【接客業で必要なスキル】お客様の入店から退店まで、プロが使う「5つの力」
接客業で優れた成果を出すプロフェッショナルは、お客様がお店に入店し、そして退店されるまでの「一連の流れ」を、一つの物語のように捉えています。
そして、その物語の各章を、最高の体験へと導くために、場面ごとに異なる、専門的なスキルを駆使しています。
今回は、お客様の体験価値を最大化するために、接客の各ステージで必要となる、5つの本質的なスキル(力)について解説します。
ステージ1【お出迎え】:第一印象を決定づける「表現力」
お客様が、最初にあなたと、そして、お店と出会う、最も重要な瞬間です。この数秒間で、第一印象のほぼ全てが決まります。
- 必要なスキル:「表現力」
言葉だけでなく、表情や態度を通じて、お店全体の「歓迎する気持ち」や「プロとしての信頼性」を表現する能力です。
- 具体的な行動
明るい笑顔と、はっきりとした声での挨拶。
清潔感にあふれ、一点の隙もない身だしなみ。
丁寧で、美しいお辞儀。
ステージ2【アプローチ】:心の扉を開く「傾聴力」
お客様の心を開き、本当のニーズを引き出すための、最も重要なステージです。ここでは、話すことよりも、聴くことが求められます。
- 必要なスキル:「傾聴力」
お客様が発する言葉の、さらに奥にある、言葉にならない想いや、悩みを、真摯な姿勢で聴き出す能力です。
- 具体的な行動
お客様の話を、決して遮らずに最後まで聴く。
適切な相槌と、共感の言葉を伝える。
「はい・いいえ」では終わらない、オープンクエスチョンで、話を深掘りする。
ステージ3【ご提案】:期待を超える「課題解決力」
お客様のニーズを深く理解した上で、プロとして、その期待を超えるための解決策を提示するステージです。
- 必要なスキル:「課題解決力」
お客様が抱える問題や、満たしたい欲求に対して、自らが持つ専門知識を総動員し、最高の解決策を提示する能力です。
- 具体的な行動
複数の選択肢を、それぞれのメリット・デメリットと共に提示する。
お客様一人ひとりの状況に合わせた、パーソナルな提案を行う。
お客様の不安や疑問に対して、専門家として、自信を持って答える。
ステージ4【クロージング】:満足を確信に変える「説明力」
ご購入や、サービスの提供が完了する、最終段階です。お客様の満足を、揺るぎない「確信」へと変えるための、丁寧な説明が求められます。
- 必要なスキル:「説明力」
提供した商品やサービスの使い方、アフターケアの方法などを、誰にでも分かりやすく、論理的に説明する能力です。
- 具体的な行動
専門用語を避け、平易な言葉で説明する。
お客様が、次に何をすれば良いかが、明確に分かるように伝える。
感謝の気持ちを、改めて言葉で伝える。
ステージ5【お見送り】:次へと繋げる「記憶力」
お客様の体験を、最高の思い出として締めくくり、次の来店へと繋げる、最後のステージです。
- 必要なスキル:「記憶力」
その日お客様とお話しした、何気ない会話の内容や、お客様のお名前などを記憶し、それを最後の挨拶に、さりげなく盛り込む能力です。
- 具体的な行動
「〇〇様、本日はありがとうございました」
「次回の〇〇、楽しんでいらしてくださいね」
といった、パーソナルな一言を添えて、お見送りをする。
【私たちの仕事から】全てのステージが、この椅子の上で
私たち理容師の仕事は、まさに、この5つのステージが、お客様一人の、椅子の上で、凝縮されて展開されます。
最高の「表現力」でお迎えし、「傾聴力」でカウンセリングを行い、「課題解決力」としてのカット技術でスタイルを提案し、「説明力」をもってスタイリングのアドバイスをし、そして、お客様との会話を心に刻み、「記憶力」をもってお見送りする。
最高のスキルとは、お客様の「物語」を最高にすること
これらのスキルは全て、お客様という主人公が、私たちのお店で過ごす「物語」を、最高のハッピーエンドへと導くための、道具にすぎません。
私たちは、その物語を演出する、最高の黒子でありたいと考えています。
お客様の物語に、最高の形で関わるための、プロとしての身だしなみ。その土台作りは、ぜひ、私たちにお任せください。