整髪料をつけすぎた時の緊急対処法と、二度と失敗しないための正しい使い方
毎朝の髪の整髪で、多くの方が一度は経験されたことがあるであろう、あのささやかな、しかし深刻な失敗。それが、「整髪料のつけすぎ」です。髪が意図せずしてべたついてしまったり、不自然にテカテカと光ってしまったり、あるいは整髪料の重さで、せっかく立ち上げた髪がぺたんと潰れてしまったり。「もう一度、髪を洗い直している時間はないのに、どうしよう」。鏡の前で、そう途方に暮れてしまったご経験に、心当たりがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、ご安心ください。このような整髪の失敗は、いくつかの簡単な方法でその場で修正することが可能ですし、また、整髪料の正しい使い方を身につけることで、そもそも未然に防ぐことができるのです。この記事では、整髪料をつけすぎてしまった時の、プロが実践する緊急の対処法と、二度と同じ失敗を繰り返さないための、整髪料の正しい使い方について、専門家の視点から詳しく解説してまいります。
【緊急対処法】つけすぎた、その時のリカバリー術
時間がなく、一から髪を洗い直すことができない。そんな緊急事態に有効な、いくつかの修正方法をご紹介いたします。
基本の対処法、水分でリセットする
最も効果的で、どのような種類の整髪料にも応用できる基本的な方法が、髪に「水分」を適度に与えることです。まず、ご自身の手を水で濡らし、その湿った手で、整髪料をつけすぎてしまった部分の髪を、優しく揉みこむようにしてなじませます。次に、ドライヤーの温風を当てながら、手ぐしや目の粗いブラシで髪をとかし、部分的に固まってしまっていた整髪料を、髪全体に均一に伸ばし直すようなイメージで乾かしていきます。水分と熱の力によって、一度固まりかけた整髪料が再び柔らかくなり、髪全体に分散されることで、べたつきや重さが軽減されます。
油分が多いワックスなどの場合、ペーパータオルで吸着する
特に油分の多いワックスなどをつけすぎてしまい、べたつきがひどい場合には、乾いたペーパータオルやティッシュで、髪の表面を優しく挟み込むようにして、余分な油分を吸い取らせるという方法も有効です。この時、決して強くこすらず、あくまで優しく押さえるようにするのが、髪型を大きく乱さないためのこつです。
なぜ、整髪料は「つけすぎて」しまうのか
そもそも、なぜ私たちは整髪料を「つけすぎて」しまうのでしょうか。その原因のほとんどは、ご自身の髪の長さや量に対する「適量」を、まだ正確にご存じない、という点にあります。また、手に取った整髪料を、手のひらで十分に伸ばしきらないまま髪につけてしまうと、整髪料が塊のまま部分的に付着してしまい、結果として部分的な「つけすぎ」の状態を引き起こしてしまいます。
「つけすぎ」を防ぐための、正しい使い方
今後の整髪で、二度と同じ失敗を繰り返さないためには、正しい使い方を身につけることが何よりも大切です。まず、整髪料は、ご自身が思うよりもずっと少量で十分な効果を発揮します。ヘアワックスであれば、まずは「小豆一粒大」ほどの量から始めることを、強くお勧めいたします。「足りなければ、後から足せば良い」という考え方を持つことが、つけすぎを防ぐ最大の秘訣です。そして、手に取った整髪料は、指の間まで含めて、手のひら全体で、完全に透明になるまで薄く、均一に伸ばしてください。このひと手間を惜しまないことで、整髪料の髪へのなじみ方は劇的に変わります。髪につける際には、髪の表面から押さえつけるのではなく、髪の内側から手を入れて、髪全体に空気を含ませるように、優しく散らすようになじませることで、整髪料が薄く、そして均一に髪全体に行き渡ります。
失敗から学び、整髪を極める
整髪料のつけすぎは、どなたにでも起こりうる、ささやかな失敗です。しかし、その正しい対処法と、今後のための予防策を知っていれば、何も恐れることはございません。むしろ、そうした失敗を恐れることなく、様々な整髪料に挑戦し、ご自身の髪に合った正しい使い方をマスターしていく過程こそが、ご自身の魅力を最大限に引き出す、整髪の上級者への道なのです。もし、ご自身の髪質に合った整髪料の「適量」がどうしても分からない、あるいは、何度挑戦してもうまくいかない、という場合には、ぜひ一度、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。お客様一人ひとりに合わせた最適な整髪料の選び方から、明日からすぐに実践できる具体的な使い方まで、一対一で、丁寧にお伝えさせていただきます。