整髪料とブラッシングの適切な関係とは?髪を健やかに保つための知識
毎日の整髪に用いる「整髪料」と、髪のお手入れに欠かせない「ブラシ」。これらはどちらも、皆様の身だしなみにとって大切な道具かと存じます。しかし、この二つをどのようなタイミングで、どのように組み合わせるのが髪にとって最も良いのか、深くお考えになったことはありますでしょうか。整髪料をつけた後のブラッシングは、髪型を崩してしまうため避けるべき、という印象が強いかもしれませんが、実は場面によって、ブラッシングは髪と頭皮の健康を保つために非常に重要な役割を果たします。ここでは、整髪料とブラッシングの正しい関係について、タイミングごとにご説明いたします。
整髪料をつける前の、土台を整えるブラッシング
まずご紹介したいのが、整髪料をお使いになる前の、乾いた髪へのブラッシングです。朝、髪を整え始める前に、まず一度ブラシで髪全体を優しくとかしてみてください。このひと手間には、いくつかの大切な効果がございます。一つ目は、睡眠中に絡まってしまった髪の毛を、無理な力を加えることなく解きほぐすことです。二つ目は、髪の表面に付着した埃や、古い角質などを取り除くことです。このように、あらかじめ髪の絡まりや汚れを取り除いて表面を整えておくことで、その後の整髪料が均一になじみやすくなり、結果として日中の髪型の仕上がりが格段に向上するのです。
整髪料をつけた後のブラッシングは原則として避ける
次に、多くの方が疑問に思われるであろう、整髪料をつけた後のブラッシングについてです。これに関しましては、原則として避けていただくのが賢明です。ワックスなどを使って作り上げた毛束感や動き、あるいはジェルで固定した髪型は、ブラシを通すことでその繊細な仕上がりが崩れてしまいます。特に、ジェルやヘアスプレーで固めた髪を無理にブラシでとかそうといたしますと、整髪料の樹脂成分が白い粉状になって剥がれ落ちてしまうことがございます。ただし、グリースなどを使って櫛でとかしつけるような、毛流れを重視した髪型の場合は、目の粗い櫛(コーム)を使って形を整える、といった例外もございます。
最も重要な「洗髪前」のブラッシング
整髪料とブラッシングの関係において、私ども専門家が最も重要だと考え、ぜひ皆様にも習慣にしていただきたいのが、「洗髪前」、つまりシャンプーをする前のブラッシングです。一日の終わりに、髪が乾いた状態でブラッシングを行うことには、髪と頭皮の健康にとって多くの利点がございます。髪に付着した整髪料や、日中についた埃や汚れを、シャンプーの前に物理的にある程度取り除くことができます。これにより、その後のシャンプーの泡立ちが格段に良くなり、洗浄成分が髪の隅々や頭皮にまでしっかりと届くようになります。結果として、整髪料の洗い残しを防ぎ、頭皮をより健やかな状態に保つことに繋がるのです。ただし、ジェルなどで髪が固まっている場合は、無理にとかさず、まずはお湯で十分にすすいでから、優しくブラッシングを行ってください。
髪と頭皮をいたわる道具選び
この非常に効果的な洗髪前のブラッシングですが、お使いになるブラシによっては、静電気を起こしてしまったり、先端が頭皮を傷つけてしまったりする可能性もございます。頭皮への当たりが優しいクッションブラシや、髪に静電気が起きにくい天然素材でできたブラシなど、ご自身の髪質や頭皮の状態に合わせた道具をお選びになることも、大切な髪のお手入れの一部です。また、ブラッシングの後にお使いになるシャンプーやトリートメントが、髪と頭皮の健康を左右することは言うまでもございません。
ブラッシングを味方につけ、健康な髪へ
整髪料とブラッシングの適切な関係とは、「つける前」と「落とす前」に、それぞれ目的を持ったブラッシングをひと手間加えることにあります。特に、これまであまり馴染みがなかったかもしれない「洗髪前のブラッシング」を新しい習慣として取り入れていただくことで、皆様の日々のお手入れの質は大きく向上するはずです。ブラシの選び方や、ご自身の髪質に合ったお手入れの方法など、何かご不明な点がございましたら、いつでもお気軽に、私ども専門家にご相談くださいませ。