ノンシリコンシャンプーとは?シリコンの役割と、髪質に合わせた選び方を解説
シャンプー売り場に足を運ぶと、必ずと言っていいほど目にする「ノンシリコン」という言葉。すっかりヘアケアの定番として定着しましたが、その一方で、「そもそもシリコンとは何なのか」「なぜ、シリコンが入っていない方が良いと言われるのか」その本質的な意味を、正確にご存知の方は意外と少ないかもしれません。「なんとなく髪に優しそう」という漠然としたイメージだけでなく、シリコンとノンシリコン、それぞれの役割と特性を正しく理解することが、ご自身の髪にとって最良の一本を見つけ出すための、重要な鍵となります。
まずは「シリコン」の役割を正しく知ることから
ノンシリコンを理解するためには、まず、比較対象である「シリコン」がどのような役割を担っているのかを知る必要があります。シャンプーにおけるシリコンとは、髪の表面を薄い皮膜でコーティングする成分の総称です。このコーティング作用によって、シャンプー時の指通りをなめらかにし、髪同士の摩擦を軽減してくれます。また、キューティクルを整えることで髪にツヤを与えたり、ドライヤーの熱から髪を保護したりといった、特にダメージを受けた髪の手触りを向上させる上で、非常に有効な働きを持っています。
では「ノンシリコンシャンプー」とは何か
その名の通り、ノンシリコンシャンプーとは、上記でご説明したシリコンというコーティング成分を配合していないシャンプーのことを指します。シリコンによる人工的な皮膜で髪を覆うのではなく、シャンプー本来の洗浄と、配合されたケア成分によって、髪を洗い上げるのが特徴です。これにより、髪はコーティングされていない「素」の状態に近い、軽やかな仕上がりとなります。
ノンシリコンシャンプーが選ばれる理由とその特徴
では、なぜ多くの方がノンシリコンシャンプーを選ぶのでしょうか。それには、シリコンのコーティングがないことによる、特有のメリットがあります。
根元から、ふんわりと軽い仕上がり
ノンシリコンシャンプーの最大の魅力は、その軽やかな洗い上がりです。髪一本一本が重い皮膜で覆われることがないため、特に髪が細く、ボリュームが出にくい方にとっては、根元から自然に立ち上がるような、ふんわりとした空気感のあるスタイルを作りやすくなります。
髪本来のすこやかさを目指す
シリコンによるコーティングがないため、髪の「素」の状態、つまり、ダメージを受けている部分はそのままの状態が現れやすくなります。これは一見デメリットのようにも思えますが、ご自身の髪の本当のコンディションと向き合い、トリートメントなどで本質的なケアを行うきっかけともなります。また、その後に使用するトリートメントの補修成分が、髪の内部に浸透しやすいという側面も持っています。
きしみを感じやすい、という側面
一方で、ノンシリコンシャンプーを使い始めた際に、髪のきしみを感じることがあります。これは、シャンプーが髪を傷めているのではなく、これまでシリコンによって覆い隠されていた、ダメージを受けたキューティクルの状態が、そのまま指に伝わっているためです。しかし、高品質なノンシリコンシャンプーは、優れた保湿成分や補修成分を豊富に配合することで、このきしみを抑え、シリコンに頼ることなく、なめらかな洗い心地を実現しています。
あなたに合うのは、シリコンか、ノンシリコンか
結局のところ、シリコンとノンシリコン、どちらが優れていると一概に断じることはできません。ダメージが非常に強く、まずは指通りとまとまりを最優先したい場合にはシリコン配合のシャンプーが有効な場合もありますし、根元の立ち上がりや軽い質感を求め、髪そのものの健康を目指すのであれば、ノンシリコンシャンプーが適していると言えるでしょう。大切なのは、シリコンの有無という表面的な言葉だけで判断するのではなく、ご自身の髪質と、どのような仕上がりを理想とするか、という本質的な視点です。
大切なのは、ラベルの先にある本質
シャンプー選びで最も重要なのは、シリコンが入っているか否か、ということ以上に、どのような洗浄成分を使い、どのようなケア成分が配合されているか、という製品全体の処方です。しかし、その複雑な処方を読み解き、ご自身の髪に最適かどうかを判断することは、非常に難しいことかもしれません。私達、髪の専門家である美容師は、お客様の髪の状態を的確に診断し、ラベルの言葉の先にある本質を見極め、あなたにとって最良の一本をご提案するパートナーです。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。