ヘッドホンを外しても格好良く、髪型の崩れを防ぐ整髪料の選び方と直し方
毎日の通勤や通学で音楽を楽しんだり、あるいはオンラインでの会議や趣味のゲームに没頭したりと、現代の私たちの生活において、ヘッドホンはもはや欠かすことのできない大切な道具の一つとなりました。しかしその一方で、長時間ヘッドホンを使用した後にふと鏡に映る、ヘッドバンドの跡がくっきりとついた、ぺしゃんこの髪型に、思わずため息をついてしまったというご経験はございませんでしょうか。「どうせ髪が潰れてしまうから」と、朝の整髪を諦めてしまっている方も、もしかしたら多くいらっしゃるかもしれません。ですが、ご安心ください。整髪料の選び方と、ほんの少しの専門的な使い方を身につけるだけで、そのお悩みは大きく軽減され、ヘッドホンを外した後も、自信の持てる髪型を保つことは十分に可能なのです。
ヘッドホン着用時の整髪料選び、三つの重要な条件
ヘッドホンを日常的にご使用になる方が整髪料を選ぶ際には、普段とは少し違う、いくつかの特別な視点を持つことが、一日を快適に過ごすための鍵となります。
潰れても復活できる「高い再整髪力」
まず、最も重要なのがこの「再整髪力」です。ヘッドホンをかぶる以上、ヘッドバンドでトップの髪が、そしてイヤーパッドでサイドの髪が、物理的に押さえつけられてしまうことは避けることができません。そのため、ヘアジェルのようにガチガチに固めてしまう製品ではなく、ヘッドホンを外した後に、ご自身の手ぐしなどで簡単に元の髪型に近いボリューム感や毛流れを再現できる、高い柔軟性を持った整髪料を選ぶことが、絶対の条件となります。
蒸れやべたつきを防ぐ「軽い質感」
特に耳を覆うイヤーパッドの周辺は、ご自身の体温や汗によって、非常に蒸れやすい環境になります。油分の多い重たい質感の整髪料は、この蒸れと混ざり合うことで、不快なべたつきの原因となってしまいます。さらりとした軽い質感のものや、油分の少ない整髪料を選ぶことが、長時間の使用でも快適さを保つための秘訣です。
ヘッドホンの日に最適な整髪料の種類
上記の条件を踏まえますと、ヘッドホンをお使いになる日に特に推奨されるのが、「軽い質感のヘアワックス」、中でも油分が少なく乾いた質感に仕上がる「マットタイプ」や「クレイタイプ」のものです。これらのワックスは、優れた再整髪力を持ち、手ぐしで簡単にふんわりとした質感や動きを復活させることができる上に、べたつかず、大切なヘッドホンを汚しにくいという利点もございます。一方で、一度固まると手直しが一切効かない「ハードジェル」や、油分が多くべたつきの主な原因となる「油性のグリース」などは、ヘッドホンを頻繁につけ外しする日には、あまり向いていない選択肢といえるでしょう。
崩れを最小限に抑える、ヘッドホンをつける前の「整髪術」
ヘッドホンによる髪型の崩れを、少しでも最小限に抑えるためには、髪を整える段階での、事前の「仕込み」が非常に重要になります。髪型の復元力は、実は整髪料そのものよりも、その前段階であるドライヤーの使い方で大きく変わってきます。髪を乾かす際に、トップの根元をしっかりと立ち上げ、サイドは抑える、という基本のシルエットを、ドライヤーの熱を使って髪そのものに記憶させておくこと。この丁寧な土台作りが、ヘッドホンを脱いだ後の髪型の復元力を、格段に向上させてくれるのです。そして、整髪料は、普段よりも気持ち少なめの量を、毛先中心につけるのが基本です。特に、ヘッドバンドが直接当たる頭頂部の中心線や、イヤーパッドが触れるもみあげ部分などには、整髪料をつけすぎない、という意識も大切です。
ヘッドホンを外した後の、わずか30秒の「復活術」
そして、いよいよヘッドホンを外した後の、髪型を復活させるための簡単な手順です。まず、ヘッドホンを外したら、すぐに、ぺたんこになってしまったトップの髪の根元にご自身の指を入れ、頭皮を優しくこするように左右に振り、潰れてしまった髪の根元を丁寧にほぐし、空気を入れてあげてください。次に、両手で髪全体をくしゃっと優しく握るようにして、全体のボリューム感を再現します。最後に、指先に残っているであろう、わずかな整髪料の感触を活かしながら、毛束をつまんだり、毛流れを整えたりして、細部のシルエットを調整すれば、完了です。
髪型を気にせず、好きな音楽や仕事に集中する
ヘッドホンによる髪型の崩れは、適切な整髪料を選び、つける前と外した後の、ほんの少しの工夫を日々の習慣にすることで、もはや悩みの種ではなくなります。ご自身の身だしなみに対する心配から解放されることで、皆様は、好きな音楽や大切な会話、そして集中すべきお仕事に、もっと深く打ち込めるようになるはずです。もし、ご自身の髪質やライフスタイルに本当に合った、ヘッドホンとの付き合い方を最適化する整髪料や専門的な技術について、より詳しい助言が必要でしたら、どうぞお気軽に、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。