肌に優しいシャンプーの選び方|頭皮だけでなく、全身で考えるスキンケア
頭皮のかゆみやフケ、あるいは洗髪後のつっぱり感。こうしたデリケートな頭皮のお悩みに加えて、「背中や顔の生え際に、原因のわからない肌荒れができてしまう」といった経験はございませんでしょうか。見過ごされがちですが、その肌トラブル、もしかしたら毎日お使いのシャンプーが原因となっているかもしれません。髪を洗うという行為は、頭皮だけでなく、すすぎの際にシャンプーが触れる全ての肌に関わってきます。ここでは、髪はもちろんのこと、全身の肌をいたわるための「肌に優しい」シャンプー選びについて、スキンケアの視点から詳しく解説いたします。
シャンプーが、頭皮以外の肌にも影響する理由
シャンプーは髪と頭皮を洗うためのものですが、その影響は頭皮だけに留まりません。シャンプーを洗い流す際、その泡や洗浄成分は、顔の生え際や首すじ、そして背中といった広範囲の肌を伝って流れていきます。もし、お使いのシャンプーに、ご自身の肌質に対して刺激の強い成分が含まれていた場合、そのすすぎの過程で肌に必要なうるおいまで奪ってしまったり、洗い流した成分が肌に残って刺激となったりして、肌荒れやニキビといったトラブルを引き起こすことがあるのです。
「肌への優しさ」を決定づける、洗浄成分という基盤
では、「肌に優しい」シャンプーとは、具体的にどのようなものでしょうか。その鍵を握る最も重要な要素が、シャンプーの主成分である「洗浄成分」です。
理想は、肌と同じ弱酸性の「アミノ酸系」
私たちの健康な肌や髪は、弱酸性の状態に保たれています。洗浄成分の中でも、人間の皮膚や髪を構成するタンパク質と同じアミノ酸から作られる「アミノ酸系」の洗浄成分は、この弱酸性の性質を持ち、極めて刺激が少ないのが最大の特徴です。肌のバリア機能を守るために必要な皮脂や保湿成分は残したまま、不要な汚れだけを選択的に洗い流す。この「うるおいを守りながら洗う」という働きこそが、デリケートな肌にとって最も理想的な洗浄と言えます。
注意が必要な、洗浄力の強い成分
一方で、すっきりとした強い洗い上がりを特徴とするシャンプーの中には、洗浄力の高い成分が使われていることがあります。こうした成分は、肌質によっては刺激が強く感じられたり、肌のうるおいを奪いすぎて、乾燥やつっぱり感の原因となったりする場合があります。
肌に優しいシャンプーを見分ける、その他の視点
洗浄成分に加えて、以下の点にも着目することで、より肌への優しさを追求したシャンプーを選ぶことができます。
頭皮と肌をうるおす、保湿成分の存在
肌に優しいシャンプーは、刺激が少ないという守りの側面だけでなく、肌を健やかに保つという攻めの側面も持っています。顔のスキンケアでもおなじみの、セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンといった優れた「保湿成分」が配合されているものは、洗浄中に失われがちな水分を補い、頭皮や肌のうるおいを保つ手助けとなります。
刺激となりうる添加物を避ける、という配慮
肌が特に敏感な方は、できるだけシンプルな処方の製品を選ぶことをおすすめします。香料、着色料、防腐剤(パラベン)、アルコール(エタノール)といった成分は、製品の品質維持や使用感を向上させる一方で、肌質によっては刺激となる可能性も否定できません。「無添加」や「フリー処方」を謳う製品は、そうした配慮がなされている一つの目安となります。
洗い方とすすぎ方で、優しさを最大限に
肌に優しいシャンプーを選んだら、その使い方にも少しだけ配慮しましょう。特に重要なのが「すすぎ」です。シャンプー成分が肌に残らないよう、髪だけでなく、顔の生え際や首すじ、背中まで、ぬめり感が完全になくなるまで丁寧に洗い流してください。洗髪を終えた後に、身体を洗うという順番を習慣にすると、背中などに残ったシャンプーをきれいに洗い流すことができるため、より効果的です。
髪を洗うことは、肌を洗うこと
髪を洗うという毎日の習慣は、同時に、あなたの肌を洗うということでもあります。この視点を持つことが、原因不明の肌トラブルからご自身を守るための、大切な第一歩となるかもしれません。ご自身の肌質に本当に合ったシャンプーがどのようなものか、もし迷われることがあれば、どうぞお気軽に、私達のような髪と頭皮、そして肌との関係性を熟知した専門家にご相談ください。