前髪を上げて印象を変える、崩れない上げ前髪の作り方と整髪料の選び方
髪型の中で、最もその人の印象を雄弁に物語るパーツ、それが「前髪」です。そして、その前髪を、潔く、そして爽やかに「上げる」という、ただそれだけの行為が、あなたの表情を驚くほど明るく見せ、その人自身の印象を、自信に満ちた、非常に魅力的なものへと変えてくれるのです。ビジネスの場面で求められる信頼感、あるいは休日の活動的な場面での爽やかさ。前髪を上げた髪型は、多くの男性にとって、いつの時代も変わることのない、一つの憧れの髪型といえるでしょう。しかし、「自分なりに挑戦してみても、時間が経つとすぐに前髪が落ちてきてしまう」「どうすれば、一日中この状態を維持できるのか分からない」といった、根深いお悩みを抱える方も、また非常に多くいらっしゃいます。この記事では、どなたでもご自宅で、一日中崩れることのない、完璧な「上げ前髪」を実現するための、専門的な整髪料の選び方と、その具体的な整髪の手順について、詳しく解説してまいります。
なぜ、「前髪を上げる」だけで印象が劇的に変わるのか
そもそも、なぜ前髪を上げるだけで、人の印象はこれほどまでに劇的に変わるのでしょうか。それは、おでこや眉といった、その人の表情を司る大切な部分がはっきりと見えるようになることで、顔全体に光が当たり、その人の表情が、格段に明るく、そして快活に見えるようになるからです。また、顔に髪がかかっていない、すっきりとした状態は、非常に清潔な印象を与えます。同時に、知性的で、誠実な人柄を演出する効果も期待できるため、ビジネスやフォーマルな場面において、絶大な効果を発揮するのです。
前髪を上げるための、整髪料選びの考え方
前髪を、重力に逆らって一日中上げ続けるためには、その目的に特化した整髪料を選ぶことが不可欠です。そこで求められるのは、「根元を力強く支える、高いセットする力」と、整髪料そのものの「重さで髪が潰れてしまわない、軽やかな質感」という、二つの要素の両立です。この条件を満たすものとして、まず最も基本的な選択肢となるのが、「ハードタイプのヘアワックス」、特に艶が出すぎないマットな質感のものです。強いセットする力を持ちながらも、比較的軽い質感で、ふんわりとした自然な立ち上がりを作るのに最適です。あるいは、よりきっちりとした、艶のあるクラシックな髪型を目指すのであれば、「ヘアジェル」も有効な選択肢となります。
整髪料の前に勝負は決まる、ドライヤーによる「根元の立ち上げ方」
ここで、皆様にぜひ知っていただきたい、最も重要なこつがございます。それは、前髪がすぐに落ちてきてしまう最大の原因は、髪の根元についている「下向きの生え癖」に、打ち勝てていないことにある、ということです。整髪料の力だけで無理に上げようとしても、この土台ができていなければ、必ず失敗してしまいます。まず、朝、髪を濡らした後の、髪を乾かす段階で、ドライヤーの風を前から当て、ご自身の指で前髪を後ろ方向へとかき上げるようにしながら、その根元を徹底的に乾かしてください。そして、根元が立ち上がった状態で、温風を数秒間当て、その後、ドライヤーを離して熱が冷めるまで、その立ち上げた形を手で保ちます。この「温めて、形を作り、そして冷ます」という作業を丁寧に繰り返すことで、髪の根元に、強力な「上向きの癖」を記憶させることができるのです。
整髪料を使った、崩れない「仕上げ」の技術
ドライヤーで完璧な土台を作り終えたら、いよいよ整髪料を使って、その形を完成させ、維持していきます。ごく少量のワックスなどを指先に薄く伸ばし、髪を下から上へと持ち上げるように、髪の内側から毛先に向かって優しくなじませます。この時、根元にべったりとつけすぎず、ドライヤーで作った立ち上がりを、外側から支えてあげるような意識を持つことが大切です。そして、髪型が完成したら、最後の仕上げとして、ハードタイプのヘアスプレーを用意します。前髪を少し持ち上げ、その内側にある「根元」に向かって、髪から少し離した位置から「シュッ」と短く吹きかけます。これにより、目には見えない強力な支柱が作られ、前髪の立ち上がりは、格段に維持しやすくなるのです。
前髪を上げて、新しい自分と出会う
一日中、決して崩れることのない、美しい「上げ前髪」。それは、ドライヤーによる丁寧な根元の立ち上げという「土台作り」と、それを力強く支えるための適切な整髪料選び、そして的確な使い方という、三つの大切な要素が揃って初めて完成する、高度な技術の結晶です。これまで、ご自身の前髪がうまく上がらずに悩んでいらっしゃった方も、この手順を一つひとつ丁寧に行うことで、ご自身の印象を劇的に変えることができるはずです。もし、ご自身の髪質や生え癖に合わせた、最適な前髪の上げ方について、より専門的な助言が必要でしたら、どうぞお気軽に、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。