ヘアオイルという選択肢、髪の質感を整える新しい整髪の発想
「整髪料」と聞くと、多くの方が、髪に動きをつけたり、形を固めたりする、ヘアワックスやヘアジェルのような製品を、まず最初に思い浮かべるかもしれません。しかし、現代の男性のおしゃれにおいて、作り込まれた「髪型」と同じくらい、あるいはそれ以上に、その人自身の印象を大きく左右するのが、髪そのものが持つ「質感」です。潤いに満ち、自然で上品な艶をたたえ、風にしなやかになびく、指通りの良い髪。そんな、誰もが憧れる理想の質感を、日々の整髪の中で実現してくれるのが、「ヘアオイル」という新しい選択肢なのです。この記事では、ヘアオイルを単なる髪のお手入れ品としてだけでなく、髪の質感を美しくデザインするための「整髪料」として捉え直し、その深い魅力と正しい使い方について、専門家の視点から詳しく解説してまいります。
ヘアオイルがもたらす、他の整髪料にはない価値
ヘアオイルを日々の整髪に取り入れることには、他の整髪料では得ることが難しい、いくつかのユニークな価値がございます。
最高の「素髪感」を演出
ヘアオイルは、髪を固めることなく、べたつきも最小限に抑えながら、まるで髪が元々美しいかのような、非常に自然で上質な「素髪感」を演出することを得意とします。頑張りすぎていない、大人の余裕を感じさせる髪型に最適です。
パサつきと広がりを、根本から抑える
髪の表面を、良質で滑らかな油分の膜で覆うことで、髪の内部の水分が逃げてしまうのを防ぎ、同時に空気中の余計な湿気が髪の内部に侵入するのを防いでくれます。これにより、乾燥や湿気が原因で起こる髪の広がりを根本から抑え、一日を通してまとまりのある、落ち着いた髪を維持することができます。
整髪する時間が、髪をいたわる時間に
多くのヘアオイルには、髪に栄養を与えたり、ダメージを補修したりする成分が豊富に含まれています。そのため、毎朝、ご自身の髪を整える時間が、同時に、日中の紫外線や乾燥といった外部の刺激から髪を守り、補修するための、貴重な「ヘアケアの時間」へと変わるのです。
あなたの髪型に合う、ヘアオイルの選び方
一言にヘアオイルといっても、その性質は様々です。ご自身の髪質や、なりたい仕上がりに合わせて、最適な一本を選ぶことが大切です。例えば、髪が細く柔らかい髪質の方は、つけ心地が重くなりすぎないよう、さらっとした質感の「軽い」タイプのオイルを選ぶのがおすすめです。逆に、髪が太く、量も多くて広がりやすいという方は、髪全体をしっかりとまとめてくれる、少し重めの「しっとり」としたタイプのオイルが適しています。
上質な質感を最大限に引き出す、正しい使い方
ヘアオイルが持つ能力を、最大限に引き出すためには、その使い方が非常に重要になります。まず、整髪料としてお使いになる最適なタイミングは、お風呂上がりのタオルで乾かした後の、髪がまだ少し湿り気を持っている状態です。この時に使うことで、水分と油分が良くなじみ、その後のドライヤーの熱から髪を守る、保護膜としての役割も果たしてくれます。そして、ヘアオイルで最も多い失敗が「つけすぎ」です。まずは1円玉大ほどの量を手のひらに取り、指の間まで含めて、透明になるまで薄く均一に伸ばしてください。そして、髪の根元や頭皮につけると、べたつきやボリュームがなくなる原因となりますので、最も乾燥しやすい「毛先」を中心に、髪の内側から手ぐしを通すようにして、全体になじませていくのが基本です。
髪型だけでなく、「髪質」からデザインする
ヘアオイルを整髪料として日常的に使うことは、単に髪をまとめるという行為だけでなく、ご自身の髪の「質感」そのものを、より理想的な状態へと、日々デザインしていくという、新しい発想の整髪術です。それは、作り込むおしゃれから一歩進んだ、髪という素材そのものの美しさを大切にする、大人の男性のための、非常に洗練された選択肢といえるでしょう。もし、ご自身の髪質や理想の髪型に本当に合ったヘアオイルの選び方や、他の整髪料との効果的な組み合わせ方など、より専門的な助言が必要でしたら、どうぞお気軽に、私たち髪の専門家である理容師にご相談ください。お客様一人ひとりの髪質を拝見し、最高の質感を叶えるための、最高の一本をご提案させていただきます。