整髪料「ヘアリキッド」とは?その特徴と紳士的な髪型の作り方
ご自宅の洗面台や、あるいは理容室の棚に、どこか懐かしさを感じさせる瓶に入った、透明な液体が置かれているのを目にされたことはございませんでしょうか。その名は「ヘアリキッド」。ヘアワックスやヘアジェルといった、現代の整髪料の主役たちに比べると、その存在や役割について、あまり詳しくご存知ない、という方も多いかもしれません。「一体何のために使うものなのか」「ヘアトニックとは、何が違うのか」。この記事では、しばしば誤解されがちなヘアリキッドという整髪料の、本当の魅力とその正しい使い方について、髪の専門家である理容師の視点から、詳しく解説してまいります。
「ヘアリキッド」と「ヘアトニック」の、根本的な違い
まず、多くの方が混同されがちな、「ヘアリキッド」と「ヘアトニック」の、根本的な違いについて、はっきりとご説明いたします。この二つは、その目的も、使用する場所も、全く異なる、似て非なる存在です。
ヘアリキッドは、「髪」を整える整髪料
ヘアリキッドは、ヘアワックスやヘアジェルと同じ仲間である、「整髪料」の一種です。その主な役割は、髪の毛そのものにつけて、髪に艶とまとまりを与え、ご自身が望む髪型へと「整える」ことにあります。
ヘアトニックは、「頭皮」を健やかに保つ化粧水
一方で、ヘアトニックは、髪型を作るためのものではございません。その主な役割は、頭皮に直接つけて、潤いを補給したり、血行を促進したり、あるいはフケやかゆみを防いだりといった、頭皮の環境を健やかに保つことにあります。いわば、「頭皮のための化粧水」のような存在なのです。
ヘアリキッドが持つ、独自の魅力と特徴
それでは、整髪料であるヘアリキッドは、他のワックスやジェルとは違う、どのような独自の魅力を持っているのでしょうか。その最大の特徴は、髪をガチガチに固めることなく、あくまで「しなやかに、そして自然に髪をまとめる」という、その非常にソフトなセットする力にあります。製品の主成分である油分と保湿成分が、乾燥してパサつきがちな髪に、品の良い、濡れたような艶を与え、髪一本一本を、扱いやすく、まとまりのある状態へと導いてくれます。それでいて、ワックスなどのように、手がべたつくことが少ない、という使いやすさも、古くから多くの紳士に愛され続けてきた理由の一つです。
ヘアリキッドが最も輝く、最適な髪型
ヘアリキッドが持つ、この「固めすぎずに、艶やかにまとめる」という特性は、特に、きっちりとした清潔感が求められる、紳士的な髪型において、その真価を最も発揮します。例えば、櫛を使って、七三に分け目をきれいに引くような髪型や、前髪をすっきりと後ろに流す、オールバックのような髪型。あるいは、サイドの髪を、ボリュームを抑えてタイトに流すような、クラシックな髪型です。これらの、髪の「毛流れ」そのものの美しさを、主役とする髪型を作る上で、ヘアリキッドは、まさに最高の相棒となってくれることでしょう。
ヘアリキッドの、基本的な使い方
ヘアリキッドの使い方は、非常に簡潔です。まず、適量を手のひらに取ります。そして、乾いた髪、あるいは少し湿らせた髪の、根元から毛先にかけて、髪全体に均一になじませていきます。髪全体にヘアリキッドが行き渡ったら、あとは、お手持ちの櫛やブラシを使い、ご自身が作りたい毛流れの方向に向かって、髪をとかしつけ、全体の形を整えれば、完成です。一日の中で、もし少し髪型が乱れてしまった場合でも、少量の水をつけて、再び櫛でとかすだけで、簡単に元の髪型に戻すことができます。
知的な艶を、あなたの髪型に
ヘアリキッドは、髪に、他の整髪料にはない、落ち着いた、そして知的な艶を与えてくれる、非常に魅力的な整髪料です。それは、流行を追いかけるだけの若々しさとは一線を画した、大人の男性だけが持つことのできる、揺るぎない品格や、信頼感を演出するための、強力な武器となり得ます。もし、ご自身の髪型に、そのような新しい表情を加えてみたいとお考えでしたら、ぜひ一度、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。あなたの魅力を最大限に引き出すための、最適な一本を、ご提案させていただきます。