シャンプーでワックスを落とす、プロのテクニック|髪と頭皮をいたわる洗浄術
ヘアワックスは、思い通りのスタイルを創り出し、一日中キープするための、現代男性にとって欠かせないパートナーです。しかし、その強力なセット力の代償として、多くの方が「シャンプーをしても、ワックスが完全に落ちきらない」という悩みを抱えています。髪に残るべたつきやゴワつきは不快なだけでなく、頭皮環境の悪化を招く、見過ごせない問題でもあります。ここでは、髪と頭皮に負担をかけることなく、頑固なワックスを根こそぎリセットするための、私達プロフェッショナルが実践している「ワックス落とし」の技術について、その全貌を解説いたします。
なぜ、いつものシャンプーではワックスが落ちきらないのか
ヘアワックスが落ちにくい理由は、その主成分にあります。ワックスの粘り気やキープ力は、主に「油分」や「樹脂成分」といった、水を弾く性質を持つ成分で構成されています。そのため、シャンプーの洗浄成分がこれらの頑固な油性の汚れに弾かれてしまい、一度の洗浄では完全に分解・乳化させることができず、髪や頭皮に残留してしまうのです。
ワックスの「洗い残し」が、髪と頭皮にもたらすリスク
ワックスの洗い残しを放置することは、様々なトラブルの引き金となります。残留したワックスは、頭皮から分泌される皮脂や古い角質と混ざり合い、毛穴を塞いでしまいます。この毛穴詰まりが、かゆみやフケ、炎症、そして気になるにおいといった、深刻な頭皮トラブルの原因となるのです。また、髪の表面にワックスが残っていると、トリートメントなどのケア成分の浸透を妨げ、髪のダメージを助長させることにも繋がります。
ワックスを落とすためのシャンプー選びと、その前の「ひと工夫」
ワックスを効果的に落とすためには、シャンプー選びはもちろんのこと、シャンプー前の「準備」が非常に重要になります。
まずは「予洗い」で、汚れの大半を落とす
シャンプー剤をつける前に、38度程度のぬるま湯で、1分から2分ほどかけて、髪と頭皮を入念にすすぎます。この丁寧な「予洗い」によって、お湯で落とせる汚れと共に、ワックスをある程度柔らかくし、浮き上がらせることができます。
トリートメントを使った「プレ洗浄」という裏技
特にハードなワックスを使用した日におすすめなのが、シャンプーの前にトリートメントやコンディショナーを髪になじませる、というテクニックです。「油は油で落とす」という原則の通り、トリートメントに含まれる油分が、ワックスの頑固な油分と馴染み、それを浮かび上がらせて、格段に落ちやすい状態にしてくれます。ワックスが付着している部分を中心に揉み込んだ後、軽くすすいでからシャンプーの工程に進みましょう。
目的を分けた「二度洗い」で、完全リセット
そして、シャンプーを行います。一度目のシャンプーは、髪に残ったワックスを完全に落としきることを目的に、髪全体を優しく洗い上げます。そして、二度目のシャンプーで、今度は頭皮を中心に、指の腹を使ってマッサージするように洗い、毛穴の奥までをディープクレンジングします。この目的を分けた二度洗いが、プロの洗浄術の基本です。
洗浄力と優しさを両立したシャンプーを選ぶ
ワックスを日常的に使用する方のシャンプーは、ただ洗浄力が強いだけではいけません。頭皮のうるおいを守りながら、不要な汚れはきちんと落とす、バランスの取れた処方が求められます。アミノ酸系のマイルドな洗浄成分をベースとしながらも、頭皮環境を整える機能を持った、質の高いスカルプケアシャンプーなどが理想的です。
正しい「ワックス落とし」が、最高のスタイリングを生む
一日の終わりに、その日のスタイリングを、髪と頭皮から完全にリセットすること。それこそが、すこやかな髪を維持し、翌日のヘアスタイリングを、より自由で、より美しいものにするための、最も大切なルールです。ご自身の髪質やお使いのワ-ックスに最適なケアについて、もし迷われることがあれば、いつでも私達にご相談ください。あなたのヘアライフを、根本からサポートさせていただきます。