【接客業の会話術】お客様との「トーク」を心地よい時間に変えるコツ
「お客様との会話が、なかなか弾まない…」
「沈黙が怖くて、つい余計なことまで話してしまう…」
お客様とのコミュニケーション、特に「トーク」や「会話」について、苦手意識を持っている接客業の方は少なくありません。
しかし、お客様との会話は、あなたという人間、そして、お店のファンになっていただくための、絶好の機会です。
今回は、お客様との会話を、単なる作業から、お互いにとって心地よい、豊かな時間に変えるための、ちょっとしたコツについて解説します。
接客トークの目的は「盛り上げること」ではない
まず、最も大切な心構え。それは、接客における会話の目的は、必ずしも「場を盛り上げること」ではない、ということです。
お客様の中には、静かに、リラックスして過ごしたい、という方もいらっしゃいます。
接客トークの本当の目的は、「お客様との間に、信頼関係を築き、心地よい空気感を作ること」です。時には、無理に話さず、穏やかな沈黙を共有することも、立派なコミュニケーションの一つなのです。
会話のきっかけを作る「質問」の投げかけ方
お客様との会話は、こちらからの、さりげない「質問」から始まることがほとんどです。その際、相手が答えやすい、肯定的な質問から入るのが基本です。
- 天候や季節の話題
最も当たり障りのない、万能のトピックです。
「今日は、暑い中お越しいただき、ありがとうございます」
- お客様の持ち物や服装を褒める
相手を肯定する、ポジティブな質問です。
「そのお鞄、素敵ですね。どちらで手に入れられたのですか?」
- お店に関連する、シンプルな質問
お客様の状態を把握するための、自然な質問です。
「当店は、初めてでいらっしゃいますか?」「〇〇は、もうご覧になりましたか?」
会話を広げる「聴き方」のテクニック
お客様が話し始めてくださったら、そこからは、あなたが「話す」のではなく、「聴く」ことで、会話はさらに広がっていきます。
- 相槌(あいづち)
「はい」「なるほど」といった相槌で、話を聴いている姿勢を示します。
- 共感
「それは、大変でしたね」「嬉しいですね」と、お客様の感情に寄り添います。
- 質問(深掘り)
お客様の話した内容について、「それで、どうなられたのですか?」「〇〇は、どんなところがお好きなのですか?」と、さらに質問をすることで、相手は、より深く話してくださいます。
鉄板の「会話のネタ」と「避けるべき話題」
会話のネタに困った時のために、誰とでも話しやすい「鉄板の話題」を、いくつか持っておくと安心です。
- おすすめの話題
衣食住(ファッション、グルメ、地元の情報など)
趣味や、休日の過ごし方
旅行の話(行った場所、行きたい場所)
最近あった、明るいニュースや、テレビ番組の話
- 避けるべき話題
政治や宗教の話
応援しているスポーツチームの話(相手が同じチームのファンとは限りません)
他のお客様のプライベートな話
自分自身の、個人的すぎるプライベートな話(自慢話や愚痴など)
【私たちの仕事から】理容室という、特別な「対話の場」
私たち理容師の仕事は、お客様と一対一で、長い時間を共に過ごします。そのため、理容室は、昔から、地域のコミュニティにおける、特別な「対話の場」としての役割も担ってきました。
私たちはお客様の髪を切るだけでなく、その方の、仕事の話、家族の話、趣味の話に、真摯に耳を傾けます。
お客様にとって、私たちのサロンが、日々の喧騒から離れ、心からリラックスして、何でも話せる、心地よい場所であること。それも、私たちが提供したい、大切な価値の一つなのです。
最高の会話は、最高の「身だしなみ」から
お客様が、あなたに心を開き、プライベートな会話をしてくださる。それは、あなたのことを、一人のプロフェッショナルとして、そして、一人の人間として、「信頼」してくださっている、何よりの証です。
そして、その信頼の土台となるのが、あなたの「身だしなみ」です。
清潔感にあふれ、プロとしての意識が感じられる身だしなみは、お客様に「この人なら、安心して話せる」という、無言の安心感を与えます。
最高の会話が生まれる、最高の空間。それは、最高のあなたから始まります。ぜひ一度、私たちプロの仕事を、ご体験ください。