ヘアオイルでボリュームアップ?髪を根元から立たせる、プロの選び方と使い方
「髪が細くて柔らかく、すぐにぺたんとしてしまう」「ヘアオイルは髪を落ち着かせるものだから、ボリュームアップしたい自分には合わない」。このように、髪のボリューム不足にお悩みの男性にとって、ヘアオイルは縁遠い存在だと思われているかもしれません。確かに、多くのヘアオイルは髪をまとめることを目的としていますが、実は、製品の選び方と使い方を正しく理解すれば、ヘアオイルは髪のボリュームアップを目指す上で、非常に強力な味方となり得るのです。この記事では、その常識を覆す、専門家ならではの高度なヘアオイル活用術について、理容師の視点から詳しく解説いたします。
ヘアオイルが「ボリュームアップ」に貢献する仕組み
まず、ヘアオイルがどのようにして髪のボリュームアップに貢献するのか、その仕組みをご説明します。ヘアオイルは、髪に直接的な「かさ」を与えるわけではありません。そうではなく、髪が根元から自然に立ち上がり、ふんわりとした状態を保つための「最高の土台」を作り上げる役割を担うのです。
髪は、ダメージを受けるとしなやかさを失い、自らの重さで垂れ下がりやすくなります。補修効果のあるヘアオイルは、髪一本一本にハリとコシを与え、内部から強化することで、根元からしっかりと立ち上がる力を与えます。
また、頭皮の乾燥は、健康な髪の育成を妨げる一因です。適切なオイルで髪と頭皮に近い部分を保湿、保護することは、長期的に見て、髪が健やかに育ち、自然なボリューム感を保つための環境を整えることにも繋がります。
さらに、非常に軽い質感のオイルを髪の表面にごく薄く纏わせることで、髪同士が湿気や静電気でくっついてしまうのを防ぎます。一本一本が独立し、軽やかになることで、髪の間に空気が含まれやすくなり、結果として全体の見た目のボリュームが増す、という効果も期待できます。
ボリュームアップを目指すための、ヘアオイル選びの絶対条件
髪のボリュームアップを目的とする場合、ヘアオイルの選び方には、絶対に譲れない条件があります。
その絶対条件とは、徹底的に「軽い質感」であることです。製品の表示に「しっとり」「まとまり」「重め」といった言葉が書かれているものは、その重さで髪を根元から寝かせてしまうため、完全に避けるべきです。「サラサラ」「エアリー」「軽い仕上がり」といった表記のある、水のように軽く、べたつかない使用感のオイルを選びましょう。
また、髪の内部を補修し、ハリやコシを与える効果のある成分が含まれている製品を選ぶと、より効果を実感しやすくなります。サロンで扱う専門的な製品には、軽やかな使用感と、高い補修効果という、相反する要素を高いレベルで両立させた、先進的な処方のものが多く存在します。
髪を根元から立たせるための、特別な使い方
選び抜いた軽いオイルも、使い方を誤ればボリュームダウンの原因となります。髪を根元から立たせるためには、特別な使い方を実践する必要があります。
最も効果的なのは、夜、お風呂上がりのドライヤー前のタイミングです。まず、使用量は「米粒一粒」ほどの、ごくごく微量を意識してください。そして、付ける場所は、髪の「中間から毛先」に限定します。髪のボリュームの起点となる、根元部分には決してオイルが付かないように、細心の注意を払ってください。
そして、ここからが最も重要な工程です。ドライヤーで髪を乾かす際に、髪が生えている方向とは逆の方向に、髪を根元から手で持ち上げながら温風を当ててください。例えば、つむじから前方向に向かって、あるいは左右の髪を、それぞれ反対側に向かって乾かすのです。これにより、髪の根元が自然に立ち上がり、ふんわりとした土台が作られます。オイルでケアされた毛先は、パサつくことなく、この根元の立ち上がりを軽やかに支えてくれるのです。
最高のボリュームは、専門家の技術から
ここまでご説明した通り、ヘアオイルを使ってボリュームアップを目指すのは、製品選びと、ドライヤーの技術までを含む、非常に高度な応用技です。お客様一人ひとりの髪質、毛量、そして生え癖によって、最適なオイルの種類や、最も効果的な乾かし方は、微妙に異なります。
私たち髪の専門家である理容師は、お客様の髪の状態を正確に診断し、最高のボリュームアップを叶えるための、最適なサロン専売品のご提案と、ご自宅でご自身で再現できる、あなただけのための特別な使い方を、直接ご指導することができます。
まとめ
ヘアオイルはボリュームダウンのためだけのものではありません。「軽い質感のオイル」を、「根元を避けて毛先に」というルールを守り、そして乾かし方を工夫することで、髪の健康を守りながら、豊かなボリューム感を演出する、頼もしい味方となってくれます。これまでご自身の髪質を諦めていた方も、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。あなたの髪に秘められた、本来の可能性を引き出すお手伝いをさせていただきます。