【理容師が伝授】毎日の洗髪で本当に気をつけること。頭皮トラブルを防ぐための注意点
皆様が毎日、当たり前のように行っている洗髪。その一連の動作の中に、実は「気をつけるべきこと」がたくさん隠されているのをご存知でしょうか。良かれと思って続けている習慣が、知らず知らずのうちに髪や頭皮に負担をかけ、フケやかゆみ、べたつきといった様々なトラブルの原因になっているケースは決して少なくありません。
お客様の髪と頭皮の健康に日々真摯に向き合っている私たち理容師の視点から、毎日の洗髪において本当に気をつけていただきたい基本的な注意点を、洗う前から乾かすまで、順を追って詳しくご説明いたします。日々の習慣を一度見直すことが、健やかな頭皮環境への最も確実な一歩となります。
洗う前に気をつけること【準備編】
まず、髪を濡らす前にひと手間加えることが、洗髪の質を大きく向上させます。乾いた状態で髪全体を優しくブラッシングすることで、髪の表面に付着した埃や汚れを浮き上がらせ、髪の絡まりをほどくことができます。この一手間が、後のシャンプーの泡立ちを助け、洗浄効果を最大限に引き出すための大切な準備となります。
そして、シャワーを浴びる際には、シャンプー剤を付ける前の「予洗い」を徹底してください。38度前後のぬるま湯で、1分から2分ほどかけて頭皮と髪をしっかりとすすぐだけで、実は汚れの大部分は洗い流されます。
洗っている時に気をつけること【洗浄編】
シャンプー剤を原液のまま直接頭皮に付けるのはお控えください。手のひらに適量を取り、少量のお湯を加えながらしっかりと泡立ててから、その豊かな泡で髪と頭皮を包み込むように洗うのが基本です。泡がクッションの役割を果たし、洗髪時の摩擦によるダメージから髪を守ってくれます。
洗う際は、決して爪を立てて頭皮をゴシゴシと擦らないでください。デリケートな頭皮が傷つき、炎症の原因となります。指の腹を使い、頭皮そのものを優しく揉みこむようにマッサージするのが正しい洗い方です。そして、洗浄以上に重要なのが「すすぎ」です。シャンプーの成分が頭皮に残ると、かゆみやフケの直接的な原因となります。生え際や耳の後ろ、襟足といった部分は特に念入りに、ぬめり感が完全になくなるまで丁寧に洗い流しましょう。
洗った後に気をつけること【乾燥編】
洗髪後の髪は非常にデリケートな状態です。タオルで水分を拭き取る際は、ゴシゴシと擦るのではなく、タオルで頭皮と髪を優しく挟み込むようにして、ポンポンと水分を吸収させてください。
そして、濡れた髪を自然乾燥させるのは絶対に避けましょう。湿った頭皮は雑菌が繁殖しやすく、臭いやかゆみの温床となります。また、髪の表面を覆うキューティクルが開いたままになり、髪内部の水分や栄養が流れ出てダメージの原因にもなります。洗髪後は、できるだけ速やかにドライヤーで乾かすことを習慣にしてください。その際、ドライヤーを髪から20cmほど離し、熱が一箇所に集中しないよう常に動かしながら、まずは頭皮と髪の根元から乾かしていくのがポイントです。
専門家だからこそ気づける、あなただけの注意点
ここまで、すべての方に共通する基本的な注意点についてご説明してまいりました。しかし、本当に気をつけるべきことは、お客様一人ひとりの頭皮の状態や髪質、生活習慣によって微妙に異なってまいります。例えば、頭皮が乾燥しがちな方と、皮脂の分泌が多い方とでは、推奨されるシャンプー剤の種類や洗い方の力加減も変わってきます。
私たち理容師は、お客様の頭皮をプロの目で直接拝見し、日々の生活についてのお話を伺うことで、マニュアル通りの情報ではない、その方に本当に合ったパーソナルなアドバイスをさせていただくことができます。
日々の見直しと、プロへのご相談を
健やかな髪と頭皮は、日々の正しい習慣の積み重ねによって育まれます。まずは今日の洗髪からでも、一つでも二つでも、今回ご説明した注意点を意識してみてはいかがでしょうか。もし、ご自身のケア方法に迷われたり、なかなか頭皮のお悩みが改善されなかったりした際には、どうぞ一人で抱え込まず、私たち専門家にお気軽にご相談ください。お客様のお悩みに誠実に耳を傾け、解決へのお手伝いをさせていただくことが、私たちの何よりの喜びです。