【接客業の会話術】会話が苦手でも大丈夫。心地よい「雑談」を生む3つのコツ
「お客様との会話で、何を話せばいいか分からず、気まずい沈黙が流れてしまう…」
接客業において、お客様との、何気ない「雑談」。それに苦手意識を持ち、できれば避けたい、と感じている方も、実は少なくないのではないでしょうか。
しかし、雑談は、単なる世間話ではありません。それは、お客様の緊張をときほぐし、あなたという人間、そして、お店そのものへの、親近感と信頼感を育むための、非常に重要なコミュニケーションです。
今回は、会話が苦手な方でも、自然で、心地よい「雑談」を生み出すことができる、3つの簡単なコツをご紹介します。
接客トークの目的は「盛り上げること」ではない
まず、心に留めておいていただきたい、最も大切なこと。それは、雑談の目的は、面白い話で「場を盛り上げること」ではない、ということです。
お客様が求めているのは、エンターテイナーのような、巧みな話術ではありません。
その本当の目的は、「お客様との間に、心地よい、穏やかな空気感を作ること」。
時には、無理に話さず、お客様が静かに過ごしたいという気持ちを察することも、立派な雑談のスキルの一つです。
雑談を始めるための、魔法の「キラーフレーズ」
会話のきっかけ作りに困った時は、相手が「はい/いいえ」だけでなく、少しだけ答えを広げやすい、魔法の質問を投げかけてみましょう。
- 「今日は、この後、どこかへお出かけですか?」
休日の過ごし方など、プライベートな話題に、自然に繋げやすい質問です。
- 「最近、〇〇(季節)らしくなってきましたね」
誰もが共有できる、季節や天候の話題は、最も当たり障りのない、万能のキラーフレーズです。
- 「その〇〇(持ち物)、素敵ですね。よくお似合いです」
相手を肯定する、ポジティブな褒め言葉から入ることで、相手も心を開きやすくなります。
鉄板の「会話のネタ帳」
いざという時のために、誰とでも、どんな時でも使える、鉄板の会話のネタを、いくつか頭の中の「ネタ帳」にストックしておくと、心に余裕が生まれます。
- 「きどにたちかけせし衣食住」
これは、会話のネタの頭文字を覚えるための、有名な言葉です。
き:気候・季節
ど:道楽(趣味)
に:ニュース
た:旅
ち:知人
か:家族
け:健康
せ:生活
し:仕事
- 避けるべき話題
一方で、宗教や、政治、応援しているスポーツチームといった、個人の信条に関わる話題は、意見が対立する可能性があるため、避けるのが賢明です。
【最重要】最高の雑談は、「話す」ことより「聴く」こと
そして、これが、雑談における、最も重要な極意です。
それは、あなたが「話す」割合は3割に抑え、残りの7割は、お客様の話を「聴く」ことに、徹する、ということです。
- 「共感」しながら、話を聴く。
- 相手の話した言葉を、繰り返す(オウム返し)。
- さらに、話を深掘りするような、質問を投げかける。
人は、自分の話を、楽しそうに、そして、真剣に聴いてくれる相手に対して、最も好意を抱くものです。聞き上手は、すなわち、雑談上手なのです。
【私たちの仕事から】理容室が「最高の雑談の場」である理由
私たち理容師と、お客様との会話は、まさに、この「雑談」の連続です。
お客様の髪を切る、という目的はありながらも、その合間に交わされる、仕事や、家族、趣味の話。その、とりとめのない、しかし、温かい時間の共有こそが、お客様との間に、何年にもわたる、深い信頼関係を築き上げていきます。
私たちの仕事場は、髪を切る場所であると同時に、お客様が、心からリラックスして、何でも話せる、最高の「雑談の場」でありたいと、常に願っています。
最高の雑談は、最高の「あなた」から
お客様が、あなたとの会話を「楽しい」と感じてくださる。その土台となるのは、あなた自身が、プロとして、そして、一人の人間として、信頼できる、という「安心感」です。
清潔感にあふれ、自信に満ちたあなたの「身だしなみ」は、お客様が、安心して、心を開くための、最初の扉となります。
最高の会話が生まれる、最高のあなた作り。ぜひ、私たちにお任せください。