髪型の仕上がりを劇的に変える、整髪料をつける最高のタイミングとは
毎朝、ご自身の髪型を整える際、多くの方が「どのような整髪料を使うか」「どのくらいの量をつけるか」といった点には、気を配られていらっしゃることと存じます。しかし、その整髪料を「いつつけるか」という「タイミング」について、これまで深く意識されたことはございますでしょうか。実は、この整髪料をつけるタイミングこそが、その日の髪型の完成度、そして一日を通しての維持する力を大きく左右する、私たち髪の専門家が最も重要視する要素の一つなのです。この記事では、皆様がお使いの整髪料の能力を最大限に引き出し、理想の髪型を実現するための、最高のタイミングについて、専門家の視点から詳しく解説してまいります。
なぜ、つけるタイミングがそれほど重要なのか
整髪料をつけるタイミングがなぜそれほどまでに重要なのかをご理解いただくためには、まず、髪の毛が持つ基本的な性質について知る必要がございます。髪の毛は、水分を含んでいる時に最も形が変えやすく、そしてドライヤーの熱などで乾く瞬間に、その形が固定されるという性質を持っています。つまり、整髪料は、この「乾く瞬間」に髪のどこに、そしてどのように存在しているかが、最終的な仕上がりを決める上で非常に重要な役割を果たすのです。タイミングを間違えてしまうと、整髪料が髪の表面で滑ってしまってうまく馴染まなかったり、部分的に固まって重くなってしまったり、あるいは本来持つ効果が半減してしまったりする原因となります。
【基本編】多くの整髪料に共通する「ゴールデンタイム」
それでは、最も基本的で、多くの種類の整髪料に応用することができる、整髪の「ゴールデンタイム」とはいつなのでしょうか。それは、お風呂上がりや朝に髪を濡らした後の、タオルで髪の水分をしっかりと拭き取った「半乾き」の状態です。この半乾きの状態が最適な理由は、いくつかございます。まず、髪表面のうろこ状の組織であるキューティクルが適度に開いているため、整髪料に含まれる保湿成分などが髪の内部に浸透しやすくなります。また、髪全体に適度な水分が残っているため、ワックスなどの整髪料であっても、手のひらで伸ばしたものが均一に、そして薄く髪全体に行き渡りやすくなります。そして何よりも、この後のドライヤーで形を作りながら乾かしていくことで、整髪料が髪の形状を記憶するのを力強く助け、セットする力と一日を通しての維持する力を格段に向上させてくれるのです。
【種類別】整髪料ごとの最適なタイミング
基本は「半乾き」の状態が最適ですが、お使いになる整髪料の種類や、目指す髪型の質感によっては、そのタイミングを使い分けることで、より高い効果を得ることができます。
ヘアワックスの場合
基本通り、半乾きの髪につけてからドライヤーで全体の形を作るのが、最も維持する力の高い理想的な使い方です。しかし、乾いた質感を強調したい場合や、毛先にだけ細かな動きをつけたい、といった場合には、「完全に乾かした髪」につけるのが効果的です。タイミングを使い分けることで、質感を自由に操作することができます。
ヘアジェルやヘアグリースの場合
これらの整髪料が持つ、濡れたような艶のある質感を最大限に活かすためには、半乾きの髪、あるいはいつもより少し多めに水分が残っている髪につけるのがおすすめです。乾ききった髪につけてしまうと、水分が足りずに伸びが悪くなり、均一になじませるのが難しくなることがございます。
ヘアオイルやヘアクリームの場合
髪の保湿や質感を向上させることを主な目的とするこれらの製品は、その成分を髪の内部に浸透させるため、半乾きの状態でつけるのが最も効果的です。ドライヤーの熱から髪を守る保護膜としての役割も果たしてくれます。
タイミングを活かす、その後の「一手間」
整髪料を最適なタイミングでつけた後は、必ず「ドライヤーで仕上げる」という一手間を加えてください。ドライヤーの熱を使って髪の形をしっかりと作り、最後に冷風を当てることで、開いていたキューティクルが引き締まり、セットが完全に固定されると共に、髪の表面に美しい艶が生まれやすくなります。
「いつつけるか」を意識するだけで、髪型は変わる
整髪料の効果は、その種類や量だけでなく、「いつつけるか」というタイミングによって、これほどまでに大きく左右されるということを、お分かりいただけたかと存じます。これまで「なんとなく」の感覚でつけていたそのタイミングを、ご自身がお使いの整髪料と、目指す髪型に合わせて意識的に変えてみるだけで、毎日の髪の整髪は、より簡単に、そしてより高い完成度へと導かれるはずです。もし、ご自身の髪質や理想の髪型に合わせた、最も効果的な整髪のタイミングについて、より専門的な助言が必要でしたら、ぜひ一度、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。お客様一人ひとりに合わせた最高の能力を引き出すための、製品選びと使い方を、心を込めてご提案させていただきます。