理容店のセットで、毎日の格好いいを創る|プロが教える、スタイリングの本当の基本
理容店で散髪を終えた直後、鏡に映る完璧にセットされた自分の姿に、心が躍るような気持ちになったことはございませんか。しかし、翌朝ご自身でスタイリングを試みると、なぜかサロンでの仕上がりとは違う、思い通りの形にならない。そんな経験をお持ちの方は少なくないかもしれません。プロの理容師が行う「セット(スタイリング)」は、単に整髪料をつける作業ではなく、髪の性質を深く理解した上での、緻密な技術の結晶なのです。この記事では、理容店のセットの秘密と、お客様ご自身が「毎日の格好いい」を創り出すための、本当の基本について解説してまいります。
「セットだけ」のご利用も、もちろん歓迎です
まずはじめに、結婚式や大切な商談、特別なデートといった、ここ一番の場面において、「ヘアカットはせずに、スタイリングだけをお願いしたい」というご要望も、私たちは心から歓迎いたします。プロの手による完璧なセットは、あなたの魅力を最大限に引き出し、その日一日に自信を与えてくれるはずです。TPOに合わせた最適なスタイルをご提案いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
完璧なセットは「完璧なカット」から始まる
プロのスタイリングがなぜ美しく決まるのか。その最大の秘密は、実はセットそのものではなく、その「土台」となるヘアカットにあります。誠実な理容師は、お客様がご自宅でスタイリングしやすいように、髪の生え癖や流れ、骨格を計算し尽くしてカットを施します。つまり、何もしなくてもある程度形がまとまるように、カットの段階で8割方の仕事を終えているのです。この完璧な土台があるからこそ、最小限のスタイリングで、最大限の効果を発揮することができるのです。
プロが最も重視する「ドライヤー」の使い方
多くの方が、スタイリングはワックスやポマードといった整髪料が主役だとお考えかもしれませんが、私たちプロが最も重要視しているのは、その前の「ドライヤーでの乾かし方」です。髪は、濡れた状態から乾く瞬間に形が決まります。例えば、トップにボリュームを出したい場合は、髪の根元を少し持ち上げ、毛流れとは逆の方向からドライヤーの風を当てて乾かす。サイドの膨らみを押さえたい場合は、上から下に向かって風を当てながら、手のひらで軽く押さえるように乾かす。このドライヤーの工程を丁寧に行うだけで、スタイリングの完成度と持続性は劇的に向上します。
スタイリング剤は「目的」で選ぶ
ドライヤーで髪の土台を整えたら、次はいよいよスタイリング剤の出番です。ワックス、ポマード、ジェル、グリースなど、様々な種類がありますが、大切なのは「どのような質感に仕上げたいか」という目的意識で選ぶことです。
- ワックス:無造作な動きや束感を出すのに適しています。
- ポマードやグリース:艶やかで、きっちりとまとまりのあるクラシックなスタイルに最適です。
- ジェル:ウェットな質感と、強力な固定力が特長です。
誠実な理容師は、お客様の髪質と、その日創り上げたヘアスタイルに最も適したスタイリング剤を的確に選び出し、その付け方まで丁寧にお教えいたします。
スタイリングを学べば、もっと髪型は楽しくなる
理容店での時間は、お客様にとって、ご自身の髪を扱うプロの技術を間近で見ることができる、絶好の学びの場でもあります。私たちは、カットやシェービングの技術をご提供するだけでなく、お客様がご自身の力で毎日を格好良く過ごすための「スタイリングのコーチ」でありたいと願っています。セットに関するどんな些細な疑問でも、どうぞお気軽にご質問ください。スタイリングが上手くなれば、ヘアスタイルはもっと自由で、楽しいものになるはずです。