センターパートの「スタイリング剤」選び方。なりたい印象で決める、プロの選択術
ワックス、ジェル、グリース、オイル、バーム…。
人気のセンターパートを、もっとかっこよく仕上げたいと思っても、目の前には、あまりにも多くのスタイリング剤の選択肢が並んでいます。
「自分の髪質には、どれが一番合っているのだろう?」
「あのモデルのような、理想の質感はどうすれば作れるのだろう?」
その答えは、あなたが「どんな印象の自分になりたいか」を明確にすることに隠されています。この記事では、あなたのセンターパートを完成させる、なりたい印象別のスタイリング剤の選び方と、その使い方をプロの視点から解説します。
【なりたい印象別】スタイリング剤の選び方
スタイリング剤は、それぞれが異なる「質感」と「セット力」を持っています。あなたのゴールに合わせて、最適なパートナーを選びましょう。
- 印象①:ナチュラルで、サラサラな質感にしたいなら
- おすすめのスタイリング剤:ヘアオイル、ヘアバーム
- 特徴:セット力はほとんどありませんが、髪のパサつきを抑え、自然で美しいツヤとまとまりを与えてくれます。作り込みすぎていない、清潔感あふれる、最も自然な印象に仕上がります。韓国風のサラサラセンターパートを目指すなら、まずこの選択肢です。
- 印象②:柔らかく、無造作な動きが欲しいなら
- おすすめのスタイリング剤:ソフトワックス、クリームワックス
- 特徴:適度なセット力と、柔らかな質感で、パーマをかけたような、あるいはクセ毛を活かしたような、自然な束感と動きを表現するのを得意とします。固めすぎず、リラックスした「こなれ感」を演出したい場合に最適です。
- 印象③:ツヤを出し、ビシッとクラシカルにまとめたいなら
- おすすめのスタイリング剤:グリース、ポマード
- 特徴:ウェットで、濡れたようなリッチなツヤ感と、高いセット力を両立します。髪を面でまとめ、美しい毛流れを作るのに適しており、サイドを刈り上げた、クラシカルなバーバースタイルとの相性は抜群です。
- 印象④:根元をしっかり立ち上げ、一日中キープしたいなら
- おすすめのスタイリング剤:ハードワックス、クレイワックス、ヘアスプレー
- 特徴:前髪をかきあげたり、トップに高さを出したりと、スタイルを力強くキープしたい場合に選びます。特に、ツヤのないマットな質感のクレイワックスは、軟毛でボリュームが出にくい方の、根元の立ち上げにも効果的です。仕上げに、ハードスプレーを使えば、鉄壁のキープ力が手に入ります。
失敗しない、スタイリング剤の付け方の基本
どんなに良いスタイリング剤を選んでも、付け方を間違えてしまっては、その効果は半減してしまいます。以下の基本を、必ず守りましょう。
- STEP1:ごく少量を、指の第一関節の半分くらいから試す
いきなりたくさん取るのは、失敗の最大の原因です。足りなければ後から足せば良い、という意識で、必ず少量から始めましょう。
- STEP2:手のひらで、完全に透明になるまで、しっかりと伸ばす
スタイリング剤が白い塊のまま髪につくと、ムラの原因になります。手のひら、そして指の間まで、体温で温めるように、完全に透明になるまで、これでもかというくらいしっかりと伸ばしてください。
- STEP3:髪の内側、根元に近い部分からつける
いきなり表面の前髪からつけるのはNGです。まず、髪の内側から手を入れて、髪全体をわしゃわしゃと揉み込むように、根元に近い部分から馴染ませていきます。
- STEP4:最後に、表面と毛先を整える
全体に馴染んだ後、手のひらに残った、ごくわずかなスタイリング剤で、表面の毛流れや、毛先の束感を整えます。この手順を守るだけで、ベタつきを防ぎ、プロのような仕上がりになります。
なぜ、最高のスタイリングは「カット」で決まるのか
さて、ここまでスタイリング剤の選び方と使い方を解説してきましたが、もしかしたら、あなたはこう感じているかもしれません。「同じワックスを使っているのに、なぜかサロンのようには決まらない…」と。
それもそのはずです。
なぜなら、あなたのスタイリングのしやすさ、そして仕上がりのクオリティは、その土台となる「カット」で、実は9割が決まっているからです。
プロの理容師は、あなたが選ぶであろうスタイリング剤のことまでを、全て計算してカットしています。
- オイルやバームが馴染みやすいように、毛先の質感を整える。
- ワックスをつけた時に、自然な束感が生まれるように、毛量を調整する。
- グリースとコームが、スムーズに美しく流れるように、毛流れを創り出す。
- 何もつけなくても、根元がふんわりと立ち上がるように、レイヤーを入れる。
あなたのスタイリングを、もっと簡単に、もっと楽しく、そしてもっとかっこよくするための「仕込み」が、プロのカットには、全て施されているのです。
なぜスタイリング剤の相談はプロ、特に「理容師」にすべきなのか
最高のセンターパートを手に入れるための最短ルートは、新しいスタイリング剤を探す旅に出る前に、まず、最高のカットという土台を手に入れることです。
プロの理容師は、あなたの髪質を、誰よりも正確に理解しています。あなたの髪が、油分が多いのか、乾燥しやすいのか、ハリがあるのか、柔らかいのか。それを完璧に見極めた上で、あなたのためだけに、最適なスタイリング剤を、数ある選択肢の中から選んでくれます。
そして、そのスタイリング剤が最も活きるように、あなたの髪をカットし、デザインします。髪型だけでなく、眉や髭とのトータルバランスまでを考慮して、あなたの「かっこいい」を最大限に引き出してくれる。それこそが、メンズヘアの専門家である理容師に相談する、最大の価値なのです。
まとめ:最高の道具は、最高の土台があってこそ
スタイリング剤は、あなたのヘアスタイルを完成させるための、非常に強力な「道具」です。
しかし、その最高の道具は、プロの手によって創り出された、最高の「土台(カット)」があってこそ、初めてその性能を120%発揮します。
スタイリング剤選びで迷う前に、ぜひ一度、あなたの髪の土台そのものから、メンズヘアの専門家である理容師に相談してみてはいかがでしょうか。