整髪しながら髪を染める、新しい発想の整髪料の種類と上手な使い方
「週末だけ、少し髪色を変えて気分転換してみたい」「次の白髪染めまでの数日間、生え際の気になる部分だけを自然に隠したい」。日常のふとした瞬間に、そのように思われたことはございませんでしょうか。これまでの常識では、髪を染めるには理容室や美容室で時間をかけて施術を受けるか、ご自宅で手間のかかる毛染めを行うのが当たり前でした。しかし、近年では「整髪料で髪を染める」、すなわち髪を整えながら一時的に着色するという、非常に手軽で新しい発想の選択肢が登場し、多くの方から注目を集めています。この記事では、整髪しながら髪色を変えることができる、新しい発想の整髪料の種類とその魅力、そして上手に使いこなすための注意点について、詳しく解説してまいります。
「染める整髪料」とはどのようなものか
まず、皆様に知っていただきたいのは、ここでいう「染める整髪料」の基本的な仕組みです。これらの製品は、通常の毛染めのように、髪の内部構造を化学的に変化させて色を定着させる(脱色・染色する)のではありません。その多くは、ヘアワックスやヘアジェルのような整髪成分の中に色のついた「顔料」を混ぜ込み、髪の「表面」にその色を付着させるという仕組みになっています。そのため、髪の内部にまで作用することがなく、髪そのものへのダメージがほとんどないという、非常に大きな利点がございます。そして、その日の夜のシャンプーで、普段お使いの整髪料と同じように簡単に洗い流すことができるのです。
主な「染める整髪料」の種類とその特徴
整髪しながら髪に着色できる製品には、いくつかの代表的な種類がございます。
カラーワックス
最も一般的で、色の種類も豊富に展開されているのがこのタイプです。ヘアワックスとしてのセットする力を持ちながら、髪に鮮やかな色をつけることができます。髪全体の色を変えることはもちろん、毛先だけ、あるいはメッシュのように筋状に色を入れるといった、デザイン性の高い使い方に適しています。
カラージェル
ヘアジェルが本来持つ、濡れたような艶のある質感と、高い固定力に、色の要素が加わった製品です。髪全体の色を均一に変えながら、きっちりとした毛流れの髪型を作りたい、といった場合に非常に有効です。
カラースプレー
髪の広範囲に、あるいは髪全体を手早く着色したい場合に便利なのがスプレータイプです。髪の表面を色の粒子で覆うため、元の髪色を隠す力が強く、黒髪の上からでもはっきりと色を表現しやすいのが特徴です。特別なイベントなどで、一日だけ大胆な髪色にしたい、といった場面で活躍します。
上手に使いこなし、失敗しないための注意点
こうした便利な製品を上手に使いこなすためには、いくつかの大切な注意点がございます。まず、整髪料を髪につける際には、一度に多量のせようとせず、ごく少量を指に取り、色をつけたい部分に薄く、そして均一に伸ばしていくのが基本です。つけすぎてしまうと、色の塊ができたり、不自然な仕上がりになったりする原因となります。そして、最も注意していただきたいのが、衣服への付着です。これらの製品は髪の表面に色を乗せている状態ですので、強い摩擦や、多量の汗、あるいは雨などによって、衣服の襟元などに色移りしてしまう可能性がございます。白いシャツを着る日や、雨が予想される日のご使用には、十分な注意が必要です。そして、どれだけ疲れていたとしても、その日の夜には必ずシャンプーで丁寧に洗い流すことを徹底してください。洗い残しは、大切な寝具を汚してしまう原因となります。
髪色を、その日の気分で着替える楽しみ
整髪料で髪を染めるという新しい選択肢は、髪への負担を最小限に抑えながら、休日や特別な日にだけ髪色を変えるといった、これまでにない新しいおしゃれの楽しみ方を、私たちにもたらしてくれます。それは、まるで洋服を着替えるように、その日の気分や服装に合わせて、ご自身の髪色を自由自在に操る、新しい自己表現の道具といえるでしょう。もし、ご自身の髪質や目的に合ったカラー整髪料の選び方や、より自然で格好良く見せるための専門的な使い方についてお知りになりたい場合は、ぜひ一度、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。お客様がなりたいイメージを形にするための、様々な道具と専門的な技術をご用意して、皆様のお越しをお待ちしております。