もう迷わない、自分史上最高の髪型と出会うための整髪料の選び方
整髪料は、男性がご自身の理想とする髪型を実現するための、最も身近で重要な道具の一つです。しかし、いざ新しいものを探そうと売り場に立つと、そこには数えきれないほどの種類の製品が並んでおり、一体どれを選べば良いのか分からなくなってしまった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。結果として、いつもと同じ無難なものを選んでしまったり、期待して購入したものの、ご自身の髪には合わなかったりすることも少なくありません。この記事では、整髪料選びで失敗しないための基本的な考え方と、ご自身に本当に合った一品を見つけ出すための具体的な視点について、順を追って詳しく解説いたします。
選び方の第一歩は「なりたい髪型」を定めること
整髪料選びを始めるにあたって、まず最初に行うべき最も大切なことは、「どのような髪型になりたいか」という完成形を、ご自身の中で具体的に定めることです。整髪料は、あくまで理想の髪型を作るための「手段」です。目的が曖昧なままでは、最適な手段を選ぶことはできません。例えば、目指すのが「風に揺れるような、自然な毛流れの軽やかな髪型」なのか、それとも「艶やかで、きっちりとまとまった品格のある髪型」なのかによって、選ぶべき整髪料の種類は全く異なってきます。まずは、ご自身がどのような印象に見られたいのか、どのような髪型に魅力を感じるのかをじっくりと考えてみましょう。
ご自身の「髪質」を理解するという視点
なりたい髪型の方向性が定まったら、次に考えるべきは、ご自身の「髪質」との相性です。人によって髪の硬さや太さ、癖の有無は様々であり、その特性に合った整髪料を選ばなければ、思い通りの髪型を作ることは難しくなります。例えば、髪が細く柔らかい方が、油分の多い重たい整髪料を使ってしまうと、髪が重みに耐えきれずに潰れてしまい、かえって寂しい印象になってしまうことがあります。このような髪質の方には、軽い質感でふんわりと仕上げられる整髪料が適しています。逆に、髪が硬くしっかりとしている方は、セットする力が穏やかな整髪料では、時間が経つにつれて髪が元の状態に戻ろうとしてしまいます。そのため、固定力の高いものを選ぶ必要があります。
「髪の長さ」に合わせた整髪料選び
現在の髪の長さも、整髪料を選ぶ上で非常に重要な要素となります。短い髪の場合、毛先に細かな動きをつけたり、根元からしっかりと髪を立ち上げたりといった、細かな調整が求められることが多いため、セットする力の強いワックスやジェルなどが扱いやすいでしょう。一方で、中くらいから長い髪の場合は、髪全体の大きな流れやまとまりを重視することが多くなります。そのため、セットする力は比較的穏やかで、髪全体に均一になじませやすいクリームやミルクタイプの整髪料が適しているといえます。長い髪に固定力の高すぎる整髪料を多量につけてしまうと、不自然に固まってしまい、せっかくの長さが活かせなくなる場合があるため注意が必要です。
求める「質感」で選ぶという考え方
最後に考慮したいのが、仕上がりの「質感」、すなわち艶の有無です。同じ髪型であっても、艶があるかないかによって、周囲に与える印象は大きく変わります。ジェルやグリースのように、濡れたような艶の出る整髪料は、清潔感や誠実さ、あるいは大人の色気といった印象を演出したい場合に効果的です。ビジネスの場面や、少し改まった服装をする際にも非常に良く合います。それに対して、クレイタイプやマットタイプのワックスのように、艶を抑えた自然な仕上がりになる整髪料は、作り込みすぎていない柔らかな雰囲気や、カジュアルでおしゃれな印象を与えたい場合に適しています。
最良の選択は、専門家と共に
ここまで、「なりたい髪型」「髪質」「髪の長さ」「質感」という、四つの視点から整髪料の選び方について解説してまいりました。これらの基準に沿って考えていくことで、ご自身に合った整髪料選びの成功率は格段に高まるはずです。しかし、これらの要素をすべてご自身で正確に判断し、無数の製品の中から完璧な一品を見つけ出すのは、決して簡単なことではありません。そこで、最も確実で賢明な方法が、ご自身の髪を最も深く理解している専門家、すなわち、いつも髪を任せている理容師に相談することです。私たち理容師は、お客様一人ひとりの髪の状態とご要望を的確に把握し、プロの視点から最適な整髪料を提案するだけでなく、その効果を最大限に引き出す使い方まで、責任を持ってお伝えいたします。整髪料選びは、理想の自分に出会うための大切なプロセスです。どうぞお気軽に、ご相談ください。