ブリーチ毛のためのシャンプー選び|ハイダメージヘアを救う、プロの選択基準
透明感のあるハイトーンカラーや、繊細なニュアンスのデザインカラーを叶えるために、不可欠な施術である「ブリーチ」。髪の表現の幅を、劇的に広げてくれる魅力的な技術である一方で、髪に大きな負担をかけ、深刻なダメージを伴うこともまた、紛れもない事実です。ブリーチ後の髪は、いわば、体力を極限まで削られた、非常にデリケートな状態。その美しいデザインを維持し、髪そのものの生命感を保つためには、日々のケア、とりわけ、毎日使うシャンプー選びに、最大限の知恵と配慮を注ぐ必要があります。
ブリーチ毛が、なぜ特別なケアを必要とするのか
まず、ブリーチをした後の髪が、どのような状態にあるのかを、正しく理解することが大切です。
髪の体力を、極限まで削られた状態
ブリーチとは、薬剤の力で髪のキューティクルをこじ開け、内部のメラニン色素を分解・脱色する、非常にパワフルな施術です。この過程で、髪の色素だけでなく、髪の骨格を形成しているタンパク質(ケラチン)や、うるおいを保つための脂質といった、髪の体力を支える重要な成分も、残念ながら、同時に失われてしまいます。その結果、髪の内部は栄養分が抜け落ちた、いわば空洞の多いスカスカの状態となり、極度に切れやすく、パサつきやすい、脆い髪質へと変化してしまうのです。
色素を失い、「黄ばみ」と戦い続ける宿命
ブリーチによって髪の色素を抜いた後も、アジア人の髪には、どうしても黄色味(アンダートーン)が残りやすいという特性があります。アッシュやグレーといった、美しい寒色系のカラーは、この黄色味を、青や紫といった補色の染料で打ち消すことによって表現されています。しかし、これらの寒色系の染料は、髪の内部に定着しにくく、日々のシャンプーによって最も早く流出してしまいます。その結果、打ち消されていたはずの黄色味が再び表面に現れ、「黄ばみ」となって、美しいカラーデザインを損なってしまうのです。
ブリーチ毛をいたわる、シャンプー選びの絶対条件
この、極めてデリケートで複雑な状態にあるブリーチ毛を守り、美しく保つためには、シャンプー選びに、以下の三つの絶対条件が求められます。
条件1:洗浄ではなく「補給」を目的とした、最高に優しい洗浄成分
ブリーチ毛のケアにおいて、洗浄力の強いシャンプーは、最も避けなければならない選択です。ただでさえ失われている髪の栄養分を、さらに洗い流してしまうことになりかねません。シャンプーの目的は、洗浄ではなく、失われたものを「補給」すること。その思想に基づいた、髪や頭皮への負担が極めて少ない、アミノ酸系やベタイン系といった、最高レベルにマイルドな洗浄成分が、その土台として不可欠です。
条件2:失われたタンパク質を補う「高濃度な補修成分」
髪の内部の空洞を埋め、失われた体力を取り戻すためには、タンパク質由来の「補修成分」を、高濃度で補給する必要があります。髪の主成分に近い、加水分解ケラチンなどの成分が、髪の芯まで浸透し、内側からその構造を再構築することで、切れにくく、ハリのある、しっかりとした髪質へと導きます。
条件3:黄ばみを抑えるための「色素コントロール」
美しいハイトーンカラーを維持するためには、日々のシャンプーで、失われる寒色系の色素を補充し、「黄ばみ」をコントロールするという、積極的なケアが有効です。黄色の補色である紫の色素が配合された「紫シャンプー(ムラシャン)」などが、その代表格です。
洗う、というよりも「髪を浸す」という新感覚
ブリーチ後のデリケートな髪を洗う際は、ゴシゴシと擦ることは絶対に避けてください。シャンプーを豊かな泡で泡立てたら、その泡で髪全体を優しく包み込み、少し時間をおく「泡パック」のように、補修成分や色素をじっくりと浸透させるようなイメージで洗い上げるのが理想です。
最高のデザインは、最高のケアによってのみ維持される
ブリーチヘアという、特別なヘアデザインは、特別なケアによってのみ、その美しさを保つことができます。どのような補修成分が、そして、どのような色味のシャンプーが、あなたの髪にとって最適なのか。その答えは、あなたの髪の状態を最も深く理解している、施術を担当した私達プロフェッショナルにご相談いただくのが、最良の道です。あなたのこだわりのヘアデザインを、最高の状態で維持するために。ぜひ、私達にそのお手伝いをさせてください。