メンズショートスタイルのワックス術|初心者でも簡単!正しい付け方と髪型の基本
清潔感のあるメンズショートスタイル。そのままでも十分に魅力的ですが、スタイリング剤である「ワックス」を少し加えるだけで、髪に立体感や動きが生まれ、一気におしゃれで洗練された印象へと進化します。しかし、「ワックスを買ってみたものの、どう使えばいいか分からない」「頑張ってつけても、ベタベタになるだけで格好良くならない」と、ワックスの使い方に苦手意識を持っている男性は、実は非常に多いのです。ご安心ください。いくつかの簡単なコツさえ押さえれば、誰でも理容室帰りのような、自然で格好良いスタイリングを自分で再現することが可能になります。この記事では、ワックス選びの基本から、初心者でも絶対に失敗しない正しい付け方までを、プロの視点から徹底的に解説していきます。
まずは自分に合うワックス選びから。ショートスタイルの基本
ワックスと一言で言っても、その種類は様々です。まずは、代表的なワックスの特徴を知り、自分の髪質やなりたいスタイルに合ったものを選びましょう。
ハードワックス
最もオールマイティで、初心者の方にまずおすすめしたいのがこのタイプです。
- 特徴とおすすめな人
高いセット力とキープ力を持ち、髪をしっかりと立ち上げたり、シャープな毛束を作ったりするのに適しています。髪が硬い人から柔らかい人まで、幅広い髪質に対応できる万能性が魅力です。
マットワックス
ツヤが出ない、乾いたようなドライな質感が特徴です。
- 特徴とおすすめな人
作り込みすぎていない、ナチュラルでラフなスタイルが好きな方におすすめです。ふんわりとしたボリュームを出しやすく、さりげないおしゃれ感を演出できます。
ファイバーワックス
繊維(ファイバー)が配合されており、糸を引くように伸びるのが特徴です。
- 特徴とおすすめな人
伸びが良く、髪に馴染ませやすいのがメリットです。毛先に動きをつけたり、毛束を散らしたりするような、動きのあるスタイルに向いています。
グリース・ジェルワックス
ウェットなツヤ感と、高いホールド力を両立したタイプです。
- 特徴とおすすめな人
きっちりとした七三分けや、色気のあるウェットな質感のスタイルを作りたい時に最適です。特に、ジェルワックスはジェルよりも操作性が高く、初心者でも扱いやすいでしょう。
【完全版】ショートヘアのワックスの正しい付け方・5ステップ
ここからは、いよいよ実践編です。多くの人が間違えがちなポイントを押さえながら、正しい付け方を5つのステップで見ていきましょう。
ステップ1:髪をしっかり乾かす
ワックスは、必ず髪が完全に乾いた状態で使用します。
- 土台作り
濡れた髪にワックスをつけても、うまく馴染まず、スタイルの持ちも悪くなります。まずはドライヤーを使い、髪の根元からしっかりと立ち上げるように乾かし、スタイリングの土台を作っておくことが重要です。
ステップ2:適量(小豆大)を取る
失敗の多くは、ワックスのつけすぎが原因です。
- 失敗しない量
まずは「小豆一粒大」ほどの、ごく少量を指先に取ります。量が多すぎると、髪が重くなり、ベタつきの原因になります。足りなければ後から少しずつ足す、という考え方を徹底しましょう。
ステップ3:手のひらで「透明」になるまで伸ばす
これが、仕上がりを左右する最も重要なポイントです。
- 最重要ポイント
取ったワックスを、手のひら、そして指と指の間にまで、白い塊が完全になくなって「透明」になるまで、しっかりと時間をかけて伸ばし広げてください。手の体温でワックスを温めるようなイメージです。これができていないと、髪にワックスがダマになって付着してしまいます。
ステップ4:後ろから全体に「揉み込む」
いきなり一番目立つ前髪からつけるのは、初心者が最も陥りやすい失敗です。
- 付け方の順番
まずは、万が一つけすぎても目立ちにくい、襟足や後頭部といった後ろの部分から付け始めます。髪の表面を撫でつけるのではなく、髪の内側に手を入れて、空気を含ませるように、髪の根元から毛先に向かって全体にワックスを揉み込んでいきましょう。
ステップ5:指先で「シルエット」を整える
最後に、全体の形をデザインして仕上げます。
- 最後の仕上げ
ワックスが髪全体に均一に馴染んだら、最後に指先に残った、ごく少量のワックスを使い、トップや前髪の毛束を少しずつつまんで、動きや束感を出していきます。全体のシルエットを鏡で確認しながら、ボリュームを出す部分と抑える部分を最終調整すれば完成です。
なぜプロのカットは、ワックスが馴染みやすいのか?
「正しい付け方は分かった。でも、なぜ理容室で切った後は、こんなに簡単にワックスが馴染むのだろう?」そう感じたことはありませんか。その答えは、ベースとなる「カット」そのものに隠されています。
「動き」と「束感」はカットで作られている
あなたがワックスで簡単に作っている毛束は、偶然生まれているわけではありません。
- スタイリングの仕込み
プロの理容師は、お客様が自宅でスタイリングすることまでを想定しています。すきバサミなどの専門的な技術を使い、髪の表面からは見えない内側の毛量を繊細に調整することで、ワックスをつけた時に、自然な毛束が生まれ、簡単に動きが出るように、あらかじめ「仕込み」を施しているのです。
髪質に合わせた「カット」がベースにある
プロは、あなたの髪という素材を最大限に活かします。
- 素材の理解
硬くて多い髪には、軽さが出るように。柔らかくて少ない髪には、重さを適度に残してボリュームが出るように。あなたの髪質を正確に見極め、ワックスが最も効果を発揮する状態へと、カットによって整えられています。
ワックスセットを前提としたオーダーのコツ
サロンでは、あなたの普段のスタイリングについて話すことが大切です。
- プロへの伝え方
「普段、ハードワックスで束感を出すセットをすることが多いです」
「あまりセットに時間をかけられないので、ワックスを揉み込むだけで簡単に決まるようにしてほしいです」
このように、普段のスタイリング方法や希望を伝えることで、理容師はそれを計算に入れた、あなたにとって最高のベースカットを提供してくれます。
まとめ
メンズショートスタイルのワックスセットは、正しい付け方の5ステップ、特に「手のひらで透明になるまで伸ばす」「後ろから全体に揉み込む」という基本を押さえれば、初心者でも必ず上達します。しかし、そのワックスの性能を120%引き出し、誰でも簡単にプロのようなスタイリングを可能にするのは、あなたの髪質や骨格を深く理解した上で、緻密に計算された「ベースカット」の存在です。毎日のスタイリングをもっと楽しく、もっと格好良くするために。ぜひ一度、スタイリングのことまで考え抜かれたプロのカットを、経験豊富な理容師がいるサロンで体験してみてはいかがでしょうか。