面長でもスポーツ刈りは似合う。顔の長さを感じさせない、プロのカット理論
「面長だから、短髪は似合わない」その思い込み、今日で終わりにしませんか?
「自分の顔は、面長だから」「スポーツ刈りのような短い髪型にしたら、顔の長さがもっと強調されてしまうに違いない」。そう思い込み、本当は挑戦してみたいショートスタイルを、諦めてしまってはいませんか。確かに、何も考えずにただ短くしただけのスポーツ刈りは、あなたのコンプレックスを助長してしまう危険性があります。しかし、それは、プロの「理論」に基づいた、正しいカットが施されていないからです。この記事では、あなたの顔型を、弱点ではなく、魅力的な個性として活かすための、プロが実践する短髪のデザイン術を詳しく解説します。
なぜ、面長に短髪は「似合わない」と言われるのか
まず、なぜ一般的に、面長の方に短髪は似合わないと言われてしまうのか、その理由を理解しましょう。それは、ヘアスタイル全体のシルエットが、顔の形に大きく影響するからです。
・縦のラインを強調してしまうから
トップに高さを出し、サイドをタイトに刈り上げる。このような、全体のシルエットが「縦長」に見えるヘアスタイルは、当然ながら、顔の長さも、より一層強調してしまいます。そして、一般的なスポーツ刈りは、この「縦長」のシルエットになりやすい傾向があるのです。
つまり、このセオリーの「逆」を行けば良い、ということになります。
面長を「黄金バランス」に見せる、短髪デザインの3原則
あなたの顔型を、最もバランスが良く、魅力的に見える「黄金バランス」へと導く。そのために、私たちプロの理容師が、カットのデザインにおいて常に意識している、三つの重要な原則があります。
・原則1:トップの「高さ」は、あえて出さない
面長をカバーする上で、最も重要なのが、トップのボリュームをコントロールすることです。スタイリングでワックスを使い、トップの髪をツンツンと立たせるのは、逆効果。むしろ、少し前に流すように下ろしたり、ジェルやグリースで軽く抑えたりして、トップの高さを極力出さないように意識しましょう。これにより、縦のラインが分断され、顔の長さが緩和されます。
・原則2:サイドに「横幅」と「重さ」を残す
次に重要なのが、サイドのシルエットです。サイドを極端に短く刈り上げてしまうと、顔がより細く、長く見えてしまいます。そうではなく、あえて少し長さを残した刈り上げにしたり、角を残した「スクエア(四角形)」なシルエットを創ったりすることで、視覚的に「横幅」をプラスします。この横への広がりが、縦の長さを打ち消し、顔全体のバランスを整えてくれるのです。
・原則3:「前髪」を少しだけ作り、おでこの面積を調整する
前髪を完全に上げてしまう「アップバング」も、顔の縦の面積を広げてしまうため、注意が必要です。可能であれば、少しだけ前髪を下ろすか、あるいは斜めに流すスタイルを取り入れましょう。おでこの見える面積を少しだけ隠してあげることで、顔の長さは、驚くほど気にならなくなります。
あなたの顔型を「理論」で攻略する、バーバー(理容室)の仕事
ここまでにご紹介した三つの原則は、日々のスタイリングで意識することも大切ですが、その効果を最大限に発揮するためには、土台となる「カット」そのものが、この理論に基づいて設計されている必要があります。プロの理容師は、もはやデザイナーであり、建築家です。お客様一人ひとりの骨格という名の「土地」を正確に測量し、コンプレックスという名の「課題」を解決し、そして、その人の魅力を最大限に引き出すための、完璧な「建築物(ヘアスタイル)」を、ハサミとバリカンで設計していくのです。
理容室でのオーダー方法
あなたの悩みを、プロの技術で、自信に変えるためのオーダーの仕方です。
・あなたの悩みを、正直に、そして具体的に伝える
「面長なのがコンプレックスなので、それができるだけ目立たないような、短いスタイルにしたいです」
この一言で、十分です。プロは、あなたのその悩みの裏にある、本当の願いを理解します。
・プロの提案に、耳を傾けてみる
「僕の顔型に一番似合う、バランスの取れたショートスタイルを提案してください」
と、プロの診断に委ねてみるのも、新しい自分に出会うための、素晴らしい方法です。
まとめ
「面長」は、決してコンプレックスではありません。それは、知的でクールで、大人っぽいという、素晴らしい魅力を持つ、あなただけの個性なのです。そして、その個性を、ヘアスタイルによって、さらに輝かせることは、間違いなく可能です。その鍵は、縦と横のバランスを完璧にコントロールする、プロの「デザイン理論」にあります。もう、似合わないと諦めるのは、終わりにしませんか。ぜひ一度、信頼できる理容師に相談し、あなた史上最も似合うショートスタイルを手に入れてみてください。