお聞かせください。
・あなたの日常を、伝える
「普段はワックスで、トップを少し立たせる感じで、自分でセットします。セットしやすいように、カットしてください」
「仕事では、ジェルで、七三分けみたいに、きっちりセットすることもあります」
・プロの知識を、頼る
「僕の髪質だと、どんなスタイリング剤が、一番合いますか?」
その一言で、私たちは、あなたにとって最高の道具と、その使い方まで、責任を持って、アドバイスします。
まとめ
スポーツ刈りは、決して「セットしなくて良い、楽な髪型」ではありません。それは、あなたの工夫次第で、様々な表情を見せてくれる、実は、非常に創造的で、奥深い「キャンバス」なのです。そして、そのキャンバスの質を決定づけ、あなたの毎日のセットを、もっと簡単に、もっと楽しくするための答えが、プロの理容師が施す、完璧な「ベースカット」にあります。ぜひ一度、私たちに、あなたの毎日を、もっと輝かせるためのお手伝いを、させてください。