理髪店で使うヘアスプレーの役割とは?プロが教える上手な使い方と選び方
理髪店でヘアスタイルを仕上げてもらった後、鏡に映る完璧なシルエット。その美しい仕上がりを、風や湿気から守り、一日中キープしてくれるのが、スタイリングの最後に使われる「ヘアスプレー」です。多くの方が何気なく使っているこのヘアスプレーですが、実はプロならではの選び方と、その効果を最大限に引き出す使い方のコツが存在します。この記事では、理髪店で使われるヘアスプレーの役割と、ご自宅でも実践できる上手な活用法について詳しく解説いたします。
スタイルの「固定」だけではない、ヘアスプレーの多様な役割
ヘアスプレーの最も大きな役割は、創り上げたヘアスタイルを強力に固定し、長時間維持することにあります。しかし、プロの現場ではそれ以外にも、仕上がりの質感を高めるために重要な役割を担っています。例えば、髪に自然なツヤを与えて上品に見せるタイプや、逆にツヤを抑えてマットで落ち着いた質感に仕上げるタイプなど、なりたいスタイルに合わせて使い分けることで、ヘアデザインの完成度を格段に向上させることができるのです。
プロが実践する、ヘアスプレーの上手な使い方
ご自宅でヘアスプレーを使う際に、一部分だけが固まってしまったり、髪が重くなってしまったりしたご経験はございませんか。プロの仕上がりを実現するためには、いくつかの簡単なコツがあります。最も重要なのは、髪から20cmほどしっかりと距離を取り、髪全体を包み込むように、ふんわりと均一にスプレーすることです。近くから集中的に噴射してしまうと、その部分だけが濡れてしまい、スタイルの崩れや不自然な仕上がりの原因となります。スタイル全体をキープしたい場合は、表面からだけでなく、髪を持ち上げて内側からも軽くスプレーすると、より立体的で持続性のあるホールド力が生まれます。
ご自身のスタイルに合ったヘアスプレーの選び方
市販されているヘアスプレーの中からご自身に合った一本を選ぶには、まずヘアスタイルに合わせた「キープ力」で選ぶのが基本です。柔らかい毛流れを活かすスタイルならソフトタイプ、かっちりとしたスタイルを一日中維持したいならハードタイプといった具合です。また、ビジネスシーンなどでは香りのない「無香料」タイプが好まれる傾向にあります。毎日のことですので、ご自身の髪質や頭皮のことを考え、シャンプーで簡単に洗い流せるかどうかも、大切な選択基準の一つと言えるでしょう。
最高の仕上がりは、土台となるカットがあってこそ
どんなに優れたヘアスプレーを上手に使ったとしても、その土台となるヘアカットがしっかりしていなければ、美しいスタイルを長く維持することはできません。お客様一人ひとりの骨格や髪質に合わせて精密に計算されたカットは、スタイリング剤に過度に頼らなくてもまとまりやすく、ご自宅での再現性が高いのが特徴です。ヘアスプレーは、あくまでその完成度をさらに高め、維持するための補助的な役割なのです。
誠実な理容師が、最後の一吹に込める想い
私たち理容師が施術の最後にヘアスプレーをかける時、そこには一つの想いが込められています。それは、「お客様がこのお店を出てから、次に髪を切りにご来店されるまでの毎日を、少しでも格好良く、快適に過ごしていただきたい」という願いです。そのため、私たちは施術の最後に、お客様の髪質やライフスタイルに合わせたスタイリングのコツや、最適なスタイリング剤について、丁寧にアドバイスさせていただくことを大切にしています。それもまた、誠実な理容師がご提供する、大切なサービスの一つなのです。