「接客業」と「販売業」の違いとは?仕事の本質を理解してプロを目指す
「私の仕事は、接客業であり、販売業でもあります」
アパレルショップや、家電量販店などにお勤めの方は、このように自己紹介をされるかもしれません。この「接客業」と「販売業」という二つの言葉は、非常に密接な関係にあり、日常会話では同じような意味で使われることも少なくありません。
しかし、プロフェッショナルとして、自身の仕事の本質を深く理解するためには、この二つの言葉が持つ、本来の意味と、その微妙な違いを知っておくことが重要です。
今回は、この二つの「業」の違いと、その関係性について解説します。
まず「販売業」の本質を理解する
「販売業」とは、その名の通り、お客様に「物」を販売することを、主たる目的とした仕事です。
- 「商品」そのものが、価値の中心
販売業において、お客様が対価を支払う対象は、衣服や食品、雑貨といった、「形のある物(有形財)」、つまり「商品」です。スタッフの役割は、その商品の価値をお客様に伝え、購入へと繋げることにあります。
- 販売業に含まれる職種の例
アパレル販売員、百貨店店員、家電量販店員、書店員、コンビニエンスストア店員など。
次に「接客業」の本質を理解する
一方、「接客業」とは、お客様と「直接、対面で接する」ことを通じて、サービスや、おもてなしを提供することを、主たる目的とした仕事です。
- 「人」が提供する、技術や体験が、価値の中心
接客業において、お客様が対価を支払う対象は、必ずしも「物」だけではありません。調理師の「技術」や、ホテルスタッフの「おもてなし」、理容師の「カット技術」といった、「人」が提供する、形のない価値(無形財)そのものが、商品となります。
- 接客業に含まれる職種の例
ホテルスタッフ、飲食店ホールスタッフ、テーマパークのキャスト、理容師・美容師など。
【関係性の整理】二つの仕事の重なりと違い
ここまで読んで、「では、アパレルの店員さんは、接客業ではないの?」と、疑問に思われたかもしれません。
その答えは、「販売業であり、かつ、接客業でもある」です。
この二つの仕事の関係性は、以下のように整理すると、非常に分かりやすくなります。
- 販売業であり、接客業でもある仕事
お客様と直接対話をしながら、商品を販売する仕事です。
(例:アパレル販売員、百貨店店員など)
- 販売業だが、接客を伴わない仕事
商品を販売していますが、お客様と直接対面しない仕事です。
(例:ネット通販の運営スタッフ、卸売業の営業など)
- 接客業だが、物を販売しない仕事
お客様と直接対面しますが、主な商品が「物」ではない仕事です。
(例:ホテルスタッフ、受付係、理容師など)
【私たちの仕事から】技術(接客)と商品(販売)の両輪
私たち理容師の仕事は、この関係性を体現している、非常に分かりやすい例です。
- 接客業として
私たちのメインの商品は、カットやシェービングといった「技術」、そして、お客様にリラックスしていただく「時間」という、形のない価値です。これは、まさしく「接客業」そのものです。
- 販売業として
そして、私たちは、お客様の髪質に合わせた、ワックスやシャンプーといった「商品(物)」も販売します。この瞬間、私たちはお客様の髪のプロとして、商品を提案する「販売員」にもなるのです。
そして、お客様が私たちの勧める商品を購入してくださるのは、その前の、接客を通じて築かれた「信頼関係」があってこそです。
最高のプロは、両方の視点を持つ
これからの時代、お客様に最高の価値を提供できるプロフェッショナルとは、「販売」と「接客」、この両方の視点を、高いレベルで持っている人材です。
商品の価値を深く理解し(販売員の視点)、
お客様の悩みを深く理解する(接客員の視点)。
この二つの視点が融合した時、あなたのサービスは、他にはない、圧倒的な価値を持つようになります。そして、その全ての土台となるのが、あなた自身のプロとしての「身だしなみ」です。
お客様に、商品と、あなた自身の両方を、信頼していただくために。ぜひ一度、私たちに、あなたの「第一印象」作りのお手伝いをさせてください。