整髪料ムースの正しい使い方、パーマやくせ毛を美しく見せるプロの技術
ヘアワックスやヘアジェルと並び、古くから多くの人々に親しまれてきた、泡状の整髪料である「ムース」、あるいは「フォーム」。皆様の中には、「昔使ったことがあるけれど、なんだか髪がべたついた記憶がある」「パーマをかけた時に理容師さんから勧められたけれど、うまく使いこなせなかった」といった、ちょっぴり苦手な印象をお持ちの方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。しかし、ムースという整髪料は、その製品が持つ特性を正しく理解し、適切な手順でお使いいただくことで、特にパーマをかけた髪や、ご自身のくせ毛が持つ本来の美しさを、他のどの整髪料よりも劇的に、そして美しく引き出してくれる、非常に優れた道具なのです。この記事では、ムースという整髪料の価値を見直し、その真価を100パーセント引き出すための、専門的な使い方について、その基本から詳しく解説してまいります。
ムースという整髪料が持つ、独自の役割
まず、ムースが得意とすること、その独自の役割についてご説明いたします。ムースの最大の特徴は、皆様もご存知の通り、きめ細かな「泡」という、そのユニークな形状にございます。この泡という形状が、製品に含まれる水分と整髪成分を、髪の一本一本に、むらなく均一に行き渡らせることを、非常に容易にしてくれるのです。その主な役割は、乾燥して時間の経過と共に伸びてしまったパーマのウェーブや、朝の寝癖でまとまらないくせ毛のうねりに対して、効果的に水分を補給し、「髪が濡れている時のような、最も美しいカールの状態」を再現し、そしてそれを一日を通して維持することにあるのです。
使い方、手順1、整髪を始める前の「準備」
ムースが持つ能力を最大限に引き出すための、最も重要な絶対条件、それは、お使いになる前の髪が、適度に湿っているということです。もし、乾いた髪にお使いになる場合は、まず霧吹きなどを使って、髪全体、特にご自身がウェーブをはっきりと出したい部分を中心に、髪がしっとりとするまで湿らせることから始めてください。お風呂上がりの、タオルで優しく水分を拭き取った後の、いわゆる「半乾き」の状態が、最も理想的なタイミングといえるでしょう。そして、ご使用の前には、必ず容器を上下によく振ってください。これにより、中の液体とガスが適切に混ざり合い、質の良い、きめ細かな泡が出てまいります。
使い方、手順2、適量と、髪への「なじませ方」
準備が整ったら、いよいよムースを髪につけていきます。髪の長さにもよりますが、まずはゴルフボール一個分くらいの大きさを目安として、手のひらに出します。もし足りないと感じた場合に、後から少しずつ足していく、という考え方が、つけすぎを防ぐための大切なこつです。そして、手のひらに出した泡を、両手ですり潰すように広げるのではなく、ご自身の指先で、泡をすくい取るようにして、髪につけていくのが、プロが実践するやり方です。髪の中間から毛先を中心に、髪を下から上へと優しく持ち上げるように、そして、髪をくしゃっと柔らかく握るように、「揉みこむ」ようになじませていってください。この「揉みこむ」という動作こそが、眠ってしまっているウェーブやカールを、再び美しく呼び覚ますための、最も重要な鍵となります。
使い方、手順3、理想の質感を決める「乾かし方」
ムースを髪全体になじませ終えたら、最後の仕上げの工程、乾かし方です。もし、時間に余裕があり、最もカールが美しい、柔らかな質感を保ちたいのであれば、そのまま「自然乾燥」させるのが、一番のおすすめです。もし、お急ぎの場合や、髪の根元に、よりふんわりとしたボリューム感が欲しい場合には、「ドライヤー」をお使いください。ただし、その際には、ドライヤーの強い風で、せっかく再現したウェーブを散らしてしまわないよう、注意が必要です。ドライヤーの風量を「弱風」に設定し、髪を揉みこんだ時と同じように、髪を下から持ち上げながら、根元を中心に優しく乾かしていただくと、ふんわりとした、理想的な仕上がりになります。
ムースを使いこなし、髪の個性を最大限に
整髪料のムースは、その使い方の手順と、いくつかの大切なこつを正しくご理解いただくことで、これまでご自身では扱いにくいと思っていたパーマヘアやくせ毛を、あなただけの、他の誰にも真似できない魅力的な個性として、美しく輝かせてくれる、非常に頼もしいパートナーです。眠っていたご自身の髪の動きを呼び覚まし、毎日をより生き生きとした髪型で過ごす喜びを、ぜひ一度、ご体験ください。