【理容師が解説】毎日洗髪してもフケが出るのはなぜ?原因と正しい頭皮ケアを知る
「毎日きちんと髪を洗っているのに、ふと気づくと肩や襟元に落ちる白い粉が気になる…」「清潔にしているはずなのに、どうしてフケが出てしまうのだろう?」——そんな、誰にも相談しにくいデリケートな悩みを、一人で抱え込んでしまってはいませんか。
まず、皆様に知っていただきたい大切なことがございます。それは、フケは必ずしも「不潔」が直接的な原因で発生するわけではない、ということです。むしろ、良かれと思って毎日続けているその洗髪方法や、ご自身の頭皮タイプに合っていないヘアケア、あるいは日々の生活習慣の中に、その根本的な原因が隠されている場合が非常に多いのです。
お客様の頭皮と日々向き合っている私たち理容師の視点から、フケの正体とその原因を突き止め、今日から皆様が始められる正しい対策について、詳しく解説してまいります。
まずはご自身のフケのタイプを知りましょう
フケと一括りに言っても、実は大きく分けて2つの異なるタイプが存在します。ご自身のフケがどちらのタイプに近いかを知ることが、適切なケアへの第一歩となります。
乾性フケ
パラパラと細かく、カサカサと乾燥しているのが「乾性フケ」の特徴です。主に頭皮の乾燥、つまり潤い不足が原因で発生します。皮膚のターンオーバーが乱れ、未熟な角質が剥がれ落ちてしまう状態で、特に空気が乾燥する冬場に悪化しやすい傾向にあります。
脂性フケ
乾性フケとは対照的に、少し湿り気があり、黄色っぽく、やや大きな塊状になっているのが「脂性フケ」の特徴です。これは、頭皮から分泌された過剰な皮脂と、その皮脂をエサとして頭皮の常在菌(マラセチア菌)が異常繁殖することが主な原因で発生します。
「乾性フケ」の原因と対策
カサカサとした乾性フケにお悩みの場合、その原因は「潤いの奪いすぎ」にある可能性が高いと考えられます。洗浄力の強すぎるシャンプーの使用や、40度を超えるような熱いお湯での洗髪、あるいは一日に何度も髪を洗うといった習慣は、頭皮を守るべき皮脂膜まで根こそぎ奪い去り、深刻な乾燥を招きます。
対策としては、まず洗浄力がマイルドなアミノ酸系のシャンプーに見直すこと。そして、お湯の温度を必ず38度前後のぬるま湯に設定することが基本となります。洗髪後、頭皮用の保湿ローションなどで潤いを補給することも非常に有効です。
「脂性フケ」の原因と対策
べたつきを伴う脂性フケの場合、根本には皮脂の過剰な分泌があります。その背景には、脂質の多い食事への偏りや、ストレス、睡眠不足といった生活習慣の乱れが大きく影響しています。また、シャンプーのすすぎ残しが頭皮に残留し、菌の繁殖を助長しているケースも少なくありません。
対策として最も重要なのは、シャンプーの「すすぎ」を徹底することです。洗浄にかける時間の倍以上の時間をかけ、洗浄成分を完全に洗い流す意識を持ってください。同時に、食生活のバランスを見直し、十分な睡眠時間を確保するなど、身体の内側からのケアも、脂性フケの改善には不可欠です。
タイプを問わない、正しい洗髪の基本
どちらのタイプのフケであっても、その改善の土台となるのは、日々の正しい洗髪習慣です。ぬるま湯での十分な予洗い、シャンプーをしっかりと泡立て、爪を立てずに指の腹で頭皮をマッサージするように優しく洗うこと、そして完璧なすすぎと、洗髪後の速やかな乾燥。これらの基本を忠実に守ることが、フケの出にくい健やかな頭皮環境への最短ルートとなります。
自己判断が難しい場合は、専門家にご相談ください
ここまでフケのタイプと対策について解説してまいりましたが、ご自身のフケがどちらのタイプなのか、あるいは両方の要素が混じった混合タイプなのかを正確に自己判断するのは、実は非常に難しいものです。「べたつくから脂性フケだ」と思い込み、洗浄力の強いシャンプーを使い続けた結果、実は乾燥による皮脂の過剰分泌だったために、症状をさらに悪化させてしまう、というケースもございます。
私たち理容師は、お客様の頭皮の状態を直接、そして客観的に拝見し、フケの根本原因を突き止めるお手伝いができます。その上で、お客様の頭皮に本当に合ったシャンプー選びから、日々の具体的なケア方法まで、誠実にアドバイスさせていただきます。
正しいケアで、フケの悩みから解放されましょう
フケの悩みは、正しい知識を身につけ、ご自身の頭皮に合った適切なケアを継続することで、必ず改善へと向かいます。もし、一人で解決するのが難しいと感じられたなら、どうぞ気兼ねなく私たちを頼ってください。デリケートなお悩みだからこそ、私たちは真摯に耳を傾け、お客様が自信を持って毎日を過ごせるよう、全力でサポートさせていただくことをお約束します。