理容院で学ぶ、本物の「ワックス」術。あなたの髪を、一日中最高に保つプロの技
メンズのヘアスタイリングにおいて、最も身近で、そして最も多くの男性の洗面台に置かれているであろうアイテム。それは、間違いなく「ヘアワックス」でしょう。髪に動きを与え、束感を創り出し、そして創り上げたスタイルを一日中維持してくれる、まさに現代の男性にとって不可欠なパートナーです。
しかし、その一方で、「世の中にたくさん種類がありすぎて、どれを選べば良いのか分からない」「頑張って付けてみても、ベタつくだけで、上手くスタイリングできない」。そんな、”ワックス迷子”になってしまっている方も、実は少なくないのではないでしょうか。
その長く続いた迷いを終わらせ、ワックスという最高のツールを真に使いこなし、ご自身の魅力を最大限に引き出すための、最も確実な答え。それこそが、私たちプロの理容師がいる「理容院」にございます。
あなたが使うべきワックスは、なぜプロに聞くべきなのか
ご自身の判断でワックスを選ぶ前に、ぜひ一度、あなたの髪を最も深く知る専門家にご相談ください。そこには、計り知れないほどのメリットがございます。
髪質という「素材」を、誰よりも理解しているから
私たち理容師は、お客様の髪をカットさせていただく中で、その髪が持つ、硬さ、太さ、量、そしてくせの有無といった、あらゆる個性、いわば「素材」としての特性を、誰よりも正確に、そして深く把握しています。髪が硬く、動きが出にくい方には、少し柔らかめで伸びの良いワックスを。髪が細く、すぐにぺたんとしてしまう方には、セット力が高く、軽い質感のワックスを。そのように、あなたの髪質という素材に完璧にマッチしたワックスを、数ある選択肢の中から論理的に選び出すことができる、唯一の存在なのです。
カットデザインの「意図」を、完璧に再現するために
プロが施すカットには、必ず「デザインの意図」がございます。この部分に毛束の動きを出したい、トップにはふんわりとしたボリュームを持たせたい、といった、カットによって仕込まれたデザイン。その意図を、ご自宅で完璧に再現するために、どのワックスが最適であるかを、スタイルを創り上げた理容師本人が、一番よく理解しているのは、至極当然のことと言えるでしょう。
ワックス選びの羅針盤。「セット力」と「ツヤ感」という二つの軸
無数にあるように見えるワックスも、実は、非常にシンプルな二つの軸で整理することができます。それは、「セット力の強弱」と「仕上がりの質感(ツヤ感)」です。セット力が強いものは「ハードタイプ」、弱いものは「ソフトタイプ」。そして、仕上がりが乾いたような質感のものは「マットタイプ」、濡れたような光沢が出るものは「ツヤ(グロス)タイプ」と呼ばれます。ご自身のなりたいスタイルが、この四象限のどこに位置するのかを考えることが、ワックス選びの素晴らしい羅針盤となります。
プロはこう使う。ワックス能力を120%引き出す、正しい付け方
どんなに優れたワックスも、その付け方を間違えてしまえば、能力を十分に発揮することはできません。誠実な理容師は、仕上げの際に、その極意を丁寧にお伝えいたします。
ステップ1:「少量」を、指の先まで完璧に伸ばす
多くの失敗の原因は、「付けすぎ」と「均一に伸びていない」ことにあります。まずはパール一粒ほどの本当に少量を手に取り、手のひらだけでなく、指の間、そして指の先まで、ワックスが透明になるまで完璧に、そして均等に伸ばすこと。これが、全ての基本となる、最も重要な工程です。
ステップ2:根元から、空気を含ませるように
ワックスを、髪の表面だけになで付けるのは、最もやってはいけない使い方です。髪の内側、根元に近い部分から手ぐしを通すように、髪全体を持ち上げながら空気を含ませるように、まんべんなく馴染ませていきます。
ステップ3:「つまむ」「ねじる」で、毛束を創る
全体にワックスが馴染んだら、最後に、指先に残ったごくわずかなワックスを使い、前髪やトップの毛先を優しくつまんだり、軽くねじったりして、束感や動きといった、スタイルのディテールを創り上げてフィニッシュです。
ヘアワックスは、正しく選び、そして正しく使うことで、あなたのヘアスタイルを何倍にも格好良く見せてくれる、最強のパートナーです。誠実な理容師は、カットのプロであると同時に、スタイリングのプロでもあります。ぜひ、あなたの毎日を最高に輝かせるための「ワックス術」を、私たちに尋ねに来てください。