ヘアオイルとワックス、混ぜて使う?順番は?プロが教える併用術
男性の整髪料の王道といえば、長らく「ワックス」がその中心にありました。しかし近年、髪のお手入れだけでなく、髪型を整えるための品として「ヘアオイル」が、多くのおしゃれな男性たちにとって欠かせない存在となりつつあります。ここで生まれるのが、「ワックスとヘアオイルは、どう違うのだろうか」「どちらか一方に絞るべきか、それとも一緒に使えるのだろうか」という新しい疑問です。この記事では、それぞれの役割の違いを解き明かし、そして、ワンランク上の髪型を実現するための、プロが実践する「ワックスとヘアオイルの併用術」について、理容師の視点から詳しく解説いたします。
まずは役割の違いを理解する
二つの品を上手に使いこなすためには、まず、それぞれが持つ根本的な役割の違いを理解することが重要です。
ワックスの最も大きな役割は、髪に「形」と「動き」を与えることです。髪の毛同士を適度に粘着させることで、毛束感を作ったり、髪を立ち上げたり、あるいは毛流れを固定したりと、髪型の「骨格」を構築する力に長けています。言い換えれば、髪型そのものをデザインするための品と言えるでしょう。
一方で、ヘアオイルの主な役割は、髪に「艶」と「質感」を加えることです。乾燥によるパサつきを抑え、髪に自然で健康的な艶を与えます。また、近年流行している濡れたような質感(ウェットヘア)を表現したり、髪一本一本を滑らかに整えて、まとまりを良くしたりと、髪の「素材感」そのものを向上させる働きをします。
最上級の仕上がりへ。ヘアオイルとワックスの「併用術」
ワックスとヘアオイルは、どちらか一方を選ぶ対立関係にあるのではなく、お互いの長所を活かし、短所を補い合う、最高のパートナーとなり得ます。この二つを併用することで、ワックスだけでは表現できない、あるいはオイルだけでは作れない、最上級の仕上がりを手に入れることができるのです。
例えば、ワックスを使った際に起こりがちな、「時間が経つとパサついて見える」という悩みを、ヘアオイルが持つ潤いと艶が解決してくれます。逆に、ヘアオイルだけでは物足りない、髪型の維持力や立体感を、ワックスが補強してくれます。つまり、髪型の「形」と「質感」の両方を、同時に高いレベルで実現するのが、この併用術なのです。
「混ぜて使う」のか「順番に付ける」のか
併用するには、主に二つの方法があります。目指す髪型によって、最適な方法は異なります。
一つ目は、「手のひらの上で混ぜて使う」方法です。まず、普段お使いになる量のワックスを手のひらに取ります。そこに、数滴のヘアオイルを垂らし、両方の手のひらで、二つが完全に混ざり合うまで、しっかりとすり合わせてから髪になじませます。この方法を使うと、ワックスの伸びが格段に良くなり、髪に均一になじませやすくなります。仕上がりは、ワックス単体で使うよりも、自然な艶が出て、硬すぎない柔らかな質感が生まれます。
二つ目は、「オイルを先に付けてから、ワックスを重ねる」方法です。まず、少量のヘアオイルを髪全体になじませ、艶とまとまりのある、整えやすい髪の土台を作ります。その上から、ワアックスを少量ずつ取り、毛先の動きや、束感といった、特に形をつけたい部分にだけ、ポイントで付けていきます。この方法は、髪全体の艶を保ちながら、必要な部分だけをしっかりと整えることができるため、より品の良い、洗練された髪型を作るのに適しています。
まとめ
ワックスが髪の「形」を、ヘアオイルが髪の「質感」を司る。この役割の違いを理解し、二つを上手に併用することで、あなたの整髪技術と、髪型の完成度は、新たな段階へと進化するでしょう。お客様の髪質や、目指す髪型によって、最適なワックスとオイルの組み合わせ、そしてその配合比率は、まさに千差万別です。その究極の答えを、私たち髪の専門家である理容師は熟知しています。自己流の配合で迷われる前に、ぜひ一度、サロンでご相談ください。