【理容師の答え】理想の洗髪は合計5分以上。あなたは『何分』かけていますか?
「髪を洗うのに、全体で何分くらいかけていますか?」
もし、この問いに「1分か2分くらいだろうか」とお答えになったとしたら、それは少し注意が必要なサインかもしれません。毎日の習慣である洗髪は、その工程ごとにかけるべき理想的な時間の目安というものが存在します。時間が短すぎるのはもちろん問題ですが、ただやみくもに長く洗えば良いというわけでもございません。
今回は、お客様の髪と頭皮の健康を日々見守る私たち理容師の視点から、洗髪の各工程にかけるべき具体的な分数と、その時間配分に込められた大切な意味について、詳しく解説してまいります。
合計時間の目安は「5分から7分」
早速、結論からお伝えいたします。髪の長さや量によって多少の差はございますが、私たちが理想と考える洗髪の所要時間、すなわちシャワーを浴び始めてからすすぎ終わるまでの時間は、全体で「5分から7分」が目安となります。特に、シャンプー剤を付けてから洗い流すまでの洗浄工程だけでも、最低5分は確保していただきたいと考えています。
「そんなに長く?」と驚かれるかもしれませんが、この5分という時間は決して長すぎるわけではなく、健やかな頭皮環境を維持し、未来の髪を守るために必要な、非常に意味のある時間なのです。その詳しい内訳を見ていきましょう。
時間配分の内訳①:予洗いに「1分〜2分」
洗髪の効果を最大限に引き出すための、最も重要な準備段階が「予洗い」です。シャンプー剤を付ける前に、38度前後のぬるま湯で頭皮を中心にしっかりとすすぐこの工程には、最低でも「1分」、できれば「2分」の時間をかけてください。この時間をかけることで、髪と頭皮に付着した一日の汚れの約7割が洗い流され、その後のシャンプーが少量でも豊かに泡立ち、洗浄効果が格段に向上します。
時間配分の内訳②:シャンプー洗浄に「1分〜2分」
実際にシャンプー剤を使い、頭皮を洗浄する時間としては「1分から2分」が適切です。この工程で大切なのは、時間の長さよりもむしろ「質」です。しっかりと泡立てたシャンプーを使い、指の腹で頭皮全体を均一に、そして優しくマッサージするように洗い上げることが目的です。時間が短すぎると洗い残しの原因になりますが、不必要に長く洗いすぎると、かえって頭皮への刺激となる可能性もございます。
時間配分の内訳③:すすぎに「2分〜3分」
洗髪の全工程の中で、最も時間をかけるべきなのが、この「すすぎ」です。私たちは、最低でも「2分」、理想を言えば「3分」の時間をかけることを強く推奨しています。目安としては「シャンプーで洗っていた時間の倍以上の時間をかける」という意識をお持ちください。シャンプーの洗浄成分のすすぎ残しは、フケやかゆみといった頭皮トラブルを引き起こす最大の原因です。髪のぬめり感が取れたと感じてから、さらに30秒ほど追加ですすぐくらいの丁寧さが、健やかな頭皮を保つための秘訣です。
なぜ「時間」をかけることが大切なのか
洗髪は、スピードを競う作業ではございません。ご自身の頭皮と髪を慈しみ、いたわるための大切なセルフケアの時間です。各工程に適切な時間を確保することは、①汚れや不要な洗浄成分を確実に落としきる、②頭皮の血行を促進し、髪の成長をサポートする、③髪への物理的なダメージを最小限に抑える、といった科学的根拠に基づいた明確な目的があるのです。
時間の質を高める、プロの技術
今回ご紹介した時間の目安を、ぜひ今日からのセルフケアに取り入れてみてください。そして、私たち理容師は、この基本的な時間配分を遵守しながら、さらにお客様一人ひとりの頭皮の状態や髪の量、その日の汚れ具合に合わせて、その時間配分をミリ単位で調整しています。サロンで過ごしていただくシャンプーの時間は、単に時間が長いだけでなく、その一分一秒に、お客様の髪と頭皮を最高の状態へと導くための専門的な技術と知識が込められています。
ご自身の時間の使い方が正しいかご不安な方、あるいはプロが時間をかけて創り出す最高のシャンプー体験にご興味がおありの方は、ぜひ一度私たちにご相談ください。誠実な技術と知識で、お客様の疑問に最高の答えをご提供いたします。