【理容師が実践する】洗髪の正しい『実施方法』。髪と頭皮の健康は、基本から
「洗髪」という、私たちが毎日、あるいは定期的に行う当たり前の習慣。しかし、その「実施方法」が本当に正しいかどうか、深くお考えになったことはございますでしょうか。ただ何となく自己流で済ませてしまっているその一連の動作が、実は知らず知らずのうちに、あなたの髪や頭皮の健康を損なう原因となっているかもしれません。
フケやかゆみ、べたつき、あるいは髪のパサつきといったお悩みの多くは、この日々の洗髪の実施方法を見直すことで、改善へと向かうことが多々ございます。今回は、お客様の髪と頭皮に誠実に向き合う私たち理容師が、サロンで日々実践している、基本に忠実でありながら最も効果的な洗髪の実施方法を、その理由と共に詳しく解説してまいります。
実施方法①:洗浄前の準備【ブラッシングと予洗い】
質の高い洗髪は、シャンプー剤を手にする前の準備段階で、その効果が大きく左右されます。まず、髪が乾いた状態で、目の粗いブラシやご自身の手ぐしを使い、髪の毛先から優しくとかし始め、徐々に根元へと向かって全体の絡まりをほどいてください。この一手間を先に行うことで、シャンプー時の髪の摩擦や、それに伴う抜け毛を大幅に減らすことができます。
次に、38度前後のぬるま湯で、頭皮を中心に1分から2分ほどの時間をかけて、しっかりと「予洗い」を実施します。この方法だけで、汗や埃といった汚れの大部分は洗い流され、その後のシャンプーが少量でも豊かに泡立ち、洗浄効果を最大限に高めることができるのです。
実施方法②:シャンプーによる洗浄【頭皮へのアプローチ】
予洗いを終えたら、いよいよシャンプーで洗浄していきます。適量のシャンプーを手のひらに取り、必ず少量のお湯を加えながら、空気を含ませるようにしてきめ細かく泡立ててください。この豊かな泡が、髪と頭皮を摩擦によるダメージから守る、大切なクッションの役割を果たします。
そして、洗う際は「髪の毛」ではなく、その土台である「頭皮」を洗うという意識を常に持つことが最も重要です。指の腹を頭皮に密着させ、決して爪を立てることなく、頭皮そのものを優しくマッサージするように洗いましょう。襟足や生え際から頭頂部に向かって揉み上げるように洗うと、血行促進にも繋がり、より効果的です。
実施方法③:完璧なすすぎ【残留させない意識】
洗浄の工程以上に、私たちが重要視しているのが「すすぎ」です。シャンプーの洗浄成分が頭皮に少しでも残留すると、それがかゆみやフケなど、あらゆる頭皮トラブルの原因となります。洗浄にかかった時間の倍以上の時間をかけることを目安に、徹底的に洗い流してください。
その際、ただ上からお湯を流すのではなく、髪をかき分け、シャワーヘッドを頭皮に近づけながら、頭皮そのものを直接洗い流すイメージで実施することが大切です。特に、泡が残りやすい髪の生え際や耳の後ろは、意識して念入りにすすぎましょう。
実施方法④:洗髪後の乾燥【保護と仕上げ】
洗髪は、髪を洗い終えたら終わりではございません。その後の乾燥までの工程も、正しい実施方法の大切な一部です。まず、吸水性の良い清潔なタオルを使い、髪をゴシゴシと擦るのではなく、頭皮は優しく押さえるように、毛先はタオルで挟んでポンポンと軽く叩くようにして、丁寧に水分を吸収させます。
そして、タオルドライ後は時間を置かずに、速やかにドライヤーで乾かしましょう。ドライヤーは髪から20cmほど離し、常に振りながら、まず頭皮と髪の根元から乾かし、最後に毛先を乾かすのが正しい手順です。仕上げに冷風を当てると、開いていたキューティクルが引き締まり、髪に美しいツヤが生まれます。
実施方法を「技術」へと昇華させる、プロの仕事
今回ご紹介した一連の実施方法は、健やかな髪と頭皮を育むための、揺るぎない王道です。しかし、この基本に忠実な方法を、毎日ご自身で完璧に、そしてご自身の頭皮の状態に合わせて最適化しながら実施するのは、決して簡単なことではないかもしれません。
私たち理容師は、この正しい実施方法を熟知していることはもちろん、お客様一人ひとりの髪質や頭皮の硬さ、その日のコンディションを瞬時に見極め、力加減や時間の配分を調整する専門家です。基本の実施方法を、お客様のためだけのオーダーメイドの「技術」へと昇華させること。それこそが、サロンでしか味わえない、プロフェッショナルな仕事の価値なのです。
ご自身の洗髪の実施方法に少しでも不安がある方、あるいはプロの技術による最高のシャンプーを体験してみたい方は、ぜひ一度、当サロンにご相談ください。誠実な技術で、お客様の髪の悩みに根本から向き合います。